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リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020updateについて

リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020updateについて
若林秀隆
JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION 第31巻・第1号(通巻364号)・2022年1月号 P14-18

Key Words:リハビリテーション栄養、脳血管疾患、大腿骨近位部骨折、成人がん、 急性疾患    

【アブストラクト】

Ⅰ.リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020

 2010年頃からリハビリテー ション栄養が学術領域で認識され、翌年2011年に日本リハビリテーション栄養研究会が設立され、2017年に学会化され、一般社団法人化した経緯がある。

 診療ガイドライン委員会より脳血管疾患、大腿骨近位部骨折、成人がん、急性疾患の4疾患を対象に作成、2018年に第1 版が公開された。

Ⅱ. リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020の概要

 栄養診療ガイドライン作成には2018年版、2020年版ともランダム化比較試験のみで、系統的レビュー、GRADEシステムで作成された。強化型栄養療法の内容には、栄養教育、栄養指導、経口栄養剤、経管栄養、静脈栄養が含まれる。 

Ⅲ. リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020と過去の診療ガイドラインとの相違点

 2018年版では4疾患のCQにがあったが、2020年版では統一され、 成人がんの推奨ステートメントでは推奨なしから強化型栄養療法を行うという弱い推奨となった。

Ⅳ. リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020の臨床での活用方法

 回復期リハビリテーション病棟では管理栄養士の病棟専任が義務化、努力義務化されているが、その他でのリハビリテーション栄養の臨床実践は不十分であり、「リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020」を使用し、質の高いエビデンスを提供してほしい。

 管理栄養士による栄養教育・栄養指導、経口栄養剤使用、必要な場合の経管栄養・静脈栄養があり、「強化型栄養療法=攻めの栄養療法」ではなく、従来の栄養状態を良好に維持することと、低栄養やサルコペニア状態を改善する攻めの栄養療法は全く異なり、栄養状態のゴール設定が重要である。

 栄養・体重のゴール設定に「リハビリテーション栄養における栄養・体重計のゴール設定:日本リハビリテーション栄養学会によるポジションペーパー」を参考にしてほしい。

 栄養改善のゴール設定では①改善すべき低栄養であるか、②改善できる低栄養であるか、が重要であり、共に「はい」となる場合に栄養改善を目標とするゴール設定を行う。ただし、体重増加を目的とした攻めの栄養療法では必ずレジスタンストレーニングを併用する。

【勉強となった点】

 従来の栄養管理では、1日エネルギー必要量=1日エネルギー消費量であったが、低栄養やサルコペニアでの攻めの栄養療法で、1日エネルギー蓄積量の検討が必要である。エネルギー蓄積量は栄養ゴールより設定され、理論的には7,000〜7,500kcalで1Kgんp体重増減が得られる。高齢者の場合には、8,800〜22,600kcalが必要という報告もある。

【最後に一言】

 リハビリテーション介入にはエネルギー消費が必ず伴う。蓄積量より消費量が多くなれば、更に低栄養、 サルコペニアの増悪や引き金となることは容易に考えられる。

 その上で我々セラピストも介入内容を検討しなければならない。管理栄養士の専門的な知識が得られる病院等であれば、他職種連携での介入が望ましいが、生活期の場面では必ず管理栄養士の介入が得られるとも限られない。攻めのリハビリテーションには攻めの栄養療法が深く関わり、生活機能向上のためにも「リハビリテーション栄養診療ガイドライン2020」を活用して頂きたい。

執筆:本多竜也

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