著作権の話1?
※著者は法律の専門家ではありません。また、ロビー活動も活発で法改正等もありえるので、記事の内容で気になる点があったら自力で裏取りしてくださいねー。
作家を目指すなら、切っても切れない法律。それが著作権法です。
この著作権が何のためにある法律かというと、ずばり「著作者等の権利を守る」ための法律です。プロになった時に、それでご飯が食べられるのはこの法律の保護があるからなんですね。
この法律を知らないと、創作活動の中で他人の著作権を侵して、思わぬ地雷を踏んだり、公募などの条件で利益を全部持って行かれたり、業務著作扱いになって著作権そのものを失ってしまうことになります。
クリエイティブな活動をする人は、ちゃんと自分の活動するフィールドの法律を把握しときましょうね。(ちなみにこの記事で全部をカバーすることはできません)
さて、ではまずは著作権の及ぶ期間から。2018年に法律が改正されて、今は70年となっています。個人の場合は著作者が亡くなってから70年、団体の場合は公表してから70年が著作権が保護される期間となります。
これ、昔は50年だったのが延長されたんですが、著作権で飯を食っている団体が政治に法改正を働きかけるロビー活動をしまくった結果、世界各国で次々延長されています。
次に、違反した時に罰を受けるまでのプロセスです。著作権法違反は刑事罰の対象なので、違反すると警察に逮捕される可能性があります。しかし、原則は親告罪なので警察単体では逮捕できません。(ただし、2018年の改正で一部非親告罪化しています)
親告罪というのは、被害を受けた本人が被害を訴えて、初めて罪になる罪です。例えば、Twitterで違反している人がいたとして、閲覧者が警察に通報したとしても、違反者は逮捕されません。必ず著作権者からの被害届が必要になります。(ただし、2018年12月末以降は、映画やアニメ、音楽などを無断で配信であれば、被害届なしでも逮捕できる場合があります)
なぜかと言えば、著作権者かどうか、著作権者から許可を受けているか、または著作権者が黙認しているかどうか、警察にはわからないからです。
SNS上で違反が多数あるにも関わらず、誰も咎めないのは、閲覧者に取り締まる権限がないとか、著作権者が取り締まりにかかるコストに見合わないと考えているとか、知名度的にそちらの方がメリットがあると考えているとか、そういう理由にすぎません。
主導権は常に著作権者が握っています。たくさんの人が違反していたとしても、単に目こぼしされているだけで、それが許されているわけではありません。画像検索機能や動画検索機能、文章検索機能が今よりもっと進化していけば、ある時ルールが変わって一斉摘発、なんてこともあり得ないとは言い切れないんです。
では、見たことがある例を見てみましょう。
アウトな例
SNSで新聞記事のスキャンを載せる
よく見かけますけど、実はかなり危険です。新聞記事は完璧に著作物なんですよね。それを勝手にインターネットに流すのはもちろん違法です。
うちの職場は従業員が5万人、関連会社を合わせると軽くその倍はいく規模の職場なんですが、一部の職場内で新聞記事の切り抜きのPDFコピーが回覧されていました。ある時、それが新聞社にバレて抗議されるという事件があったんです。そこから是正されて、今は指定された著作権料を新聞社側に支払っているんですよね。
そこから考えて、記事のスキャン写真をTwitterに載せるとか、正気の沙汰じゃないんです。
やりたければ、WEBページへのリンクにしときましょう。新聞社は読者減少に苦しんでるので、取り締まりのコストが安くなったらやられますよ。
映画やテレビ番組をネット上にアップロードする
これは2018年に非親告罪化しました。昔は海外サーバーを利用すれば海外の法律が適用されるという抜け道法解釈を使い、法の網をすり抜ける行為が横行していましたが、現在は判例的に詭弁にすぎないと否定されています。
自分で作った動画のBGMとして勝手に音楽を使うというのも同様です。
親告罪ではなくなっているので、警察にとっては逮捕しやすくなっている可能性が高いので、注意しましょう。
黙認されているだけの例
二次創作の販売や配信
公式に二次創作OKと許諾している作品もあるので、一概には言えませんが、世間で売られている二次創作の99%は違法です。たまに「これは二次創作です」と宣言すれば違法ではないと誤解している人もいますが、法的に言えば違法であることに違いはありません。
ではなぜ許されているかと言えば、著作権法が原則親告罪だからです。著作権者が被害届を出されなければ、罪にはなりません。(例外はあります)
つまり、黙認されているのは一次創作者の都合によるもので、もしも二次創作者が一次創作者と対立した場合、負けるのは二次創作者です。
ちなみに、トレースすれば大丈夫という都市伝説もありますが、これも本気で裁判したら怪しそうです。
今や同人誌は日本の文化になっていますが、著作権者の消極的な黙認が前提となっていますので、著作権者と対立するようなマネはしない方が良いでしょう。
裁判で判例が出てしまうと、パテントモンスターが困窮するアニメ会社を買収して権利を取得し、二次創作者たちからお金を巻き上げるとか、平気でやる人たちがいますよ。(昔Unixの特許とかで実際に起きた)
マンガのコラ
最近Twitterで、漫画の吹き出しを書き換えたりするものをよく見かけますが、明示的に認めているものはごく稀です。ほとんどの場合は黙認なので、著作権者の逆鱗に触れれば、二次創作同様アウトです。
黙認しているのは、著作権者側にもメリットがあり、取り締まりにもコストがかかるからでしょう。
認められる例
URLのハイパーリンク
URLは著作物とは認められていません。ですから、法的には基本どこでもリンクフリーです。ただし、リンク先が明示的に禁止していた場合、削除要請された場合にリンクするのはマナー違反となる可能性があります。
なお、侮辱と並行してURLが記載された場合は、著作権とは別の問題となりますので注意しましょう・
引用
正規の手順を踏んで、ほどほどの比率の引用であれば、著作権の侵犯とは見なされません。引用については判例が相当積み重ねられており、割と厳格なルールがあります。
昨今の動画批評等の流れを見ていると、もしかすると、また一つめんどくさい判例が増えそうな気がします。
なので、今詳しく書いても、少ししたら変わっているかもしれません。引用については、信頼できそうな情報源で改めて調べることをオススメします。
最近、大物になってから、過去の愚行が発掘されることが多くなっています。プロを目指す人は、日頃、黙認の域を超えてしまうような挙動をしていないか、常に注意しましょう。
そして、黙認されていても、権利者から削除依頼が来たら、即座に対応しましょう。黙認は許可ではないのですから。