機能的な正座に必要な要素は? 理学療法士
今回は正座を生活に落とし込むために必要な機能をまとめます。
正座に必要な構成要素はざっくり言うと膝関節の深屈曲、足関節の底屈、股関節屈曲、腰椎伸展、骨盤前傾、胸椎伸展だと考えています。
この中でポイントとなるのは膝関節と足関節、そして脊柱の運動です。
膝関節
深屈曲が必要となり、角度は160°程度必要といわれております。
まずは疼痛なく、臀部に踵がつくことが必要となり、かつ坐骨結節より外側の臀部に触れられるようにすることが必要です。
脛骨大腿関節内運動、膝蓋大腿関節内運動そして膝蓋骨・脛骨・大腿骨の骨運動それぞれでスムーズな回旋が起こることが重要となります。
足関節
底屈運動が必要となり、運動制限があることで正座姿勢での床面の圧が前方に移動し膝側に加わり、前傾姿勢のようになってしまいます。
足部の問題が大きい場合は、足部肢位によって膝の深屈曲の可動性が変化することや足背にタオルなどを入れると正座がスムーズにとれるようになるため評価することが必要となります。
底屈時も底屈位での距骨の水平面や前額面上の評価が重要となります。
脊柱
腰椎の伸展運動・骨盤の前傾運動が必要となりますが、
伸展運動も屈曲運動も出来ることで支持面上の重心移動をスムーズにするため、骨盤大腿リズムが円滑に出来ることが重要となります。
腰椎の伸展運動が出来ないと背部筋の遠心性収縮が必要となり、筋筋膜性腰痛の症状に繋がりやすくなり、屈曲運動が出来ない場合や底屈運動制限により腰椎伸展位の強制になると椎間関節性腰痛の症状が起こりやすくなります。
さらに、腰椎上にある胸郭・頭頚部も伸展運動が出来ないことで結果的に腰椎運動の運動域を狭めてしまう要因となるため、可動域評価と治療ターゲットとなることはもちろんあると考えています。
対象者は正座の姿勢を取れればよいのではなく、その状態でお茶を飲んだり、習字をしたり、仏壇に手を合わせたりと上肢活動ができる機能的な座位を必要としています。
そのため、リハ室で柔らかいプラットフォーム上で数十秒できたからといって満足するのではなく、
その姿勢から重心移動はできるか?
座面の硬さが変わっても姿勢保持できるか?
そこから立ち上がりで痛みはないのか?
など広い視野で生活場面への適応を進めていくことが必要です。
今回は正座についてまとめてみました。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。