漢方薬の生薬に使われる「甘草」も摂取過剰だと、体には害となります・・・
昨日のコラムで漢方薬に含まれる生薬「甘草」について見てきましたが、甘草がもたらす効能は、主に甘草に含まれる成分「グリチルリチン酸」によるものです。
ただ、気をつけないといけないのは、漢方薬を服用した際の副作用についてです。漢方薬は西洋の科学薬品と比べ、比較的優しいお薬と言うイメージですが、服用量を間違うと健康を害することは多々あります。
今回の甘草に関しては、1日の摂取量が制限されています。1日2.5gを超えて摂取し続けると、偽アルドステロン症という副作用を発症することがあります。
難しい症状が出てきましたが、この偽アルドステロン症とは、文字通りアルドステロンに偽がついているため、アルドステロン症に似た症状と理解できます。
では、アルドステロン症とはどういう症状なのでしょうか?
アルドステロン症(原発性アルドステロン症)になると、高血圧や低カリウム血症の症状が見られるのですが、偽アルドステロン症との違いは、甘草に含まれるグリチルリチン酸の影響でアルドステロンが高い数値を示さないまま、高血圧や低カリウム血症の症状が出現するということです。
要するに一見アルドステロン症との診断が難しくなると言うことでしょう。そこで、甘草を1日にどのくらい摂取しているかが一つの判断材料になるのでしょうが、1つの漢方薬ではなく複数の漢方薬を服用している場合、トータルで甘草の摂取量を計算しないといけないと言うことになります。
漢方薬全体(294処方)の69%くらいに甘草が処方されていますから、複数服用していれば、かなりの確率で1日の摂取量が過剰になっている可能性はあります。
漢方薬の書籍には、甘草の数値を大きく表示しているものもあります。まずは甘草の数値がベースになりますからね。
ちなみに甘草の摂取過多の副作用として浮腫(むくみ)がありますが、これは、中医学の書籍にも長期間服用した時の注意点として浮腫になりやすいとあります。
ここは科学的な成分分析と伝統医学の中医学が合致している点かと思います。
画像は藪甘草の花です。綺麗な花を咲かせるんですね。甘草は根っこの部分を生薬にしていますが、毒を帯びた食物には綺麗な花を咲かせるイメージがなんとなくあります。甘草は摂取量を間違えなければ良薬として服用できますので、そのイメージは間違いかなと思います。
明日は、腸内細菌との関係性に触れていきたいと思います。