2024年9月の園だより
◯小さないのちのドア
8月下旬に十日町幼児園が加盟している日本キリスト教保育所同盟が企画する3日間の研修に参加してきました。研修では2人の講師から講演を聞く機会が与えられ、私は特に公益社団法人小さないのちのドア代表の永原郁子さんのお話が心に沁みました。永原さんはもともと助産師として30年近く命の誕生に向き合って来た方です。助産院を訪れる人はみんな命の誕生を心待ちにし、喜びに包まれていました。しかし永原さんはある時に命の誕生を喜ぶことのできない人に出逢います。それはさまざまな事情で予期せぬ妊娠をした、主に若い女性たちでした。
◯予期せぬ妊娠
それは大学生、高校生、中学生、そして時に小学生という低年齢で妊娠が発覚した若い女性、いや子どもたちです。付き合っていた人は妊娠したことを告げると音信不通になってしまった。自分は産みたいと思っているけど中絶することを強く勧められた。親や周りには怒られるから絶対に言えない。怖くて産婦人科にも行っていない。そういう人たちがたくさんいることを知り、永原さんは小さないのちのドアを立ち上げて予期せぬ妊娠をした若い女性たち、そして生まれてくる新しい命を支える活動を続けています。
◯いまは怒る場面ではなく支える場面
その働きの詳細は「小さないのちのドア」のホームページを見ていただきたいと思います。講演の中で最も印象に残ったのは、「予期せぬ妊娠が分かった際に、もちろんいろいろと言いたいことはあるけれど、いまは怒る場面ではなく支える場面と考え支援しています。」という言葉です。予期せぬ妊娠に悩み苦しむ10代の子どもが親や周りに相談できないのは怒られるのを恐れているからです。でも妊娠というこれまで経験したことのない命と向き合うとても重要な局面に立たされています。「優先順位は若くして命と向き合う子どもを支えることでしょう」との言葉に一同深く納得しました。日本キリスト教保育所同盟の加盟園が大切にしている3つの柱は命・人権・平和です。改めてこの3つの特に命を最優先して日々の保育や保護者支援を担っていきたいと思わされました。
園長 寒河江 健