令和のコメ騒動はなぜ起きてしまったのか?広報視点で考える
■令和のコメ騒動
記録的な猛暑や政府による生産調整、インバウンド需要の増加など、複数の要因から始まった2024年の米騒動は、8月8日の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)により拍車がかかり、全国で米のパニック買いが続出しました。この結果、スーパーなどの小売店で米が品薄状態となり、米売り場の棚が空っぽになる写真がSNSで拡散され、「令和のコメ騒動」として話題になりました。
多くのメディアがこの騒動をセンセーショナルに報道し、さらなるパニック買いを助長しました。
■令和のコメ騒動とは何だったのか
騒動のなか、ある知事が政府に備蓄米の放出を要請すると、まさに火に油を注ぐような形で報道がさらに加熱しました。一方で政府は放出する基準には該当していないとして慎重な考えを示しました。実際、騒動が起きている時点で2024年産新米の生育状況は順調であることが確認できているとのことで、9月中には品薄の状況は順次回復していく見込みが立っていました。にもかかわらず、報道関係者は冷静な対応を呼びかけることよりも、米売り場の棚が空っぽになっている様子や米を入手するのに苦労している人々のコメントを躍起になって探し、報道し続けました。
この様子から、令和のコメ騒動は、本当に米が国内から不足したことで発生したわけではなく、このような報道姿勢が巻き起こしたのではないかと考えています。
では、報道関係者が悪いのか。そうではありません。
「報道のジレンマ」が報道関係者を扇動的な報道に駆り立てたのです。
■起こってしまった「報道のジレンマ」
問題の本質を分析し報道するよりも、扇動的な映像や発言を取り上げることが「売れる」状態になりました。これは大衆の不安心理をあおることで読者数や視聴者数を増やすことができるからです。
本来、報道関係者は正義感の持ち主です。不正や犯罪に立ち向かう場面はもとより、日常の出来事などに対しても、ゆるぎない正義感をもって報道する意識を持って行動しています。
ただ、今回のような報道のジレンマが発生する状況下では、視聴率や読者数を重視した結論ありきの記事や番組を制作する傾向が強まります。
■「報道のジレンマ」に巻き込まれた企業の広報がするべきこと
巻き込まれた企業や、関係者には取材が殺到します。
企業の広報部門には、取材を依頼してきた記者が事実を正確に報じる記者かどうかを見極めた上で対応することが求められます。
以下に、正しく報道されるために取り組むべきことをまとめました。
1)正確な情報の提供
正確で事実に基づいた情報のみ提供します。
今回の騒動に関連するデータや、会社が把握している事実、会社の見解や対応策を含めることが重要です。
※決して憶測や推測で答えないこと
2)プレスリリースの活用
プレスリリースを活用し、会社の公式見解を発表することを検討します。
プレスリリースには、問題の背景、会社の対応、今後の予定などを明確に記述し、誤解を招く可能性のある内容が報道されることを未然に防ぎます。
3)取材を受けるメディアと記者を選択
記者の所属メディアや過去記事を調べ、正しい報道ができる記者かどうかを見極めた上で取材を受けます。なお正しい報道ができる記者とは常日頃よりコミュニケーションを取り、良好な関係の構築に取り組みます。
4)最適なタイミングで情報発信
メディアが最も関心を持つであろうタイミングで情報を公開することで、報道の注目度を高め、より多くの正確な情報が公になるよう促します。
5)FAQの準備
想定される記者からの質問と回答(会社の見解)を事前にまとめておき、誰が対応しても同じ回答ができるよう準備します。
記者への対応業務が効率化されると同時に、回答間違いを防ぐことができます。
報道関係者が本来の正義感を持って報道できるよう、企業の広報担当者は臆せず社内に働きかけ、正確で事実に基づいた情報を会社の公式見解として毅然と発表し続ける。
そのような取り組みが求められるのではないでしょうか。
■PRONEを活用し記者と良好な関係を構築、自社の情報を正確に報道してもらう
正確な情報を提供するためには、常日頃の準備が欠かせません。
正しい情報を発信できる記者を探したり、取材を依頼してきた記者が過去どのような記事を書いているのか、自社にどう関わってくるのか常にアンテナを張る必要もあります。
そして、正しい報道ができる記者とは常日頃よりコミュニケーションを取り良好な関係を構築する。
PRONEのPRMメディアリストを活用すれば、記者との関係性を管理し必要な際に簡単にメール配信ができます。
PRMメディアリストは有料の機能となりますが、まずは無料登録できます。ぜひ活用してください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?