Bacteroides(バクテロイデス菌)の免疫作用について
昨日に引き続き、Bacteroides(バクテロイデス菌)について、今日は免疫作用に触れていきたいと思います。
腸内細菌の免疫作用については、細菌が生み出す短鎖脂肪酸がその働きを担っていて、数多くの腸内細菌が、その任務を負っていることは、これまでのコラムで何度か触れてきました。
今回のBacteroides(バクテロイデス菌)には、腸管免疫系に対して様々な免疫調節作用を有していることがわかっています。
例えば、以前のコラムで免疫項目の4番目に上げましたIgA濃度についてですが、バクテロイデス菌は小腸パイエル板に作用してIgAを強く誘導することことが明らかになっています。
また、菌体表層多糖成分が抗原提示細胞を介してT細胞応答を活性化したり、炎症反応を制御することも示されています。
そして、ヒトミルクオリゴ糖やムチン糖鎖も分解資化することも明らかになっています。
ムチンに関しては、痩せ菌として知られているアッカーマンシア菌がムチンを産生することで、腸の内壁に粘質のムチンの壁をつくり、糖の吸収が抑制されないようにするため太らないと以前のコラムで述べましたが、バクテロイデス菌はムチンを分解資化する働きがあるようです。
私たちが実施する腸内細菌の結果を分析していると、バクテロイデス菌が多い人は、相対的に他の菌の所有割合が低く、バクテロイデス菌が40%を超えている方もいらっしゃいます。
バクテロイデス菌自体が強い菌であるため、他の菌よりも勢力を増すのは致し方ありませんが、やはりいい菌を多種類保有している方が、様々な腸内環境に対し対処しやすいため理想だなと思います。
こうやって腸内細菌の免疫作用について見ていると、いかに外敵が日々襲ってきていて、その都度、腸内細菌が対処しているのがよくわかります。
やっぱり、腸に棲みこんでいる腸内細菌は常に大事にしないとですね!(笑)
*画像は腸の内壁の柔毛です