Progate COOが語る、人事におけるKPI設計のヒント
2022年もいよいよ後半を迎えようとしており、新卒採用に向けて慌ただしく過ごしている人事の方も多いのではないでしょうか。
今回も前回に引き続き、人事責任者の経歴を持つCOOの宮林へのインタビュー記事をお届けします。
前回は、新卒採用の動向変化や内定者フォローに関する記事をお届けしましたが、今回は人事担当者が追うべきKPIについて語る記事となっています。
人事はKPIをどう追うべきか
- 新卒採用のKPIをどう追うべきか迷っている企業様が多い印象です。KPIはどう設定するのが良いのでしょうか。
本質的には、やはり退職率が低い良い会社を作っていくことが目標になると思います。もちろん、人材の流動性が重要な時代ではあるので、退職率をゼロにするという話ではなく、会社に対してネガティブな思いから退職するような事象を減らしましょうという意図です。
また、本質的に良い会社を作っていくという観点では、新卒採用段階で面談数や内定数を点で見るのではなく、入社後の状態まで見れた方が良いと思います。単に新卒の人数がいれば十分なのか、圧倒的に活躍できる新卒を何人も創出したいのかを考えておくことで、本当に適切な採用プロセスを作れたのかが決められると思います。
ただ、これを実践するのは難しいんですよね。
- なぜですか?
入社後の人事評価や給与制度まで全体を見直すのが難しいからです。
日本では若い人が減っていくため、企業が若い人を必死に採用しなくてはならない。そのために初任給をあげたり、成果報酬を取り入れたりするものの、同時に大手企業なら70歳まで雇用の努力義務も背負っている。つまり、若い人への投資と、上の世代への投資の両方を走らせなければいけないわけです。
意思決定の早い企業であれば年齢にかかわらず、優秀な人材に投資をする仕組みに徐々に切り替えて行っていますが、多くの企業はすぐに制度を変えるまで至れないのが実情です。
大企業の若手が理想と現実の間で板挟みになっていることも多く、もっと社会全体で変えていくことを発信する必要がありますね。
内定辞退率の変化は外的要因だけではない
- 優秀な新卒を採用したい企業ほど、内定者の辞退という課題にぶつかると思います。人事は、内定者辞退をどう捉えているのでしょうか。
前提として、辞退率は非常に重要なKPIとして扱われていると思います。
人事には大まか2種類いて、①採用数だけを追っている人②内定者が入社後に喜んでパフォーマンスを出してくれるにはどうすればいいかまで考えている人、の2つです。
やはり大きい企業になればなるほど、縦割りの役割が増えるため、点でのKPIしか持つことができず、①に偏るケースが多いです。
①の場合は、内定辞退は起こる前提で考えます。具体的には、例年の想定辞退率が5%だから、そこから逆算して内定者数を出そうという動きです。つまり、辞退率が想定より高くても低くても人事としては困るという方が多いです。
ただ、第1回のインタビューでもお伝えした通り、今の就活生はさまざまなところから情報を取ってくることができるため、会社の内情を比較的知った上で就職先を選べるようになっています。「辞退率が想定よりも高くなった」と感じる企業様も増えており、例年の数字はあまり参考にならないと思った方がいいですね。
全体をまとめると、やはり人事は点でのKPIを追ったり、単発で施策を動かすよりも、全体を見て動く方が良いと思います。会社の体制もあるので、すぐに全体設計に関わることはできないかもしれませんが、時代変化を踏まえて自分の担当業務を動かすだけでも変わります。
1人でも多くの内定者が納得のいく就職先を選んで活躍することで、本人とっても企業にとっても良い新卒採用市場が生まれていくことを願っています。
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