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回復期リハビリテーション医療の歴史と現状
回復期リハビリテーション医療の歴史と現状
三橋尚志
JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION
第31巻・第2号(通巻367号)・2022年4月号 P300-308
Key Words
:実績指数、FIM利得、入院日数、診療報酬改定、重症度
【アブストラクト】
Ⅰ.回復期リハビリテーションとは
回復期リハビリテーション(以下回リハ)は2000年4月より回復期という機能病床が確立され、脳血管疾患や大腿骨近位部骨折等の寝たきりリスクの高い疾患に対し急性期治療から「ADLを向上し、寝たきりを防止し、在宅復帰を促進する」ことを目的に制度化された。
Ⅱ.回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟の棲み分け
地域包括ケア病棟(地ケア)は2014年に制度化された。回リハでは専従常勤PT3名、OT2名、ST1名以上のリハ専門職に加え、社会福祉士、管理栄養士の専任配置が明記され、多職種チームアプローチが推進される。
回リハでは疾患別リハビリテーションが出来高となるが、地域包括ケア病棟では包括となっていることが疾患別リハビリテーション提供量に大きな差を生じている。
回リハでは急性発症後によるADL低下した患者に、集中的なリハビリ介入によるADL向上を目的とすることに対して、地ケアは医療・看護必要度の高い患者を急性期病棟から受け入れ、時には自宅等から緊急入院を受け入れる機能があり、短期間での自宅退院等を求められる。
治療上1日2単位程度の疾患別リハビリテーションの中にSTも含め実施する困難さもあり、地ケアでは軽症例を除く脳血管疾患患者の治療の実施は困難なため、急性期治療後の比較的短期間の2単位程度でADL改善が見込める患者が入院している。
Ⅲ.回復期リハビリテーション病棟における患者割合の推移
回リハ病棟入棟時、疾患別平均年齢は2002年度以降、年々上昇の一途を辿り、入院患者の高齢化が浮き彫りとなる。
原因疾患別推移では、制度開始当初は脳血管系が70%を占めてしたが、2017年度ではほぼ同程度を整形外科系が占めるほど増加し、その後は若干比率が上回っている。
Ⅲ.入院期間、入院までの期間、FIM利得の変化
2000年の回復期リハビリテーション病棟制度化当初は算定上限日数は各疾患で一律180日であった。その後2002年度の回リハ協会による実態調査があり、2006年度改定から脳血管疾患は150日、180日(高次脳機能障害や重度脊髄損傷)、運動器、廃用症候群は90日と入院期間が大幅に短縮された。
また2012年度改定では看護必要度A項目、2016年度改定では実績指数が導入された。2006年度以降の平均FIM利得は約16点で推移していたが、2016年度以降に増加傾向となり、2021年度には24.5点まで上昇する。対して退院時FIM平均は2006年度以降から著名な変動はなく、これよりFIM利得の著明な増加は入院時FIM低下によるものであった事が考えられる。
Ⅳ.発症からの日数撤廃は良かったのか、脳卒中患者は増加したのか
回リハ病棟制度開始時点での乳飲料の要件には「対象疾患(8割までが必須)、在院日数、発症から入院までの期間」が規定されていた。
入院料要件の変更により「急性期からできるだけ早く受け入れ、早期在宅復帰」を明記していたが、急性期での治療期間延長する事例があり、その患者は回リハ病棟への転院ができないということが見られた。そのため2020年度改定より「発症から入院までの期間」の要件は撤廃された。
2020年度改定より「発症から入院までの期間」の平均は約5日延長した。しかし中央値は著明な変動はなく、期間撤廃による回リハ病棟への入院患者の絶対数はそれほど多くないことが明確となった。
2020年度の「発症から入院までの期間」要件が撤廃された場合に脳卒中による遷延性意識障害や長期人工呼吸器管理を要する間者の入院増加が予測されたが全体比率に反映はなかった。
Ⅴ.透析ができる回復期リハビリテーション病棟は増加したか。
人工透析が回リハ病棟入院料に 包括されていたが、2012年度の改定より包括範囲から除外されたことにより出来高算定となる。これにより透析患者が回リハ病棟入院中に自院での人工透析が可能となった。しかし全国の回リハ病棟での実施率は決して多くはないのが現状である。
【勉強となった点】
リハビリテーションを提供することがセラピストである我々の使命であり、各病院、施設、事業所での売上に直結する。医療であれば2年、介護、障害であれば3年に1回の診療報酬改定があり、その都度リハビリテーション科における管理者は改定内容に目を通し、理解する必要があることがわかった。
【最後に一言】
今回は回リハ病棟の成り立ちから今日までの制度改定による患者推移を通して制度の必要性を勉強するきっかけとなった。
今年度も診療報酬改定があったことを多くのセラピストがご存知であると思います。変更点から今後の医療、介護、障害制度の未来についても目をむけ、現場で働く我々の存在意義を示していく必要がある。本稿はそのための制度理解の一助となると思います。ぜひ一度目を通して頂きたい。
執筆:本多竜也
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