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柚子探しの旅・2023

妻は言った。
柚子が欲しい。
柚子が必要だ。
綺麗で高価な柚子ではなく、多少見栄えが悪くとも安価でバシバシ使える柚子が欲しい、と。

という訳で先日から近所の道の駅や農産物直売所に行き、柚子を探していたのだが全く置いていない。柚子の時期は終わってしまったのか?今シーズンの柚子は儚くも悲しく消えてしまったのか。ドクダミ茶を飲んだ後のバニラアイスの後味の様に。

だがどうしても諦めきれなかった我々は少し足を伸ばしてやや遠方の道の駅に行ってみることにした。“足を伸ばす”って言っても車だけど。車だから、タイヤを伸ばす?そんな表現する?うん、どうでもいい。我々の柚子探しの冒険が始まった。

とその前に、腹ごしらえ。

不老庵という蕎麦屋さんに寄った。以前から気になっていたお店だ。
かなりの人気店らしく平日の開店前から行列が出来ていた。行列が苦手な俺は内心「うへぇ…」と思いながらも列の最後尾で待機。真後ろにやって来た声の大きな爺さんの元気な話し声にぐっと耐えながら開店を待った。

開店時間になり店内に通された。
座ったのはカウンター席。ゆったりとスペースが取ってある。この空間のゆとりが大事だ。落ち着いて蕎麦を食べたいのに窮屈だと辛く悲しい。店内の雰囲気も良い。
数々の魅力的なメニューの中から、鴨南蛮そばを注文した。

見た目の美しいお蕎麦。悪い予感の欠片も無いさ。

肉厚な鴨肉が予想以上にたくさん乗っていた。鴨肉に蓋をされて蕎麦が見えない。これ、全部俺の?と聞きたくなるような量である。そしてこの肉が柔らかくてジューシー。最高だ。
蕎麦は十割蕎麦。しっかりと蕎麦の風味が味わえる。「蕎麦は喉越し」なんて言葉があるが、ここの蕎麦はしっかり味わって食べるのが吉だと思う。
そして極めつけはつゆ。醤油の味わいとダシの風味が見事に融合。そこへ柚子がふわっと香る。キリッとしたつゆで美味しい。これは良いお蕎麦だ。また食べたい。
店員さんも忙しいはずなのに感じが良かった。とても素晴らしい時間が過ごせた。感謝。ご馳走様でした。

さてお腹いっぱいになったところで柚子探しの冒険の続きだ。

車を筑前国方面へと走らせた。
一度も通ったことのない道を行き、通ったことのある道に出て、何度か行ったことのある道の駅を目指した。

時として謎のモニュメントが我々を驚かせる。
そんな所に立っていたら邪魔になるんじゃないのか、埴輪さん。


田舎道で信号待ち。我々以外の車は無い。


行った道の駅はみなみの里、朝倉、原鶴の3か所。
いずれも農産物の販売所があり、どこかに柚子があれば、と期待をしていたのだが、どこにも柚子は無かった。八朔、甘夏、ネーブル、晩白柚など様々な柑橘の取り扱いはあったのだが。もしかしたら行った時間が遅かったのが原因かもしれない。
残念。無いものは仕方が無い。そこに無ければ無いですね、の精神で諦めた。今回の冒険は空振りに終わってしまった。

目的の物は手に入らなかったが良さそうな柑橘をいくつかと綺麗な里芋と大きな白菜を買い、帰路についた。
車は静かに家へと走る。暗くなり続ける窓の外。助手席に座る妻は「庭に柚子を植えよう」と何度も呟いた。

帰宅後、蕎麦屋で買った鴨おこわを温めて食べた。
これまた美味しい。凄いな、あのお店。美味しいものしか無いのか。



晩酌~絶対に見逃せないビールがそこにある!~

そして最終的に適当に買ったコンビニの惣菜をつまみ、ビールを飲んで一日を締め括った。
ビールは素晴らしい。いいですか?我々はビールを飲むべきなのです。

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