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漢方薬も腸内細菌叢の違いによって効く人、効かない人に分かれるのです!

ここまでのコラムで、腸内細菌を色々な角度から見て参りました。

人の腸内にはたくさんの腸内細菌が棲息しており、いいも悪いも私たちの健康に影響を及ぼしていることも、具体的に見て参りました。

腸内の腸内細菌は人それぞれ違った種類が存在し、その数も構成比も違います。どんな腸内細菌がいるかによって代謝物が異なり、それが健康に与える影響の差異を生んでいると言えます。

また食べたものを人が腸内で消化吸収できなかったものを、腸内細菌がエサにして代謝物を生み出します。同じように、漢方薬に含まれる生薬も腸内細菌がエサにして、それぞれの薬効をもたらしていると言われています。

これは、生薬には多くの生物活性成分が含まれており、そのほとんどが配糖体として存在しているからです。

 *生物活性成分とは、食品などに含まれる化合物または物質で、摂取すると身体に生理学的効果をもたらすもののこと。また、配糖体とは、糖と糖以外の有機化合物とが結合した物質のこと。

要するに生薬のなかの配糖体は、人の消化酵素では消化吸収できず、大腸に運ばれ腸内細菌がこれを分解し代謝しているのです。ただし、生薬ごとの配糖体も違えば、人の腸内細菌叢も違います。ある生薬の配糖体を分解できる腸内細菌を持っていれば、その生薬の薬効を得られますが、分解できる腸内細菌を持っていなければ排泄されるだけで、結果、効かなかったと結論づけられます。

漢方薬に関しては、生薬がいくつか組み合わされたものですので、それぞれの生薬の配糖体を分解できるかどうかにかかってきます。

ただ、漢方薬をよく服用される方は、ご存じかと思いますが、たくさんある生薬の中でも良く処方される生薬は、共通しているものが多いです。例えば、甘草という生薬は、漢方薬全体の6割くらいは含まれています。これは甘草が生薬同士を調和してくれる機能に加え、苦味の多い生薬に甘味を加える意味でも使われているからです。また、補気類であることから、他の生薬に悪い影響を与えにくいことも使われる要因ではあります。

よって、漢方薬が効く人、効かない人が、おおよそ大別されるのはそのためです。

このように、漢方薬においても、腸内細菌叢によって、その効き目が左右されるということになります。