単純ヘルペスウィルス抗体と認知症の関連
疫学コホート研究では、抗HSV IgGの血清陽性率が、発症性認知症のリスクを2倍以上に関連
この研究成果の解釈は単純にはいかないと思う
Vestin E, Boström G, Olsson J, Elgh F, Lind L, Kilander L, Lövheim H, Weidung B. Herpes Simplex Viral Infection Doubles the Risk of Dementia in a Contemporary Cohort of Older Adults: A Prospective Study. J Alzheimers Dis. 2024;97(4):1841-1850. doi: 10.3233/JAD-230718IF: 4.0 Q2 . PMID: 38306033; PMCID: PMC10894565.
以下日本語訳 written with ChatGPT4
背景：ヘルペス・シンプレックス・ウイルス（HSV）がアルツハイマー病（AD）の病態形成に関与していることを示す証拠がある。
目的：抗ヘルペスウイルス治療および潜在的なAPOE ε4の運搬との関連におけるヘルペスウイルス抗体の存在によるADおよび認知症リスクを調査した。
方法：この研究は、2001年から2005年にスウェーデンに住む認知症のない70歳の1002人を対象に行われ、15年間追跡された。血清サンプルは、抗HSVおよび抗HSV-1免疫グロブリン（Ig）G、抗サイトメガロウイルス（CMV）IgG、抗HSV IgM、および抗HSVおよび抗CMV IgGレベルを検出するために分析された。診断と薬の処方は医療記録から収集された。Cox比例ハザード回帰モデルが適用された。
結果：累積ADおよび全原因による認知症の発生率はそれぞれ4％および7％であった。参加者の82％が抗HSV IgGキャリアであり、そのうち6％が抗ヘルペスウイルス治療を受けていた。抗HSV IgGは、2倍以上の認知症リスクと関連していた（完全調整ハザード比=2.26、p=0.031）。ADとの有意な関連は見られなかったが、ハザード比は認知症の場合と同じ大きさであった。抗HSV IgMおよび抗CMV IgGの有病率、抗ヘルペスウイルス治療、および抗HSVおよび-CMV IgGレベルは、ADや認知症とは関連していなかったし、抗HSV IgGおよびAPOE ε4または抗CMV IgGとの相互作用もなかった。HSV-1についても同様の結果が得られた。
結論：HSV（しかしCMVではない）感染は、認知症リスクが2倍であることを示唆している。このコホート内の低いAD発生率は、ADとの関連を検出する統計的な力を損なう可能性がある。
キーワード：80歳以上; アルツハイマー病; ヘルペス・シンプレックス; アポリポプロテインE; 認知障害; コホート研究; サイトメガロウイルス; 認知症; ヒトヘルペスウイルス1; 神経認知障害。
Keywords: Aged 80 and over; Alzheimer disease; Herpes simplex; apolipoprotein E; cognitive disorder; cohort study; cytomegalovirus; dementia; human herpesvirus 1; neurocognitive disorder.
序文要約 written with ChatGPT4
2023年には、世界保健機関によると、5500万人以上が認知症を患っており、毎年約1000万人が新たに認知症の診断を受けると推定されている。
認知症の症例数は、2030年には7800万人に増加すると見積もられている。
アルツハイマー病（AD）は、世界で最も一般的な認知症の形態であり、認知症症例の最大70%を占める。
HSV（ヘルペス単純ウイルス）感染がADまたは認知症の発症に関与している可能性を示す証拠が増えている。
HSVタイプ1（HSV-1）およびタイプ2は、それぞれ口唇や性器の感染と関連しているが、その区別は厳密ではない。
HSV-1は独自に研究された場合、認知症リスクと関連している。
HSV感染（HSVキャリア）は、血清中のIgGの存在によって示され、IgMの検出およびIgGレベルの上昇は、頻繁な再活性化を反映している。
スウェーデンの成人の平均80%がHSV-1のキャリアである。
ADまたは認知症リスクは、IgGの有病率、IgGレベル、およびIgMの有病率と関連している。
HSVとAPOE ε4（ADの最も強いリスク因子）との間の相互作用効果も見られ、リスクはHSVとAPOE ε4、おそらく他の遺伝的要因との組み合わせによってもたらされる可能性がある。
HSV感染は、認知機能の低下とも関連している。
他の研究では、IgGまたはIgMの有病率、IgGレベルと認知症またはADとの間に関連は見られず、HSVとAPOE ε4の間の相互作用効果も見られなかった。
抗ヘルペスウイルス治療は、HSV関連のADリスクを軽減する可能性がある。
サイトメガロウイルス（CMV）は、ADまたは認知症リスクとの関連が研究されている別のヘルペスウイルスである。
HSVと認知症との関係は完全には明らかにされておらず、これまでに得られた結果は一致していない。
HSVのADまたは認知症に対する潜在的な影響をよりよく理解するためには、共通の共感染、その治療、およびリスク関連遺伝子との潜在的な相互作用を分析に含める必要がある。
Discussion要約 written with ChatGPT4
この前向きな疫学コホート研究では、抗HSV IgGの血清陽性率が、発症性認知症のリスクを2倍以上に関連していた。
アルツハイマー病（AD）との有意な関連は見られなかったが、認知症と同じ程度のハザード比（HR）であった。
抗HSV IgGの血清陽性率とAPOE ε4の保有、または抗CMV IgGの血清陽性率と認知症リスクの間に相互作用は見られなかった。
抗HSV IgGレベル、抗HSV IgMの有病率、および抗ヘルペスウイルス治療は、HSVキャリアのADまたは認知症リスクとは関連していなかった。
全サンプルの抗CMV IgG血清陽性率やCMVサブサンプルの抗CMV IgGレベルとADまたは認知症との関連は見られなかった。
抗HSV/-HSV-1 IgGの有病率と認知症リスクの増加との間の関連は、以前の研究の発見と一致しているが、一部の研究とは矛盾している。
本研究の非有意な結果は、主に統計的なパワーの不足によるものである可能性がある。
抗HSV IgGとAPOE ε4との間の非有意な相互作用は、観察された効果のサイズが一部の以前の研究結果と一致していたため、パワー不足による可能性がある。
抗HSV IgGレベルとADまたは認知症との間に関連がないことは、IgGの存在がIgGのレベルよりも認知症リスクを示唆することを示している。
抗ヘルペスウイルス治療と抗HSV IgG血清陽性個体のADまたは認知症リスクとの間に関連がないことは、過去の研究とは対照的である。
抗CMV IgGとADまたは認知症リスクとの関連については、さらなる研究が必要であることを示唆している。
この研究の強みは、15年間のフォローアップ期間、非常に少ないデータ欠落率、厳格な血清学的評価、およびADおよび認知症の診断と抗ヘルペスウイルス治療データに基づく徹底的な医療記録のレビューにある。