映画レビュー「CLOSE」
今回は映画「CLOSE」のレビューを書いていきたいと思います。
※本作品は自死描写、またホモフォビア(同性愛嫌悪)を表す描写が含まれますので視聴する際にはご注意下さい。
7/14から劇場公開した本作品。
近年、観客が最も泣いた映画と称されており…。
私も何度も泣いた作品でした。
ただ、注意していただきたい事が1点。
公開から一か月近く経っていることもあり上映している劇場もまちまちだと思われます。
観に行く際にはスケジュールをチェックしてみて下さい!
《あらすじ紹介》
花き農家の息子のレオと幼馴染のレミ。昼は花畑や田園を走り回り、夜は寄り添って寝そべる。24時間365日ともに時間を過ごしてきた2人は親友以上で兄弟のような関係だった。
13歳になる2人は同じ中学校に入学する。入学初日、ぴったりとくっついて座る2人をみたクラスメイトは「付き合ってるの?」と質問を投げかける。「親友だから当然だ」とむきになるレオ。その後もいじられるレオは、徐々にレミから距離を置くようになる。
ある朝、レミを避けるように一人で登校するレオ。毎日一緒に登下校をしていたにも関わらず、自分を置いて先に登校したことに傷つくレミ。二人はその場で大喧嘩に。その後、レミを気にかけるレオだったが、仲直りすることができず時間だけが過ぎていったある日、課外授業にレミの姿はなかった。心ここにあらずのレオは、授業の終わりに衝撃的な事実を告げられる。それは、レミとの突然の別れだった。
移ろいゆく季節のなか、自責の念にかられるレオは、誰にも打ち明けられない想いを抱えていた…。
上記はHPのあらすじを引用しました。
小説の描写のような言葉の繊細さとあたたかみとは裏腹に、現実の生きづらさや残酷さを感じられる内容ですね。
その相反する二つが見え隠れしているあらすじに、私は観る前から心を鷲掴みにされていました。
《ネタばれなしの感想》
なにか辛い事があった時。
感受性が揺れ動かされる作品を観たい時。
思いっきり泣きたい時。
そんな時に観てみてはいかがでしょう。
それでは早速、感想に移っていきますが…。
下記でお伝えする内容はあくまで、私個人が抱いた感想です。
作品の面白さを完璧に保証するものではなく、作品を観た際に浮かんだあなたの感想を大事にして下さい。
その上で読者の方の興味喚起に繋がれば幸いです。
今後、ここまで思春期特有の心と向き合った作品は出てこないだろう。
これが私が観終わってすぐに出てきた感想でした。
少し大袈裟かもしれませんが、これほど絶賛するには訳があります。
セリフや会話以外に表現された緻密な心情描写。
セリフ以外となるとどういうものか…。
嬉しさや悲しさや寂しさや怒り。
言葉には表しきれない昂る感情を抱いた際、みなさんはどのような仕草を取りますか。
勝手に視線が落ちる、ため息が出る、口角が上がる、表情が強ばるなど。
仕草や表情というのは言葉以上に正直なものです。
大人になるにつれ、上辺の言葉で隠すのが上手になっていきますが…。
あらすじにもあった通り、主人公2人はまだ13歳。
最も多感な思春期だからこそ、時には感情的になる事もあります。
当たり前のように2人で遊ぶ日々。
中学生になった途端に距離感が分からなくなる場面。
感情を抑え切れずに手が出る時。
幼さが故に大きな過ちを犯してしまう瞬間。
どの場面も会話だけでなく、表情や視線で表現された感情が確かに感じられました。
上記で指すこの過ちこそが、作中で一番泣けるポイントであり。
作品全体が向き合い続けるテーマだと私は思っています。
過ちによって傷ついた心の傷は時間が経てば癒されるもの…ではなかなかありません。
気付いたら頭の端で考え。
そして、泣きたいわけでもないのに勝手に涙が溢れ出てきてしまう。
少しでも考えないようにしても難しい。
心の傷というのは人によって深さが違いますが、簡単には抱えきれないものです。
それでも少しでも悲しさや辛さと向き合いたい気持ちがあるのなら。
この作品は向き合い方の明確な答えではなく、一つの方法をきっと示してくれます。
《最後に》
画も綺麗で、主演2人も美形。
とにかくどの場面も映えていましたね。
そして洗練された美麗な映像をこれでもかと存分に詰め込まれた105分。
本当に様々な意味で心をかき乱された作品でした。
どんなに心がしんどい時でも寄り添ってくれる。
本作品を観て、私はそう感じたからこそこうしてnoteに書く事にしました。
自死描写があるが故に確実に人を選ぶ作品ではあるものの。
ここまで心の底にまで優しさが染み渡る感覚になる事はなかなかないでしょう。
ネタばれなしとなると、どうしても感想には限界がありますが…。
少しでも観てみたいなと思ってくれたら嬉しいです!
私もこれからも出来る限り作品の魅力をお伝えしていきますので、よろしくお願いします。
では、最後まで読んで頂きありがとうございました!