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HT4Rレベル・ダウンレギュレーションが少ないほど、言語記憶が改善され、5-HT4RがMDD治療のターゲットとして重要である可能性示唆

Anti-Depressants May Improve Brain Function, Verbal Memory: Study (medicaldaily.com)

“the lesser 5HT4 receptor better the cognitive outcome”という解説文が混乱をもたらすかも・・・

SSRIの作用: SSRIはセロトニン濃度を上昇させることで、5-HT4Rのダウンレギュレーション(レベルの減少)を引き起こします。
認知機能への影響: 5-HT4Rが完全にダウンレギュレートされず、ある程度高いレベルで維持された患者の方が、言語記憶などの認知機能がより改善するという結果が出ています。
結論: この研究は、5-HT4RがMDD(うつ病)治療における重要なターゲットである可能性を示唆し、特に認知機能を向上させるために5-HT4Rの刺激や調整が有望であるとされています。


つまり、5-HT4Rのレベルが全体として減少することはSSRI治療の一環ですが、減少の度合いが少ない方が認知機能がより改善されるということ

なら、

文脈に合った表現としては「the lesser 5HT4 receptor down-regulation, the better the cognitive outcome」の方が適切です。この表現は、「5-HT4受容体のダウンレギュレーションが少ないほど、認知機能の結果が良好である」という意味になります。

元の文「the lesser 5HT4 receptor better the cognitive outcome」は、5-HT4受容体自体が少ないほど認知機能が改善されるというように読めてしまい、少し誤解を生む可能性があります。正確には「5-HT4受容体のダウンレギュレーションが少ないほど」ということを伝えたいので、「down-regulation」を明示した方が分かりやすいです。

ということになりそうだが・・・

  • 研究者たちは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の使用が、特に言語記憶を改善するなど、脳機能の向上に役立つことを発見した。

  • SSRIはうつ病や不安障害を含む精神的健康状態の治療に使用され、脳内のセロトニンレベルを増加させ、気分や睡眠、感情の調整を改善する。

  • セロトニンは通常、メッセージを伝えた後に神経細胞によって再吸収(再取り込み)されるが、SSRIはこの再取り込みを阻害し、セロトニンの利用可能量を増加させる。

  • 『Biological Psychiatry』誌に掲載された研究では、うつ病患者90名の脳スキャンを用いて、セロトニンが結合する主要な部位である5HT4受容体に焦点を当てた。

  • 8週間にわたりSSRI薬エスシタロプラムを毎日投与した後、患者の気分と認知能力が測定され、40名の患者は再スキャンを受けて5HT4受容体の量が推定された。

  • 患者の気分が改善されたのと同時に、5HT4受容体のレベルが約9%低下していたが、これはセロトニンレベルの増加に適応した結果と考えられる。

  • 認知テストでは、特に言葉の想起能力が向上しており、5HT4受容体のレベルが低いほど認知機能が良好であることが示された。

  • 研究者は、5HT4受容体が認知機能の改善に重要であり、セロトニンが気分改善に欠かせないと強調している。

  • この研究結果は初期段階であり、認知機能低下の効率的な治療にはさらなる研究が必要であると述べている。


Dam, Vibeke H., Kristin Köhler-Forsberg, Brice Ozenne, Søren V. Larsen, Cheng Teng Ip, Anders Jorgensen, Dea S. Stenbæk, ほか. 「Effect of antidepressant treatment on 5-HT4 receptor binding and associations with clinical outcomes and verbal memory in major depressive disorder」. Biological Psychiatry. 参照 2024年9月23日. https://doi.org/10.1016/j.biopsych.2024.08.009.

背景
脳内セロトニン4受容体(5-HT4R)のレベルは、未治療の大うつ病性障害(MDD)患者において低く、言語記憶と関連している。本研究では、MDD患者がSSRI薬の治療を開始する際の5-HT4R、臨床転帰、認知機能の関係を調査する。

方法
中等度から重度のうつ病患者90名が、エスシタロプラムによる抗うつ薬治療前に、分子脳画像検査を受け、5-HT4R結合の測定が行われた。治療前の5-HT4R結合が、治療開始後4週、8週、12週の治療結果を予測できるかを評価した。治療後8週目に再スキャンを行った40名の患者において、脳内5-HT4R結合の変化は、言語記憶の変化およびハミルトンうつ病評価尺度6(HAMD6)によるうつ症状の変化と相関があるかを調べた。

結果
セロトニン作動性介入の8週間後、ネオストリアタムにおける5-HT4R結合は9%減少した。ベースラインからの5-HT4R結合の全体的な変化は言語記憶の結果と関連があったが、臨床的なうつ症状の全体的な結果とは関連していなかった。治療前の5-HT4R結合は、8週目の臨床的回復状態を予測せず、またHAMD6の変化とも関連がなかった。

結論
中等度から重度の大うつ病性障害(MDD)患者において、SSRI治療はネオストリアタムの5-HT4Rレベルをダウンレギュレートし、これにより薬物が脳内の細胞外セロトニンを増加させるという概念と一致している。脳全体の5-HT4Rレベルのダウンレギュレーションが少ないほど、言語記憶が改善され、5-HT4RがMDD治療のターゲットとして重要である可能性が示唆される。この発見は、抗うつ薬の効果の基礎となるメカニズムに対する洞察を提供し、MDDの精密医療治療の新たな方向性を示している。

キーワード
うつ病
セロトニン4受容体
認知
言語記憶
陽電子放射断層撮影(PET)
抗うつ薬治療

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