術後、急性期での患部への介入の目安は 理学療法士
今回は術後の患部への直接的な介入の目安についてまとめます。
術後早期は創部が不安定な状態であり、積極的な介入は逆に治癒過程を邪魔してしまうことがあります。
その中で私が目安としているのは創傷治癒過程です。
これは炎症期・増殖期・成熟期の順で進み、それぞれがオーバーラップすると言われています。
炎症期
術直後から3日以内で患部に血流量を増やして、ダメージを受けた組織を掃除します。
この時には炎症を増悪させることがないよう対象者の疼痛に合わせて、アイシングや物理療法による治癒促進、ポジションニングなどで患部を安静にさせながら愛護的に触れるなどして感覚入力や痛みの経過を観察することが重要となります。
増殖期
3日目から2週間程度とされて、コラーゲン線維が産出され肉芽形成されます。
この時期から少しずつ循環改善と創部滑走を促すことが必要であると思います。
ただし、循環改善は疼痛が見られない範囲でかつ創部や縫合部に伸張ストレスや捻転ストレスが入らない程度が良いと思います。
また、創部の滑走も創部自体というよりはその周囲から創部に寄せるように動かして、伸張ストレスがかからないように行うことが必要となります。
1週間程度経ってきたあたりから非荷重下で短縮方向から自動介助運動や自動運動を行い、感覚入力や循環の改善を狙います。
ADLも無理にレベルを上げて、メカニカルストレスがかかっていないかを把握することが大事です。
成熟期
2週間から数ヶ月とされて、コラーゲン線維のタイプが変化(III→I)し、より安定したコラーゲンの生成が起こります。
2週以降から患部に伸張ストレスをかけて、翌日などに炎症がないか評価しつつ遠心性収縮を促していきます。
また、患部自体にも滑走を入れていきますが、滲出液等のチェックも必要となります。
さらに年齢や既往によっては修復過程に個人差が出るのでI日I日の変化を追って対応することが重要であると思います。
私はこのようなことに気をつけながら対応をしています。
ご意見がありましたらコメントしていただけると嬉しいです。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。