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バロックの基本・中
今回は、バロックの基礎知識(?)ということで、前回触れきれなかった楽器や音楽様式などについてご紹介できればと思います。
この話だけでもお楽しみいただけるよう頑張りますが、ご興味がありましたら前編もご覧くださいね。
代表的な楽器たち
チェンバロ(クラヴィーア・クラヴサン・ハープシコード)
バロックの顔ともいえるこの楽器。国ごとに様々な名称があります。
ピアノのご先祖さまにあたる存在で、ハープのようなキラキラした音が特徴です。
弦を引っ掛けて弾くことで音を出す構造で、中には2段、3段鍵盤の大型のものも!
彫刻や絵付など楽器そのものへの装飾も華やかで、現代のピアノとは黒鍵(黒檀)と白鍵(象牙)が逆転しています。
音の持続性はなく、細かな装飾音符を用いても音が濁りにくい特性があります。
ピアノの前身であるフォルテピアノが開発されたことで姿を消していきました。
パイプオルガン
教会音楽には欠かせない存在。
空気が大きなパイプを通ることで音を出す仕組みで、なんと当時は裏方でふいご職人という職業の方が人力でふいごを押して音を出していました(現代では機械で空気を送り込んでいます)。
鍵盤だけでなくペダルも多くあり、演奏には技術が求められました。残響が長いのも特徴で、前の音、その前の音も考慮しつつ作曲されていたそうです。
ちなみに、今ではバロック音楽を代表する作曲家と評価される大バッハは、生前は作曲家よりもオルガン奏者として名を馳せていました。
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ヴィオラ・ダ・ガンバ
当時のチェロのような楽器です。名前の意味は、直訳すると脚のヴィオラ。ヴィオラとはいいつつも、ヴィオール属というヴァイオリン属(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)とは別分類の存在です。
当時、脇を開くのははしたないとされ、腕を上げずに演奏できるヴィオラ・ダ・ガンバは高貴な人々の楽器でした。
余談ですが、ヴィオラ・ダ・ブラッチョという‘’腕のヴィオラ”(ヴァイオリン属)もあり、こちらは現代のヴァイオリンに近い構え方をするのが特徴。主に市井で愛されました。
今では上流階級のイメージのある高音域の弦楽器ですが、当時は庶民が日銭を得るために演奏していたようですね。
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リュート
実はアナ雪1でクリストフが弾いていました。
中世にアラブからもたらされたウードという楽器がルーツで、日本の琵琶とも近い存在。とはいいつつも撥は早々に廃れ、爪弾くのが一般的だったようです。
バロックにおいては、前回ご紹介した通奏低音や声楽の伴奏を担っていた他、独奏曲も作曲されました。
特徴は弦の数の多さ(なんと10本以上!)。
音量が小さかったことや和音への対応の複雑さにより、一時期はほぼ完全に姿を消してしまったとか。20世紀初頭に興った古楽器への関心により現代に復活しています。
リコーダー
実は、当時の管楽器の主流はリコーダー。宮廷で大活躍していた楽器です。
現代においては栗コーダーカルテットさん(ピタゴラスイッチのテーマを演奏されています)が有名ですね。
大変身近な存在であるソプラノリコーダーやアルトリコーダーの他にも、数多くの種類があります。
今に残るものはジャーマン式とバロック式。ジャーマン式の方が運指(指使い)が多少シンプルなのだそう。
ちなみに、一部地域を除き、小学校でジャーマン式、中学校でバロック式を扱うパターンが多いようです。
フラウト・トラヴェルソ
フルートの前身にあたる楽器。単にトラヴェルソと呼ばれることも多くあります。
作られた時期によっても名称が異なり、バロック・フルートとはこの時期に制作されたものを指します。
ちなみに実は、当時フルートといえばリコーダーのことだったそう。
今のフルートのように金属製ではなく、木製のシンプルな外見をしています。音孔(本体に開けられた穴)は7つ、キィ(ボタン)は1つだけと単純な仕組みで、当然ながら運指も現代とは異なっていました。
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文字数が膨らんで大変なことに……。そろそろ本当に音楽様式や作曲家に触れたいものです。
でも、書きたいことが多いのは幸せな悩みですね。
また次回を気長にお待ちくださいませ🙇♀️