筋の過緊張は原因か結果かを考える 理学療法
今回は神経系の影響を除いた筋の過緊張についてお話ししたいと思います。
臨床上、筋緊張は主に姿勢性の筋緊張とその他の筋緊張に分けて考えています。
・姿勢性の筋緊張
重力や床反力などの外的負荷に対する筋活動の結果として捉えています。
そのため、姿勢を維持するためには必要な緊張であることが考えられます。
つまり、過剰な姿勢性の筋の過緊張に対しては姿勢を修正することが必要であり、過緊張が根本的な原因であることは少ないと考えています。
だから、その姿勢の構成要素を理解したうえで外的モーメントが対象部位にかかる量を減らす動きをどこで作るかを意識することが必要です。
・その他の筋緊張について
外的負荷とは関係なく、筋の硬度が高くなっていることであり、臨床では「短縮」「筋スパズム」「滑走不全」が起こっている部分として解釈できます。
この3つが起こる背景はそれぞれ別であり、対処法も変わってくるため、メカニズムの理解が重要となります。
①短縮:筋実質部の伸展性低下と筋膜の線維化によって生じる
②筋スパズム:関節周囲組織に何らかの物理的・化学的刺激を受けることで侵害受容器が反応し、脊髄を介して脊髄反射として筋や血管の攣縮を起こす
③滑走不全:炎症により組織修復が起こる過程やメカニカルストレス等により長時間組織が同じ位置にあることで組織の滑走性が低下する
①短縮である場合は必ず、伸張位で硬度が高まり、短縮位で硬度が低くなります。なので筋自体の位置変化に伴い、伸張痛や硬さの変化を評価することが必要となります。
②筋スパズムである場合は過緊張が起こっている筋自体に問題がない可能性が高いため、関節のアライメント修正や軟部組織にストレスのかかりにくいポジションに変化することで圧痛は硬さの変化を評価することが必要となります。
③滑走性である場合は過緊張が起こっている部分の周辺に問題がある可能性が高いため、筋スパズム同様の対応をしても疼痛がや硬さが変わらないことや収縮や筋自体の操作で滑走を出して変化するかを評価することが必要となります。
これらのことから筋短縮や滑走不全など対象筋自体が過緊張の根本的な原因となって動きの制限となることもあるが、筋スパズムのように結果的に対象筋が緊張しているケースがあります。
つまり、過緊張がなぜ起こっているかを評価することが動きを変えるためにとても重要であり、そのためには筋の触診や関節操作ができることが大前提となります。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。