比較的短時間運動は長期座位によるリスクを軽減する



毎日12時間以上座っている人は、8時間座っている人よりも死亡リスクが高いが、20分強の運動でその差が縮まることが、50歳以上の約12,000人が参加した4件の前向きコホート研究のレビューで明らかになった。加速度計のデータに基づくと、ほとんど運動していないが、1日22分以上中程度から強度の身体活動をしている人では、座っている時間と死亡リスクとの間に関連はなかった。

さらに、運動レベルが高いほど、1日あたりの非活動時間に関係なく死亡リスクが低かった。少量の中等度から強度の身体活動は、「座位時間が長いことによる死亡リスクを改善する効果的な戦略である可能性がある」と研究者らはThe British Journal of Sports Medicine誌に書いている。


Sagelv, Edvard H, Laila Arnesdatter Hopstock, Bente Morseth, Bjørge H Hansen, Jostein Steene-Johannessen, Jonas Johansson, Anna Nordström, ほか. 「Device-measured physical activity, sedentary time, and risk of all-cau se mortality: an individual participant data analysis of four prospect ive cohort studies」. British journal of sports medicine 57, no. 22 (2023年11月): 1457–63. https://doi.org/10.1136/bjsports-2022-106568 .

【目的】 中等度から精力的な身体活動(MVPA)が、座位時間と死亡率の関連を修飾するか、逆に修飾しないかを検討し、死亡リスクに対するMVPAと座位時間の共同関連を推定すること。

【方法】 本研究は、4つの前向きコホート研究(ノルウェー、スウェーデン、米国、ベースライン:2003~2016年、参加者11989人≧50歳、女性50.5%)の個人参加者データ解析を行い、股関節加速度計で測定した身体活動量と座位時間を用いた。
性別、学歴、肥満度、喫煙、アルコール、研究コホート、心血管疾患、がん、糖尿病、加速度計装着時間、年齢で調整したCox回帰において、制限付き三次スプラインと分数多項式を用いて関連を検討した。

【結果】 6.7%(n=805)が追跡期間中に死亡した(中央値5.2年、IQR4.2年)。1日の座位時間が12時間以上(基準8時間)は、1日22分未満のMVPA蓄積者においてのみ死亡リスクと関連していた(HR 1.38、95%CI 1.10~1.74)。
MVPAレベルが高いほど、座位時間に関係なく死亡リスクは低かった。例えば、1日10分のMVPA蓄積と0分のMVPA蓄積のHRは、1日の座位時間が10.5時間未満の人では0.85(95%CI 0.74~0.96)、10.5時間以上の人では0.65(95%CI 0.53~0.79)であった。
例えば、1日10分のMVPAと1日0分のMVPAは、座位時間の範囲にわたって死亡リスクを28~55%低下させた(最低リスク、1日座位時間10時間:HR 0.45、95%CI 0.31~0.65)。

【結論】 座位時間は高い死亡リスクと関連していたが、それは1日22分未満のMVPAしか蓄積していない個人においてのみであった。MVPAレベルが高いほど、座位時間の長短にかかわらず死亡リスクは低かった。

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