書籍「サービスデザインの実践」を読んでみて
「This is Service Design Doing サービスデザインの実践」を読みました。
本書は、サービスデザインを実践するためのすべてを、約600ページにわたって詳細に解説した完全ガイドです。
リサーチ、アイディエーション、プロトタイピング、実装、そして組織への根付かせ方まで、数々の手法と事例を示しながら、世界中の実践者の叡智を詰め込んだ充実の内容。カスタマーエクスペリエンス(CX)、新規事業開発、イノベーション、共創に関心のあるすべてのビジネスパーソンへおすすめしたい一冊です。
あらすじや読んでみた感想などをまとめていきます。
なぜこの書籍を手に取ったのか?
私がこの書籍を手に取った理由は、もちろん自分自身の知見を高めることもひとつです。もうひとつはサービスデザインに関する用語やプロセスを、特にデザインに関与しない方々にどのように説明したらいいか・・・のヒントを得るためです。
例えば「プロトタイプ」についても、なぜ作る必要があるのか・活用することでどんなメリットがあるのかなど。もちろん私が持っている知見で説明することもできるかもしれませんが、言葉足らずだったり。「あぁ、こういう説明の仕方もあるよね」という新たな言い回しだったり。そういったものを求めてこの書籍を手に取りました。
どんな内容?
書籍はサービスデザインの「Why?」と「What?」からはじまり、リサーチ・アイディエーション・プロトタイピングなどの「How?」に至るまで詳細に書かれています。
(私は電子書籍で購入しましたが)紙の書籍だと576ページにわたる大作。ひとつの項目に対して、事例も交えてかなり詳細に書かれています。一方で読み物として読み進めていくと、少し冗長に感じてました。なのでこの書籍は、実際にツールやプロセスをまわす時に、必要な箇所を再度読んで確認する「教科書」的な使い方に適した書籍だと思います。
私が一番面白いと感じたのは、最後の「第12章 組織にサービスデザインを組み込む」。おそらく私自身が組織へのサービスデザインプロセスの導入に難しさを感じているからだと思うのですが、書籍中にかなり現実的なフレーズが並んでいました。
導入には企業文化や組織の変革が伴うため、数ヶ月で実施できるわけではない。組織構造やプロセス、習慣、日常業務、価値観を含む組織体制全般の調整が必要になる。
ボトムアップで導入しようとすると、上層部の賛同、ひいては予算や承認が得られないことが多い。反対にトップダウンだと、現場の支持を得にくい。
幹部とは共通の言葉で話をし、彼らが目下抱えている目標や課題を理解するよう心がけること。(中略)ときには、プロジェクト固有の話を全社的な事業戦略に「なぞらえて説明する」ようにすると、同じ土俵に立って話すのに役立つ。
「サービスデザインいいんです!やりましょう!」という勢いだけでは導入は難しく、小さなプロジェクトでスタートし、自分なりにその組織の中での展開の仕方を考え、賛同者を増やし浸透させていくことが重要であることに気づかされました。
書籍のなかで気になったフレーズ3選
さきほど12章の中からいくつか抜粋したのですが、さらに書籍のなかで心に残ったフレーズを3つほどピックアップさせてください。
「ソリューション」に飛びつかず、ニーズを把握することが真のイノベーションを可能にするのだ。
(サービスデザイナーは)ユーザーファーストを公言し、推測に基づく主張にはリサーチを提案し、裏づけのない感想や延々と続くディスカッションを拒絶してプロトタイプのテストを優先し、(中略)サービスがどう見えるか、どう聞こえるかといった細かいことよりも、それが機能するか、ニーズに応え価値を生み出すかをはるかに重視する。(中略)顧客がどうサービスを体験するか、サービスがどう提供されるか、さらにはそもそもサービスが存在すべきかどうかにまで目を向ける。
「顧客は周りから言われたことやしてもらったことを、必ずしも細部まで覚えているとは限らないが、自分が心地よさを感じたかどうかはちゃんと記憶している」
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