[54.2mm]持つべきは友!
標本DATA
【種類】 ヒメオオクワガタ Dorcus montivagus montivagus
【サイズ】 54.2㎜
【採集場所】宮城県栗原市
【採集日時】2022年10月3日 9:00
【採集方法】Looking採集(ヤナギ類)
【採集者】 Yusuke TAKAHASHI
宮城県で採集された特大と呼べる個体です。ヒメオオクワガタは地域にもよりますが、50ミリくらいから、なかなか採れなくなります。1ミリごとに更に採るのが難しくなり、53ミリは採れない年もある。54ミリ越えはかなり凄いと思います。
手足がスラリと伸びて、美しいクワガタです。
ヒメオオクワガタという名前は、大アゴがオオクワガタに似ていて、オオクワガタと比べると少し小さいからヒメオオクワガタと名付けられたのでしょうね。
または、少し繊細で華奢なイメージ!美しさと気品が感じられるので、「姫(ひめ)」と名付けられたのかもしれません。想像は自由ですね(笑)
標本の出来栄えですが、すいません。生きものイベントで子どもたちに生きたヒメオオクワガタを見せてあげたくて、譲っていただいてから1か月ほど飼育しておりました。おかげで、前脚のフセツがいつのまにか外れ、触覚の先も折れてしまい…。外れたフセツと折れた触角を探すため、飼育ケースをひっくり返して必死で探したのですがオガクズに埋もれてしまい、とうとう見つからず…修理もできませんでした。高橋さん、ごめんなさい。
高橋さんは昨年、知り合ったばかりですが仲良くさせて頂いております。とても気持ちの良い方だと思います。
採集者名ですが、実はフュージョンさせています。
高橋 京介さんと熊谷 祐介さんペアで、いつも採集を楽しまれているそうです。
せっかく二人で採集しているので、採集者は、「高橋 祐介」で行かせてほしいとのこと(笑)
学術的にはダメなんでしょうけど…ここではお二人の意見を尊重させていただきました。
この場所では、比較的若くて細めのヤナギ類の枝先に付いていることが多いそうです。それにしても、こんな大きなヒメオオクワガタが細いヤナギに付いていると、ヤナギの木が撓んでいたのでは(笑)
この場所より少し標高を落とすと、ヒメオオクワガタにアカアシクワガタが混ざり始め、さらに少し下がると、ヒメオオクワガタは見なくなりアカアシクワガタにノコギリクワガタが混ざり始めます。もう少し下がるとアカアシクワガタは消えてノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、コクワガタが中心となります。種類毎に標高差で住み分けていることがわかります。
様々な生きものたちは「ニッチ」を大切にしています。同種間の競争を少しでも減らす知恵なのでしょうね。ニッチの意味は、「隙間」です。英語でnicheと書きます。
私がここで使ったニッチは、「生態的地位」のことで、ある種や個体群が占める特有の生息場所のことです。生息場所が上手く重ならないように、住み分けていることを伝えたくて使ってみました。興味のある方は、是非、調べてみて下さい。知識は自身の宝になります。
【執筆者:川原 洋】