人にはそれぞれ役割があるパート2
「私ってとりわけ得意なことがあるわけじゃない。それに比べてあの子はかわいいし、何でもできる。いいなあ〜」
「この会社でのオレの役割って何だろう?特に期待されてるわけじゃないし、かと言って転職しようにも何かすごいことができるわけじゃないし」
このように特に組織、チームに属していると自分の持ち味がイマイチ分からない。
また他の誰かと比べて落ち込んだり、不安になることってありませんか?
レギュラーや目立つ人ばかりに役割があるわけではありません。
いつもはスポットライトが当たらない人にこそ、明確に役割があり、それを本人を含めてチーム全員が理解していなければいけないと思います。
そのことがチームが大きく成長するかそうでないかの分かれ目になってくると見ています。
今日は湘北高校バスケ部を裏で支えるメンバーの一人、安田君ににスポットを当ててみます。
うまくいかない時は、リズムを変える
湘北高校バスケ部にとって、初めてのインターハイ。
そしてその初戦、湘北はインターハイ常連校で大阪代表の豊玉高校と当たります。
相手チームの挑発をまともに受けた湘北は、リズムを崩します。
何せレギュラー5人のうち4人は問題児軍団ですから、無理もありません。
ここで湘北の安西先生は、早めに手を打ってきます。
花道君を下げ、安田君を投入します。
安西:豊玉はテンポのはやい高得点試合が得意なチーム
このままむこうの得意なペースでまともに組み合うのは危険だ
安田:ペースダウンを・・・?
(中略)
安西:君が みんなをコントロールする いいね?
安田:はい!!
【SLUM DANK新装再編版15巻P107】
いつもは湘北のPGとして活躍している宮城君を別のポジションに回して、安田君にPGとしてチームの司令塔を任せたのです。
試合に出ている間、安田君は何度も自分の役割を思い出したことでしょう。
安西:(オフェンスでは時間をたっぷり使って 赤木君にボールを集めてインサイド勝負)
(中略)
安西:(相手ボールになったらすぐ戻る 豊玉が速攻を出す前に)
【SLUM DANK新装再編版15巻P114〜116】
湘北は速攻を武器とするチームです。
しかし、リズムに乗り切れていないのを見て安西先生はあえて逆のプレーをするように命じました。
いつもと違うことをインターハイ初戦という大舞台でいきなりやらせて、成功するでしょうか?
私は無理だと考えています。
ではいつからこのようなゆったりとしたプレーを練習してきたのでしょうか?
インターハイ出場が決まってからの1ヶ月足らずでは遅すぎます。
おそらく宮城君が怪我から復帰して、インターハイ予選が始まる前からこのような事態が起きても対処できるように準備していたものと考えます。
そして他のチームメイトもそのことを理解していたはずです。
レギュラーではうまくいかない時に活躍するのが、普通のチームでは「控え」と呼ばれている人たちです。
こういった人たちのことを『最後の砦軍団』という言い方があると前回の記事でご紹介しました。
チームを救うのは『最後の砦軍団』
「あなたたちは控えメンバーではありません。『最後の砦』です。最後の砦が試合を決めるのです」
試合を決めるのはレギュラー組だというのが一般的な考えでしょう。そうではなくて、最後の砦軍団が試合を冷静に分析し、エース軍団がダメだった時に取り返しにいくという考え方を伝えたのです。「一軍・二軍」「レギュラー・控え」ではなく、「エース軍団と最後の砦軍団」に分けるのです。
【〈勝負に強くなる脳の中の7人の侍〉より】
エース軍団としていつも試合に出場している宮城君は、スピードと感性を持ち味としています。
しかしすぐにカアーっとなりやすく、周りが見えなくなってしまう性格のようです。
それだけに相手の挑発にすぐに乗ってしまう悪いクセがあります。
対して最後の砦軍団の安田君は、とても穏やかで優しい性格をしています。
ただ優しいだけではなく、度胸があります。
その度胸があるからこそ、ヤジや挑発には乗らずに自分のペースで物事をこなせるのです。
安田君に司令塔を任せたことで、試合開始1分で0−9とリードされましたが、前半10分で14-15と立て直しに成功しました。
あのまま宮城君が司令塔だったら、もしかすると前半で思わぬ大差がついて、湘北が負けていたかもしれません。
それだけにさすが勝負師の安西先生と、それに応える安田君の度胸の良さが光りました。
長所より短所が大事な理由
一人一人役割が大事なことは、ほとんどの方がご存知だと思います。
ではどうやって安田君のような最後の砦軍団としての役割を見つければいいのでしょうか?
私は短所を見ることだと思います。
なぜ短所なのか?
それは長所はなかなか目につかないけど、短所は目につきやすいからです。
長所を探そうとすると、「え〜っと」と悩んで探してしまいます。
ですが、真面目な日本人は、短所をすぐに見つけてしまいます。
私が考える安田君の短所は
・宮城君ほどのスピードがない
・宮城君ほどのテクニックがない
・宮城君ほど闘争心が表に出ない
など他の誰かと比較すると挙げられます。
安田君が宮城君と比べて、自分の短所を直そうとすると相当シンドイのです。
また直そうとしても直らないことに腹をたて嫌気がさして、モチベーションが上がらないなんてことも考えられます。
ほとんどの方は、このように誰かと無意識で比べて自分の短所を無理やりに直そうとしているのではないでしょうか?
安西先生は安田君の短所をそのまま生かしたのです。
・スピードではなく、ゆっくりな展開で試合できるようにしなさい
・無理に勝負に行かなくていいから、周りを生かせるようにパスをして試合しなさい
・自分のペースで、試合を進めなさい
短所を直そうとすれば直るかもしれませんが、相当の時間と労力が必要です。
スピード、回転が速くなっている現代ではいちいち短所を直している暇は無いように感じます。
だからこそ目につきやすい短所を、そのまま活かす方法を考えることの方が現代社会に合っていると思います。
短所からどんな武器が生まれてくるか、そして自分にどんな役割が与えられるのかを楽しめるようになれば、今までと違った人生が見えてくるのでは無いでしょうか。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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