
ジャンプ動作に対する治療戦略 理学療法士
今回はジャンプ動作に対する治療の方向性や方法についてまとめていきます。
ジャンプ動作はスポーツのパフォーマンスにおいて重要な役割があり、また怪我などの原因となることもあるため、動作改善が理学療法のターゲットになることがあると思います。
また、コンタクトスポーツではジャンプ前後、最中の姿勢の安定性も必要となりますが、まずはコンタクトしない状態で「高く飛べること」と「安定していること」の再現性を高めることが必要です。
ジャンプ動作では床面を強く、まっすぐ押せる機能がとても重要でありますが、意外と出来ていないケースがあるように感じます。
まっすぐ床を押すためには、スクワットのダウン姿勢をスムーズに取れなければならず、そのためには胸椎伸展位で腰椎伸展運動と股関節屈曲運動・足関節背屈運動が必須となります。
この動きが出ないことはCOPの前後移動が必ず入り、まっすぐ押す床反力のベクトル得られません。
さらに膝関節の屈曲が優位でダウン姿勢を取ると床を押せないというパフォーマンスの低下だけでなく、大腿四頭筋活動量が増えてジャンパー膝のリスクに繋がる可能性も考えられます。
そして、上肢の反動を使うことも重要であり、そのためには肩関節伸展可動域が必要となります。
この際に、肩関節伸展運動に伴う肩甲骨内転・後傾運動が必要なり、この動きが取れないことで求心位が取れず、肩甲帯・肩甲上腕関節周囲筋の筋スパズムが起こってしまうと胸郭は伸展運動が出来ず、腰椎伸展・骨盤前傾運動の阻害因子となってしまうため、注意が必要となります。
上記に挙げた動きの構成要素が獲得されなければ、いくら筋力を向上してもパワーロスをしてしまう可能性があるため、優先すべき事項だと思います。
立位姿勢から素早く、ダウン姿勢を取り、床を踏み込むことをトレーニングし、再現性を高めることが治療の一つになると思います。
筋力としては腸腰筋・多裂筋で腰椎・骨盤運動を安定して行い、大殿筋とヒラメ筋で遠心性収縮出来ることが必要であると思います。
特に床をまっすぐ押す「強さ」には蹴りだし時の底屈筋出力はかなり重要であると思います。
アキレス腱をバネのように使うストレッチ・ショートニングサイクル運動が必要となり、伸張刺激のをいかに早く入れることができるかがポイントになります。
アキレス腱に対する治療としてはトランポリンなどを用いて、素早く瞬発的に背屈から底屈運動の切り替えをすることがトレーニング方法として必要となります。
着地動作ではジャンプの初期と同じようにスクワットの姿勢がちゃんと取れることが基本であり、腰椎伸展位を維持しながら股関節の屈曲運動を伴う重心の下降が安定性には重要となります。
また、飛ぶまでの動きで問題があると着地も不安定になることが多く、ちゃんと飛べることがちゃんと着地出来ることの因子の一つになると思います。
これらがしっかりと出来たうえで片足ジャンプや側方・後方へのジャンプ動作などスポーツ競技に併せた特異的要素を盛り込むことが治療の優先順位としては必要だと思います。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。