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【今日の臨床】局所と他部位の影響を鑑別する必要性 理学療法士
今日は肩関節疾患の対象者で、肩甲上腕関節とそれ以外の影響を考慮することで症状の緩和に繋がった経験をまとめていきます。
対象者は肩関節周囲炎で症状は両手で洋服を脱ぐ動作、ハンドルを内側に回す動作、鍋を拭く動作で疼痛が出現していました。
疼痛場所は上腕外側部で重苦しい痛みでした。
抗重力位の肩甲骨面上の挙上可動性は左右差なく、水平内転や内旋可動域も自動運動で大きな制限はありませんでした。
また、従重力位での肩甲上腕関節の可動性も抗重力位と変わらずに運動が
スムーズでした。
肩甲胸郭関節、脊柱運動は抗重力位・従重力位でともに制限があり、上位~中位胸椎伸展・屈曲ともに動けない状態でした。
以上のことから、「肩関節運動時痛は脊柱運動が起こらないことで胸郭の形状変化を出来ず、肩甲骨運動が出来ないことから関節窩で上腕骨頭を追従できず、求心位を取れないことで筋スパズムが三角筋に起こっている」と仮説を建てました。
もし、肩甲上腕関節自体に制限があれば、抗重力・従重力位ともに肩甲骨面上の挙上90°までに何かしらの制限が出てくると思います。
その背景としては、
肩峰下に骨頭が入り込む運動は60°程度から起こっており、90°まで運動がスムーズに出来るということは肩甲上腕関節内で肩甲骨と上腕骨頭の相対的な位置関係は問題なく取れるということと解釈しているからです。
そして、肩関節複合体の中でも肩甲上腕関節に比重をかけない条件で制限が起こっていることも肩甲上腕関節以外へのアプローチをすることを後押ししているように感じます。
肩甲骨面上から外れた上腕骨の軌跡であればそれだけ、脊柱や肩甲骨の運動量が相対的に増えるということです。
さらに対側の上肢をものに固定することで対側の上肢を通じて脊柱が固定される条件やシートベルトなどで脊柱側の運動が起こりにくい条件で疼痛が出現していることも上記のことを考えると理解できました。
治療では、Th3~7レベルの肋椎関節、椎間関節可動域拡大と肋骨下縁~剣状突起周囲組織の滑走性改善をすることで関節窩が前方に移動できる量が増えて、内旋位や水平内転位での求心位が改善されることで疼痛が改善されました。
このように局所に症状があることと局所に問題があることは別であるということを改めて感じた経験でした。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。