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がんの内科的治療における理学療法

がんの内科的治療における理学療法
由利 真
理学療法ジャーナルVol.55 No.8 2021.8 p845-849

【文献の要点】

・細胞障害性抗がん剤、ホルモン製剤、分子標的治療薬、がん免疫療法などが、がんに対する内科的治療である。

・様々な治療法があるが、骨髄抑制による易感染性や出血傾向、貧血など、様々な副作用やリスクに対する注意、管理が必要である。

・がんに対する内科的治療法の概要から、がんの進行や治療に伴う副作用やリスクへの対応、理学療法を行う上での注意点を理解する。

【文献の基本構造】

細胞障害性抗がん剤やホルモン製剤、分子標的治療薬、がん免疫療法といった薬物療法による内科的治療法、そして、治療やがんの進行に伴う骨髄抑制よる易感染性、出血傾向、貧血に対する対応、運動療法における留意点を解説している。

また、実際の症例から治療、理学療法の実施、退院までの経過を説明している。

【主な内科的治療の概要】

〇細胞障害性抗がん剤

一般に化学療法と呼ばれる治療法。がん細胞の増加を阻止、がん細胞の細胞死を促す。正常な細胞にも影響するため、副作用が生じやすい。

〇ホルモン製剤

ホルモンの働きによって腫瘍が増殖するがんに用いられる。ホルモンの働きを抑制することで腫瘍の増殖を抑えられるが、筋肉や骨密度の減少などがみられる場合もある。

〇分子標的治療薬

小分子化合物と抗体薬の2種類に分けられる。分子レベルでがん細胞の特徴を捉え、それに対する薬での治療。

〇がん免疫療法

免疫応答で腫瘍細胞を抑える免疫療法の役割が大きくなっており、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)によるCAR-T療法が注目されている。

【理学療法の留意点】

骨髄抑制による白血球や血小板、ヘモグロビンの減少から生じる易感染性、出血傾向、貧血のリスクを解説している。血液所見を読み取り、運動内容や強度、運動実施の可否を決定する。

【まとめ】

がんは死因の1位で、日本人の2人に1人が罹患すると言われており、身近に感じる疾患である。また医療の進歩により生存率は向上している。

しかし、重度の疾患であるがんは、進行により様々な障害が生じ、ADLやQOLの低下を招く。

平成22年の診療報酬改定では、がん患者リハビリテーション料が設けられるなど、がん患者に対するリハビリテーションの機会が増えていると思われる。

本稿より、がんにおける薬物療法を主として内科的治療の概要や理学療法を実施する上での留意点を、血液所見を読み取ることと合わせて学習、理解したい。

記事:ながちゃん

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