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【ドラマ感想文】Netflix「リプリー」〜少しだけネタバレあり

原作はパトリシア・ハイスミスの「The Talented Mr. Ripley」。昨年死去したフランスの名優アラン・ドロンをスターダムにのし上げた「太陽がいっぱい」のベースとなった小説。1999年には映画「リプリー(オリジナルタイトルは原作と同じ)」として公開され、当時のハリウッド映画界で光輝いていたマット・デイモン、ジュード・ロウ、グゥイネス・パルトロウが出演して話題となった作品。ドラマではアイルランド出身の俳優アンドリュー・スコット、Netflixの人気シリーズ「恋愛後遺症」出演で脚光を浴びたジョニー・フリン、そして子役時代からその演技力が高く評価されているダコタ・ファニングというキャスティング。あのジョン・マルコヴィッチもほんの少しだけ出演している。

「リプリー」の映画とドラマ、どちらが面白いかと尋ねられれば、恐らく映画と答える。まずキャスティングが圧倒的に映画の方が好みだ。主役のトム・リプリーは生粋のペテン師。人が騙されやすいような、つまり人に信用してもらえるような風貌とコミュニケーションスタイルを有しているはず。マット・デイモン演じるトムはチャーミングな一面もあって、トムのイメージにしっくりくる。アンドリュー・スコットは何を考えているのかわからない不気味さのようなものが強く現れ過ぎていて、「この人怪しい」と誰もが察することができそうで、しっくりこなかった。

トムに全てを奪われるディッキー役のジュード・ロウ、そしてジョニー・フリンは2人ともなかなかピッタリのキャスティングだったように思う。抜きん出た何かを持っているわけではないが、富には恵まれているディッキー。裕福さゆえのナイーブさを2人とも見事に演じきっている。

ディッキーのガールフレンド、マージの役はダコタ・ファニングに軍配をあげたい。マージは物書きという設定なので、意思の強そうな凛とした女性のイメージ。ダコタ・ジョンソンはそのイメージにピッタリ当てはまっていると思った。

ドラマは全8話で構成されていて、全話モノクロ映像。全体的に暗いトーンのストーリー展開ということもあって、かなりヘビーな映画のように感じた。描く人が違うとこんなにも世界がかわるものなのだと実感した作品だった。

イタリアが舞台の物語なので、カプリ島、ローマ、ヴェネツィアなど、石畳の街並みが映し出される。白黒の映像でもその圧倒的な美しさに魅了される。イタリアを感じるためにこの映画を観るというのも、オススメしたい楽しみ方だ。

3作品それぞれの楽しも方を見つけていただきたい。


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