日本のおもてなし「モノ」と「コト
一羽の折り鶴におもてなしの心を!
目に見えるリアルな「モノ」
目に見えないバーチャルな「コト」
日本独自のおもてなしを表現する言葉に、
リアルに五感のそれぞれを使い感じ取る
「モノ」とバーチャルな心やの感性「コト」
と言われる実体験から生まれる
意識(気持ち)や感情があります。
この「モノ」と「コト」が巧みに組み合わされ
心身の活動が「日本のおもてなし」です。
具体的に言えば、
リアルな美しく盛り合されたお料理
そのものが「モノ」であり、そのお料理を
調理した人の感性が表れる盛り合わせ、
味付け、器の選択、それを提供する客人
の感性や味覚に合わせた環境(雰囲気)作り
である設え、お客人により美味しく
召し上がって頂くための材料や器、
召し上がり方や生い立ち・言葉の説明、
客人と心を通わせ合う会話、さり気なく
なされる気遣い・心遣い・気働き、五配り
(目配り・気配り・心配り・手配り・身配り)
の仕草や温かな表情といった持て成す側の
心を表現し実際に味わった料理や商品など
モノにより味わい触れたことで感じた実体験
をまとめて「コト」と言います。
この「コト」の一つである設え(しつらえ)」=
お客様が実際に体験できない目に見えない
仕込みお迎え準備と言われることの例は、
日本の文化を味わえる茶道や旅館・ホテル、
懐石料理店などで、お客様や大切なVIPの
方々をお迎えする時は心を込めて打ち水をし、
玄関に盛塩をして清め、お迎えし、
客人の使われる部屋や茶室の床の間に、
もてなす客人に合せた季節感と風情ある
掛け軸などの装飾品を用意し、時折々の
旬のお花を生けると言ったような総ての
心身の活動が「日本のおもてなし」文化です。
詰り、目に見えない設えの心があり
成されることで初めて目に見える「モノ」
に反映されるているのです。
また、持て成す側(≒主人)は
「どうしたら客人に愉しんで頂け、
満足感や余韻を心から味わって頂けるのか」
を深く思考し瞬時に行う、即ち主人である
もてなす側のさり気ない中に心を尽くした
気遣いや心遣いを大切にします。
一羽の折鶴が枕元に
また、体験したことから別な例を
あげてますと古い歴史のある都内の
ある著名な一流ホテルに泊まった時、
チェックインを済まして部屋に入り、
ふと気付くと枕の上に
一羽の折鶴が置かれてありました。
まだ、
その時はどういう意味で置いてあるのかな?
と感じた程度でしたが少し気になりました。
後日知ったことですが
ホテルのスタッフが部屋をルームメイクの際
「折鶴を折る時のように、
心を込めて部屋の隅々までキチン
と清掃、手入してあります」
と言うホテルのおもてなしのメッセージが
この一羽の折り鶴に込められていると
聞かされ心を動かされました。
部屋の枕元にあった日本古来の千代紙で
折ったさり気なく置かれた一羽の折鶴は、
「和(日本)のおもてなしの心」
の趣きを表現し、その表裏一体の心を
伝え表していると思います。
前記した例と異なった表現をするなら
「モノ」に関する様々な不満やクレーム
の大部分は「コト」≒取組み姿勢(心)で
解決出来ますが、その心が表れる「コト」
に関わる不満や苦情は「モノ」だけでは
解決、解消出来ないということです。
そこに苦情処理の難しさと取組む楽しさ?
があるのではないかと考えます。