杖や歩行器の調整・判断基準は? 理学療法士
今回は歩行補助具の選定や設定についてまとめていきます。
立位や移動等で不安定性や疼痛回避目的で歩行補助具の使用は重要だと思います。
しかし、高さの調整や歩行補助具の選択は意外と教科書通りや対象者の希望に沿って行っていることが多いかと思います。
一本杖では立脚の前半の制動をかけたい場合や床半力によるメカニカルストレスを減らしたい場合は少し長めに設定することで体幹を傾けず(代償を軽減して)に上肢支持を得られることができます。
また、立脚後半の加速をかけたい場合や床半力をあまり得られない場合も少し長めにすることで上肢支持が得られやすく、蹴り脚の補助が期待できます。
立脚中期での安定性や立位保持で上肢支持が必要な場合は一般的な高さが良いと思います。
さらに、より安定性が欲しい場合は多点杖などの検討も必要です。
そして、上肢支持であるため、胸郭や肩関節、肘関節を含めて上肢をプッシングできる環境であるか、可動性や筋力は適当か評価することも必要であると思います。
歩行器は両手を拘束される条件であるため、上半身質量中心と下半身質量中心の前後への入れ替えがしにくく、偏った筋機能や可動域を必要とします。
そのため、対象者の生活や身体機能に本当に必要かどうか検討しなければ、他の機能を犠牲にしてしまうこともあるため注意が必要になります。
下肢の弛緩性疾患などで装具等を使っている場合では必ずしも左右対称な動きが動きやすいとは限りません。
いわゆる「半身」の状態が動きやすい場合もあるため、そのような対象者に歩行器を選定することで骨盤の運動幅が狭くなり、下肢を降り出しにくくなることもあります。
さらに上半身の固定によって、下肢の機能軸に対して重心移動しにくくなることも考えられます。
単純にバランスが悪いから、歩きにくいからという考えではなく、どの動作でどういう機能が不足しているからこの補助具が適当などと考えなければなりません。
また、その補助具を操作できる機能の評価も忘れずにすることが必要であると思います。
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※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。