見出し画像

【心霊体験】禁足地

禁足地。
古来より人が決して足を踏み入れてはならない場所。
それは案外日常のすぐ傍に存在する。

私が小学生時代の話。
その小学校の遠足では、とある山を徒歩で目指す。
その山は標高170メートル程の低い山。
頂上が芝生の公園になっており、そこで持参した弁当を食べて帰る。
見晴らしも良く、気持ちの良い時間を過ごすことが出来る。
昼食後は二時間の自由時間。
各々おにごっこや、雑談に花を咲かせていた。
その山はカナヘビが多く生息しており、小学生の私達にはとても珍しく、興味を惹くには十分だった。
私と数人の友人でカナヘビを追いかけ遊んでいた。

すると通常の三倍はあるであろう大きさのカナヘビを見つけた。
私達は瞳を輝かせ追いかける。
動きも速く、全力で追いかけなければ見失ってしまう・・・はずなのだが、時折止まってこちらを振り返る素振りを見せる。
当時の私達は不思議にも感じていなかったが。
散策路から外れ、どんどん山奥へ入っていく。

しばらく進むと注連縄が張られた道が現れた。
小学生の私でも「ここから先はまずい」と感じ皆を制止。
だが、一人夢中で普段から人の話を聞かない友人が、注連縄をくぐり入っていってしまった。
私達はすぐに教師を呼びに行く。
みるみると教師の顔色が青ざめていく。

捜索するより早く警察へ連絡。
地元の大人達も加わり、大捜索が行われる。
私達生徒は、手配されたバスですぐに帰宅させられた。

捜索から一週間。
いくら探しても見つからなかった友人が、早朝山の麓で膝を抱え座っているところを地元の老人に保護された。
すぐに入院し病院で精密検査を受けるが、身体は衰弱はしているがそれほどの異常は見られなかったようだ。
あれ以降登校していない友人宅へ会いに行ったが、親御さんから断られてしまい会うことも叶わなかった。
その友人の一つ下の弟に話を聞くと、あれ以降口が聞けず、目の焦点も合わないとのこと。

「兄ちゃんがおかしくなっちゃった・・・」

言葉が出なかった。
程なくして、友人一家が突然引っ越していった。
父の仕事の都合だそうだ。

時は流れ小学校の同窓会で、友人の話題になった時に聞いた話。
あの山では自ら命を絶った遺体や、藁人形が多数見つかるそうだ。
発見される場所は、あの注連縄の奥。

この記事を書く際に、あの山の麓に住む友人に連絡してみた。
現在でも深夜に時折、木槌で何かを打ち付ける音が響くそうだ。

いいなと思ったら応援しよう!