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原価率と粗利率、 ことばは難しいが、図で見ればカンタン(2-3)

こんばんは。松本充平です。

会計用語で原価とか、粗利とか、それだけでも専門用語のようなフリをしていますが、それに”率”までつくと、”原価率”、”粗利率”........

いかにも頭でっかちの人が口に出してそうな難しそうな言葉に聞こえます。

でも、図で書いてみれば、いたってシンプル。

今回は、これがテーマです。


2−3 原価率と粗利率​
~ 直接原価計算によりMQ会計表が発揮する威力 ~

 前回、2-2では、MQ会計表によって戦略は何通りにもなるという話をしましたが、ここからは、さらに、MQ会計表の具体的な活用方法へ話を進めていきます。​

 戦略を立てる上では、現状を把握したうえで、目標を達成するために、この現状をどう変化させていくか、シュミレーションをします。​

たとえば、単価Pを上げたら粗利MQはどうなるか、このとき数量Qはどれだけ減っても大丈夫か、といったシュミレーションです。​

広告費をかけるときの、費用対効果の測定にも使えます。​

このMQ会計表は、そういったそのシュミレーションに使えます。​

そのシュミレーションの際に、必須になるのが、原価率と粗利率です。

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黄色い〇が二つあります。上が原価率、下が粗利率です。例として、原価率を40%、粗利率を60%とおいています。​

  図の右側の白い箱、この売上PQと原価VQの箱の高さの割合、これが原価率。

つまり、原価率 = 原価VQ÷売上PQ ×100

図で見ると、小学校の算数です。


これらは売上PQを100としてときのパーセンテージですので、​

原価率というのは、売上PQに占める原価VQの割合です。

この事業では、売上PQのうち、40%を原価VQが占めているということです。​


  同様に粗利率というのは、売上PQに占める粗利MQの割合です。

この事業では、売上PQのうち、60%を粗利MQが占めているということです。​

売上から原価を差し引いたものが粗利ですので、原価と粗利を足せば売上になります。

同じように、原価率と粗利率は足すといつでも100になります。​

ことばで書くと、小難しく見えますが、図でみれば、

「なんだ、それだけか。」「小学校の算数か。」

と。そんな程度です。


 さて、ここから、ペースをあげて、具体的なシュミレーションの話へすすめて行きます。

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改めて、さきほどと同じMQ会計表です。

前回までの記事で、

「直接原価計算において原価とは、数量Qに直接比例するものである」

と言ってきましたが、ここでそれがキーポイントになります。​

 この事業において、現状の原価率が40%という実績で計算されています。仮に販売数量Qが現状から2割,3割アップすると売上PQも2割,3割アップすることになります。​

でも、この原価率40%はほぼ変わりません。​

 なぜか。数量Qに比例して増える費用だけを原価と決めているからです。​

原価は数量Qに直接関係があるものだけ!といってきましたが、数量Qが増減しても原価率がぶれないことがポイントです。​

これが、直接原価計算です。

では、どうやって使うのか。

試しに数字を入れてシュミレーションしてみましょう。​

まずは現状把握です。​

例えばこのような事業があったとします。​

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現状から、数量Qを1.5倍にすると利益Gはどれだけ大きくなるか、というシュミレーションをしてみましょう。

まず、数量Qが 60→90へ増えたとして、

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図の左側の単価、P、V、Mは変えません。それぞれ50,20,30。

数量Qが60 →90 

売上PQは、50×90=4500

原価VQは、20×90=1800

粗利MQは、30×90=2700

黄色の数字で示しています↓

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原価VQは数量に直接関係があるものだけ!にしているからこういう計算が可能になります。


ちなみに、固定費Fは、数量Qに関係しませんので、Qが1.5倍になっても増減しません。

固定費Fは、かわらず1500。


したがって、固定費Fを増やすことなく数量Qを1.5倍にできたとき、

固定費Fはそのまま1500ですので、

利益Gは、1200になります。900増加。(黄色の数字↓)

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現実的には、現状からお金をかけずに数量Qのみを1.5倍(60→90)にすることはありえないでしょう。


実際は、次の順序でシュミレーションすることになります。
・目標を数量Q1.5倍と決める。
・P、V、Mは変更しない。
・広告をおこなって、数量Qアップを図る。

では、広告費をいくらまでかけることができるか。

この例でいえば、900が上限です。
なぜなら、広告費は固定費Fに入りますので、広告を実施して数量Qを1.5倍の90にできるならば、利益Gは900増えて、1200になる計算です。


つまり、利益Gの増加分である900を、広告費900を投資して実現したとしたら、利益Gは300のまま現状維持できます。

このとき、プラマイゼロですが、
瞬間的な利益増につながらなくても、数量Q、つまり客数が増えれば、その後、1件でもリピートにつながるかもしれません。

もしリピーターが増えたなら、この広告の効果はあったと言えるでしょう。


ただ、広告費を900投資して、利益900アップ、結果プラマイゼロ。その後のリピートに期待する、というのは、かなり厳しいですね。

考え方としては、

広告費900の予算で、数量Q1.5倍、つまり利益900アップ。これは、必達ライン。

投資した分の回収は、最低限実現できないと、この広告は実行すべきではない。と考えるのが妥当です。


今回は、ここまでです。

また次回もご覧ください。



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