決算書は、社長のためのものではない?!(1-3)
あなたの会社の決算書、あなたは真剣に見たことありますか?
「見てみたけど、よくわからないからすぐ棚にしまってしまう。」
「銀行さんに提出するときしか、触る機会がない。」
あなたが、もしこんな状況だとしたら、その感覚は、”まとも”かもしれません。
なぜなら、決算書(財務諸表)とは、そもそも外部報告用の資料だからです。自社の決算書を欲しがるのは、いつも銀行、取引先(債権者)、そして税務署ではないでしょうか。
そして、経営がうまく行っている会社の社長は、みんな決算書を読める方たちでしょうか。必ずしもそうではない(みんな読めるわけではない)という事実は、驚くことでもないと思います。
決算書には、過去の情報しか載っていません。そしてなにより、未来の経営を考えるための、とても重要な自社の情報が載っていません。 つまり、決算書だけでは、これからの経営を考えることができないのです。
では、未来の経営を考えるための、とても重要な自社の情報とはなにか。
それは、「数量Q」です。
こんにちは。松本充平です。
この記事は、「自分の能力・パフォーマンスを最大限発揮し、自分の人生に1分でも多く自由な時間をつくる」というテーマで、会社または個人事業の経営者へ向けて、発信していきます。(参照:自己紹介)
全12stepでお送りする予定です。今回は、
step1 自社の収益構造の現状把握
このstep1の内容を読んで実践して頂いた方には、以下の二つのゴールへ到達してもらうことを目的としています。
【ゴール】
・自社の現状の収益構造(損益構造)を明らかにする
・収益構造(損益構造)をシンプルに、ビジュアルで把握することができる
このゴールへ到達するために、step1をさらに刻んで4つのstepを踏んでいきます。
1-1 収益構造を現状把握することは、なぜ必要か
1-2 収益構造とは、6つの会計要素から成る
1-3 会計、税務にない要素「数量Q」の重要性
1-4 各要素の拾い出し・MQ会計表の作成
この記事は、
1-3 会計、税務にない要素「数量Q」の重要性
前回、損益計算書、試算表にない情報がこの数量Qだと言いました。このQは、試算表どころか、決算書(財務諸表)のどこにも載っていません。
税務においても、まったく登場しません。しかし、ビジネスの戦略のおいては、このQなしに話を進めることは絶対できません。
この「数量Q」がなぜ重要か、それは、売上に注目すればわかります。
売上ってそもそも何を意味しますか?
例えば、パン屋さんで、その日の売上、いくら?と言ったとき、
「売上10万です!」
この10万円には、必ず「何が、一個いくらで、何個売れた」という内訳があるはず。
つまり、売上と一言に言っても、単価と数量Qの掛け算によって売上が成り立っているんです。
もちろん、単価は一種類ではないでしょう。クロワッサンもあれば、食パンもあるんですから。
パン屋さんで閉店後にオーナーがスタッフに聞きます。
オーナー「今日の売上いくらだった?」
スタッフ「 10万です!」
とりあえず10万で情報としては意味があるんですが、ビジネスを考えるとき、何が何個売れて10万円なのか、そこが重要なはずです。
この数量Qは、場面によって、商品サービスの販売数量であったり、客数をQとして検討することもあり得ます。
目的によって使い分けることになります。
そして、「単価×数量Q」というセットを加えたとき、step1-2で紹介した収益構造のマトリックスには、このように”単価の箱”を左に付け加えて完成します。
これが、収益構造を把握し、戦略を練るうえで重要なツールとなるMQ会計表です。まずは、このマトリックスが“MQ会計表”という名前だということを覚えてください。
いわゆる決算書、試算表だけでは戦略の策定に必要な情報が不足しているんです。「数量Q」がどこにも載ってないんですから。
売上とは「単価 ✖ 数量」である。本来、ビジネスにおいてQは必須の情報。売上をこのように「単価 ✖ 数量」と捉えて頭に置いてください。
そうすると、売上を上げる手段は、少なくとも3通りあることがわかります。実際にはさらにもう二つあります。併せて5つです!
1 単価アップ、
2 数量アップ、
3 両方アップ・・・・
4 単価アップと数量ダウン
5 単価ダウンと数量アップ
「売上を上げる」だけでは具体策がわからない。
「数量Q」がわかって初めて具体策の検討ができる。
そして、このMQ会計表を使いこなすには、”直接原価計算”を取り入れることが必要です。この”直接原価計算”については、今後詳しくご紹介します。
step1-3はここまでです。
次のstep1-4は、
「各要素の拾い出し・MQ会計表の作成」
このMQ会計表に関する参考図書は、
『会計はなぜマトリックスがいいのか?』西 順一郎、宇野 寛(税務経理協会,2005)
そして、株式会社西研究所主催のMG(マネジメントゲーム)に学んだことを盛り込んでお伝えしています。
次回も、「自分の能力・パフォーマンスを最大限発揮し、自分の人生に1分でも多く自由な時間をつくる」というテーマで、会社または個人事業の経営者へ向けて、発信していきます。(参照:自己紹介)
ではまた、次回の記事で。