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【知らないと危険】体脂肪を燃やす毒 ~DNP~

1. DNPとは何か


DNPはプロボディビルダーなどが使用しているハードな減量のためのドーピングドラッグです。実際にDNPを服用すると体脂肪が燃えるという言葉の通り本当に熱くなり体温が上昇します。その上昇度は服用量によって大きく変化し、過剰に摂取した場合には死亡します。

DNPを「体脂肪をへらす」目的で摂取する人がいますが、DNPが作られた本当の目的は全く別です。除草剤・爆薬を作るための原料として合成されました.

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                                               2,4-dinitrophenol (DNP)
この構造を見てピンと来た人もいると思いますが、有名な爆薬であるTNTの構造に似ています。

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                                              Torinitrotoruene (TNT)

実際の合成法については説明はできかねますが、このようにDNPは爆薬の原料になることもあります。爆薬や除草剤の原料を服用してまで体脂肪を燃焼させようとおもいますか?私ならどれだけ脂肪を燃焼したくても服用しません。
 

DNPは2章で詳しく説明しますが、
「糖質・タンパク質からのエネルギー生産を止め、脂質の代謝(エネルギー生産)を促進する」
事によって体脂肪を減少させます。つまり体は脂質からしかエネルギー生産が出来なくなり体脂肪を大量に燃やすしか生きる方法が無くなるということです。
ダイエットドラッグには次の二種類が存在します。           

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                           ダイエットドラッグの分類

DNPは「代謝阻害薬」に分類され生化学分野では「細胞毒」として扱われており、エネルギー生産を阻害する有名な毒素(化学物質)です。この毒素の効果を利用することによって非現実的な1ヶ月で12kgなどといった減量が可能になります。


今回のnoteで何回も述べることになると思いますが、DNPを使用することは全くお勧めできません。DNPは完全な毒です。今回のnoteは最近増えてきたDNPの購入を勧めるアフィリエイトサイトなどのDNPの長所しか述べない記事を信じないようにDNPの恐ろしさを解説します。

まずDNPを用いた場合、どれほどの体脂肪が燃焼するのか実際に計算してみようと思います。
筋肉質な成人男性の基礎代謝が2000 kcal/dayとしDNPを使用することによってすべてのエネルギーを脂質から生産すると仮定すると

        2000 kcal/day ÷ 9 kcal/g = 222 g/day

となり一日当たり約220 g の脂質がエネルギー生産に利用され燃焼されることになります。1日当たりの脂質の平均摂取量は70 g 程度とすると

        220 g ― 70g = 150g

となり、一日当たり150gもの体脂肪が少なくとも燃焼することになります。これは驚異的な数字であり、1ヶ月で換算すると
        150 g × 30days = 4500 g/month
となり一か月あたり4.5 kg もの体脂肪が燃焼されます。

体脂肪だけで4.5kg燃焼するのはボディビルダーにとっては夢であり、多くのボディビルダーがこのドラッグに興味をもつ理由でもあります。しかし、前提として脂肪細胞は体に必要な組織であり数々のホルモンやホルモン様物質(サイトカイン)を放出しています。その為急激に脂肪を減らすこと自体が体にとって非常に危険でありそれ自体が有害事象です。更に、前述のように服用量を間違えてしまうと死に至るようなドラッグです。

2章からはDNPが体脂肪の燃焼を促進する仕組みと、実際の副作用について解説していきます。

このnoteはDNPの利用を推奨するものではなく、DNPについて正しい知識をつけ、死に至るような最悪の事態を起こさないように執筆しています。誤っても安直なきもちでDNPを利用することはやめてください。


2. DNPが脂肪燃焼を促進する仕組み

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