【今日の臨床】インフルエンザやコロナ感染後の胸郭運動制限は要チェック 理学療法士
今日介入した対象者でインフルエンザになり、局所的な問題に加えて胸郭の可動域制限が強く、動作制限に影響している症例を経験しました。
アキレス腱断裂術後半年程度で12月中旬からインフルエンザに罹患し、久々の介入となりました。
以前に比べ、臥位での下腿三頭筋の筋出力は向上しているものの立位での片側ヒールレイズが不十分であることや歩行の立脚後半短縮するなど動作レベルでの制限が強くありました。
インフルエンザによる発熱等が落ち着いても咳症状は長く続き、現在もみられることがある様子であり、抗重力・従重力下ともに胸郭の伸展・回旋制限が見られました。
特に、下位胸肋関節制限や肋骨下縁・腹筋群の滑走制限、胸郭側面の肋骨・広背筋、前鋸筋、外腹斜筋の滑走制限が認められ、改善を図ることで胸郭可動域が拡大し、荷重下の動作でも片側ヒールレイズでの上肢支持量が軽減し、筋出力が向上、立脚後半相も延長しました。
片側のヒールレイズで下肢機能軸に対して、その軸上に胸郭を動かすことが出来ることで床をまっすぐ押すことができ、重心を上げることが出来るため、胸郭が動かないということは床を強く押せないことと同意になります。
そのため、下腿三頭筋のパフォーマンスがでにくいポジションとなってしまい、結果的に荷重下の動作制限がより強く出ていたことが考えられます。
また、立脚後半相では上部体幹と下部体幹の逆回旋運動をするためには、胸腰椎移行部での伸展・回旋可動域が必須となり、そのためには下部胸郭可動性、その周りの筋の滑走性が重要であるため、それらの改善が歩行の改善につながったことが考えらます。
咳込むことは努力呼気が何回も行われているのと同じで、呼吸補助筋が過活動となりやすいため、脊柱や胸郭の可動域が制限されやすいことが考えられます。
この対象者から、感染症後の咳症状に関連する胸郭制限と動作制限の関係性について改めて勉強させていただきました。
現在、感染症が流行っており、感染症後から運動器疾患の症状が強くなることもよくあるため、胸郭への評価をちゃんとすることが大事であると思います。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。