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【P+Bインタビュー】トリビュー代表・毛 迪さん(後編)「ユーザーとクリニックをつなぐプラットフォームとしての役割」


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TRIBEAU(トリビュー)は、美容医療のクリニックや施術プランを検索・予約ができたり、施術後の過程がわかる画像付きの口コミを数多く掲載しているアプリで、美容ファンから高い支持を得ているアプリです。美容医療は以前はこっそり行うものというイメージがありましたが、近年若い世代を中心に美容医療を行うことはオープンになっており、Z世代にとっても関心の高い分野といえるでしょう。そこで、後編ではプラットフォームとしてのトリビューについて詳しくお話を伺いました。

毛迪(もうでい)/株式会社トリビュー代表取締役。大学卒業後、リクルートやVCを経て2017年にトリビューを創業。 初期はプロダクト開発やマーケティング、営業を担当し、 現在はファイナンスや組織作りも含めた経営全般を管轄。

治安の良いプラットフォームづくり

―トリビューの口コミを見ていると、ネガティブな投稿よりもポジティブな投稿が多く、治安が良い印象を受けるのですが、口コミの管理は何かされているのですか。

毛:ネガティブな投稿も中にはありますが、こちらで削除することはありません。感情的に悪いことを書いてほしくはないので投稿にはガイドラインを設けていて、施術と関係ない悪口などは修正依頼をすることもあります。なので、ネガティブなものがあってもX(旧Twitter)や匿名掲示板のように荒れることがないのだと思います。投稿するには写真が必須なので、自分の顔を出した上で誹謗中傷などは書きづらいというのもあるのかもしれません。

―写真掲載が必須というのが抑止力になっているのですね。

毛:そうだと思います。

―サクラの口コミなどへは対策を行っていますか。

毛:トリビューからから予約した履歴や、領収書などの確認書類を提出していただく必要があるので、サクラは防げていると思います。

―では次にクリニックに関してお聞きしたいと思います。掲載するクリニックには、何か審査などは設けているのですか。

毛:保健所にクリニックとして登録されているのかや、営業している実態があるかといった確認や過去に問題がなかったかのリファレンスチェックは行っています。

―美容医療に関するトラブル、というのもたまに耳にしますが。

毛:患者さんとクリニックでトラブルが生じるのは施術の結果だけではなく、「こんなに腫れるなんて聞いていなかった」といったコミュニケーションの問題が多かったりします。トリビュー側で良い悪いを決めるのではなく、さまざまな選択肢があった方が良いと思っています。どのクリニックでも、良いと思う方もいれば悪いと思う方もいるはずなので、その方の価値観に合うところをちゃんと絞り込んでいけることが大事だと思っています。

―クリニックとユーザーのマッチングが重要だということですね。

毛:はい。例えば価格重視の方が高級なクリニックに行ってしまったらミスマッチがあるし、逆に価格ではなくその他の部分を重視したい方が安さが売りのクリニックに行ってしまっても齟齬が生じると思うので、ちゃんとその自分に合うクリニックが選べるようにしていくのが私たちプラットフォームの役割だと考えています。

口コミ画面のイメージ(左から順にスクロール)

美容医療を取り巻く環境の変化

―立ち上げ当初から現在とで、美容医療を取り巻く状況はどのように変わりましたか。

毛:サービスの立ち上げ当初は、やはり今とは美容医療に対する見られ方がだいぶ違っていて、「整形のサイト?」とか「すごいニッチだね」というリアクションを多くいただきました。しかし最近では男性からも「シミが気になってるんだけど何やったら良いかな」と相談されたり、クリニックへ通っている方が増えているので、美容医療が世の中に浸透していると実感します。

―美容医療自体への抵抗感はやはり減ってきているのですね。それは世代によっても差がありますか。

毛:あると思います。40代以降は抵抗感が強い方が多いですね。怖い、とか、親にもらった身体にメスを入れるなんて、という考えの方も少なからずいらっしゃいます。一方、10~20代だと「クラスのみんなもやってるし、そういう会話も普通にしている」という感じで、普通の感覚でとらえています。時代の変化だと思います。

Z世代と美容医療

―それだけ世代間で考え方が異なるのであれば、世代別のマーケティングも御社では行っているのかなと思うのですが、Z世代と美容医療に関してはどのような傾向があると感じていますか。

毛:特徴としては、自分の興味関心につぎ込む方が多いのではと思います。弊社のZ世代の社員でも、自由に使えるお金は美容医療に使っています、という人がいます。いろいろなことに少しずつお金を使うのではなく、何にお金を使うかをしっかり取捨選択をしているのは感じます。

あとZ世代の方々は、加工アプリがすごく身近にあるので、かわいくなった自分をイメージしやすい環境にいます。クリニックに施術に行く際、今までだとなりたい芸能人の顔の写真を持ってくる方が多かったのですが、そうではなく自分の顔を加工した画像を持ってくる方が多いです。普段から写真を撮って加工をしているので、「顔のここをこうすれば自分はもっとかわいくなるな」と自分でシミュレーションができるのです。

―以前はそれやりたくてもできなかったですし、こういう芸能人の顔にしてくださいというようなお願いの仕方しか具体的にできなかったのかもしれないですが。それもあって美容医療に対する抵抗も少ないのかもしれませんね。

毛:ある意味かけ離れた顔ではなく、自分の顔をベースにした要望なので、地に足がついていると言えるかもしれません。

あと今はSNSでインフルエンサーの方もオープンに「整形しました」と発信しているのもあって、そういうのを見て身近なことなのだと思う方も増えていると思います。

―確かに以前は発信している人も少なかったですし、整形したことを隠す風潮がありましたね。「〇〇ちゃん整形したのかな」というのが噂話になったりしていました。世代によってこんなに差があるのは興味深いです。Z世代に関しては他にもどのような傾向があると感じていますか。

毛:情報がすごくありすぎて、情報過多になっているところでしょうか。自分で情報を取捨選択するのが難しいこともあり、美容医療に関しても友達が行っているところに行きたいとか、よく見ているYouTuberのあの人が行っているところに行けば間違いないかなとか、広告ではなく友達やインフルエンサーといった「人」でキュレーションして絞り込んでいくことが行われていると感じます。

―ありがとうございます。最後に、今後のサービスの展望や、新しい取り組みの予定などありましたら教えてください。

毛:まずプラットフォームのユーザーをどんどん増やしていきたいです。現在100万ダウンロードを超えましたが、ターゲットの人口を考えるとまだまだ知らない方が多くいるので、もっと認知を広げていきたいです。

あと、美容医療の施術名や機械の名前などに聞いたことのない呪文のようなカタカナの言葉がたくさん使われていて、初心者からするとまだまだとっつきにくいのではないかと思っています。トリビューにもこういった言葉がたくさん出てくるので、例えば毛穴の治療法にはどんなものがあって、何回ぐらいできれいになって、自分の毛穴だったら多分これが合っているだろうな、という感じで初心者の方でも絞り込んでいけるような体験を作れればと考えています。

また、キーワードがわからないと検索自体も難しいので、チャット形式の検索体験といったことも考えています。 友達に聞くような感覚で、どんなコースがありますか、や、毛穴で悩んでいるけど痛くない施術はありますか、という形でできる検索を提供できればなと思っています。

―本日はありがとうございました。

トリビューが感じるZ世代の傾向


①美容医療は特別なことではなく、実際に施術をしている人も多い
② 何かを選ぶ時は、友達やインフルエンサーのおすすめなど「人」を基準に情報収集している
③お金の使い方は、いろいろなことに少しずつ、ではなく興味関心のあることにつぎ込む

美容医療が身近な存在になればなるほど、トリビューのようなアプリに求められる機能やサービスへのニーズもどんどん高まっていくでしょう。今後トリビューがどのような展開をしていくのか必見です。


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