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書籍「プロダクトマネジメントのすべて」を読んでみて
「プロダクトマネジメントのすべて」を読みました。あらすじや読んでみた感想などをまとめていきます。
世界水準のプロダクトマネージャーの叡智はこの1冊で完璧に得られる
プロダクトマネジメントに欠かせない知識、スキル、方法論、マインドセットを網羅しているため(中略)すべてのマネージャー、エンジニア、デザイナーにとっては必読の完全保存版である。
この書籍を読んでみて
プロダクトマネジメントを様々な切り口で解説
書籍の構成は大きく分けて、以下の5つのパートに分かれており、プロダクトマネジメントを様々な切り口で解説しています。
プロダクトマネージャーの役割、プロダクトマネージャーとは?
プロダクトの4階層(Core, Why, What, How)
プロダクトチームとステークホルダー
プロダクトステージやビジネス形態によるプロダクトマネジメントの違い
プロダクトマネージャーとしての成長
プロダクトステージ(0→1、1→10、グロース)やビジネス形態(BtoC、BtoB)でのプロダクトマネジメントの違い・プロダクトマネージャーとしてするべきことに触れられているのは、プロダクトマネジメントの専門書だからではないでしょうか。
また、プロダクトのCoreとなるビジョンの重要性についても、何度も説かれています。「プロダクトマネージャーはユーザーが抱える問題の代弁者」というユーザー視点な表現がありつつも、「ユーザーからの機能改修の提案を鵜呑みにするのではなく、プロダクトのCoreに見合うものであるのかを検討し、必要なものを取捨選択して正しく整形して取り入れなければならない」とも書かれています。
つまりユーザーの代弁者だけではプロダクトマネージャーとしては足りておらず、ユーザーの要望を鵜呑みにするのではなく、一度咀嚼(そしゃく)してビジョン・ミッション・事業戦略と照らし合わせて、最適な道を選ぶことがプロダクトマネージャーであると述べられています。
ちょっと残念だったところ
書籍内では、手法・ツール・フレームワークの解説に多くが割かれていますが、個人的にはこれらの解説をこの書籍に求めていなかったので、冗長的に感じてしまいました。
「バリュー・プロポジションキャンバス」「PEST分析」「SWOT分析」「STP分析」「ユーザーインタビュー」「リーンキャンバス」「ペルソナ」「メンタルモデルダイヤグラム」「カスタマージャーニーマップ」「ワイヤーフレーム」「ビジネスモデルキャンバス」「ロードマップ」
↑これらはChapter6, 7 のプロダクトのWhy, What で紹介されているものです。もしこれらのフレームワークについて知っていたり、これらに言及されているUXデザインに関する書籍をお持ちであれば、正直重複感は否めないところです。
逆に、これらのフレームワークについてほとんど知らないのであれば、この書籍は教科書的な存在になるかもしれません。
章末には「ケーススタディ」として、架空の例をもってこれらフレームワークの活用法を紹介しており、とてもわかりやすく解説しています。
正直な話、「ケーススタディ」のようにこれらの手法をすべて使ってプロダクトをつくりあげるということは、もしかすると理想的なのかもしれませんが、スピード感を考えると非現実的だと考えます。
重要なことは、必要な時に最適な手法を選択できるというスキル。そういう意味でも、どんな手法が存在してどんなメリットがあるかをこの書籍で学び、必要な時に引っ張り出して最適な手法を見つけ出す使い方がおすすめなのかもしれません。
また、この書籍のキャッチフレーズに「この1冊で完璧に得られる」とありますが、個人的にはいい面も悪い面もあると思っています。
プロダクトマネージャーの業務内容は、組織によって・フェーズによって大きく異なる側面をもっており、これらを書籍で幅広く網羅的に扱おうとしているためか、「これ、プロダクトマネージメントの範疇かな?」と思う部分もありました。
例えばですが「プライバシポリシーと利用規約をつくる」という項目。私にとっては今のところ縁がない部分です(あくまで一例として)。
ただ、ゼロイチでプロダクトを立ち上げるプロダクトマネージャーにとっては、必要になるかもしれません。そういう意味では「網羅的」なので、このような規約を作らなければいけなくなった時に、教科書的に取り出して参考にするという使い方がいいのかもしれません。
書籍のなかで気になったフレーズ5選
最後に、書籍のなかで特に心に残ったフレーズを5つほどピックアップさせてください。
プロダクトマネージャーには2種類の仕事がある。プロダクトを育てることと、ステークホルダーをまとめプロダクトチームを率いることである。
(プロダクトの成功とは)プロダクトのビジョンに向かって、ユーザー価値と事業収益を同時に満たす
プロダクトを成長させるための一つひとつの意思決定は仮説である。実際にユーザーに提供したあとは、その仮説が正しかったかどうかを検証して、引き続き同じ仮説に則ってプロダクトを成長させるのか、それとも別の仮説を新しく立てるのかを検討することが求められる。
どれだけユーザーが価値を感じるものであってもプロダクトのミッションとビジョンを満たすものでなければ、長期的にその価値を提供することは難しい。プロダクトのミッションとビジョンを満たす価値は何で、その価値に共感するユーザーは誰であるのかを検討しなければならない。
ユーザーを主語にして考える視点と、ビジョンを主語にして考える視点のどちらもが重要である。
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