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#保育園デビュー は第一反抗期後に🐶

人間はどこまで動物か』アドルフ·ポルトマン

動物に学ぶ生きるヒント⑴
保育園デビューは第一反抗期後に

はじめに

生まれたばかりの動物たち、特に私たち人間にも身近な、犬や猫などの哺乳類は、まるでスポンジが水を吸い込むように、周りの世界から様々なことを学びます。この大切な時期を「社会化期」と呼び、心と体を健やかに育むための、かけがえのない時間なのです。

ペットショップで可愛らしい子犬や子猫を見かけることがあるでしょう。でも、生後8週間(約2ヶ月)未満の赤ちゃんは、法律で販売することが禁じられているのです。これは、「8週齢規制」と呼ばれ、大切な子犬や子猫たちを守るためのルール(法律)なのです。

動物たちにとっての社会化期は、仲間との絆を紡ぎ、群れの中で生きていくための術を学ぶ、大切な時間です。具体的には、母兄弟との同居で母性愛を獲得したり、兄弟とのケンカごっこで痛みを知り、咬む力加減を学んだりします。

適切な社会化期を経験せずに成長すると、さまざまな「問題行動」(攻撃性や不安症など)を引き起こし、人間や動物との共生が難しくなるリスクが高まります。そのため、海外でも多くの国々で、法律(8週齢規制)が制定されています。8週齢規制のおかげで、犬や猫が心身ともに健全に発達成長し、人間(飼い主など)との快適な共生が期待できるのです。

動物における社会化期の重要性は、人間にも当てはまります。 人間の場合、生後2ヶ月頃から6歳頃までを「社会化期」と呼び、周囲の人々や環境との関わりを通して、言葉や社会ルールを学び、心身の発達を遂げるのです。特に乳幼児期は、母親(または特定の養育者)との安定した関係(安全基地)が、その後の発達成長に大きな影響を与えます。

私たち人間にとっての社会化期は、言葉を覚え、性格や個性を形成し、人との関わり方を学び、社会という大きな舞台で自分らしく生きるための、人生の羅針盤を手に入れる時間と言えるでしょう。

保育園デビューは、お子さんにとっても、ご家族にとっても、新たな世界への扉を開ける、大切な一歩です。 本稿では獣医師として獣医動物行動学(動物の心理学的研究)と心理学的視点を学びながら乳幼児の保育園デビュー適期について考えます。

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