大学教授になって英語を教えよう!:専門領域と研究テーマ(1)-大学院経由のアカデミア派の場合
いい加減に考えてはいけない専門領域
自分の専門領域をどうするかという事は大変重要です。誰もが取り組んでいるような領域は、よほど目立った業績や自分自身の研究能力がないと埋没してしまいます。逆に他の人がほとんどやっていないような研究領域、専門領域というものは武器になることもありますが、逆に需要もないということが多くこれも少し考えものです。このため大学での専任教員職にチャレンジする場合、研究領域や研究テーマは大変重要になってきます。研究領域や研究テーマは簡単に変更できません。このため最初の最初から戦略をもって慎重に考えないといけません。
この問題は、社会人からセカンドキャリアとして大学教員を目指す場合と、純粋なアカデミアから大学教員を目指す場合とでは多少違った側面がありますので、混乱しないように別々に説明したいと思います。まずは、学部を卒業して、すぐに大学院に進学した純粋アカデミア系の場合のキャリアパスから来られる方の場合について考えてみたいと思います。もちろん、社会人からセカンドキャリアとして大学人を目指す方も知っておいてもらって損はありません。
大学院の組織もよく見極めること
大学院経由の純粋なアカデミア系のキャリアパスを考える場合、研究領域、専門領域はどうしても自分の指導教員の専門領域に影響されてしまいます。師弟関係の問題に踏み込んで少々脱線しますが、大学院で指導教員とともに、自分の専門領域や研究テーマを決めるという作業は結構困難を伴うことがあり、ストレスとなることがあります。大学によりますが、講座制が残っていて、1つの講座に教授が1人、そしてその下に準教授や助教が配置されているというケースもあります。これは主に国立大学などに多い形態になります。それとは対照的に、私立大学の場合は教員が全員独立していて、いわゆる学部、学科という正式な組織の下には何も細分された組織はなく、教員が全員フラットの状況にある大学も結構多いです。特に講座性の形を取る組織ではよくあるのですが、その講座で取り組むべき決まった研究テーマが設定されることがよくあります。つまり、教員はその講座の中で歯車の如く講座が推進する研究プロジェクトの一部を担うことになります。万一本人自身が独自の研究を行いたい場合も、講座で推進されているプロジェクトの邪魔にならないようにしなければいけません。例えば最悪帰宅後に自宅で個人的に研究を続けるしかないというケースもあり得ます。
講座制の組織の場合
この講座制で組織的に推進される研究プロジェクトにはメリットももちろんあります。比較的大きなプロジェクトに取り組むことになりますので、学内の資金だけでなく、例えば科学研究費など潤沢な外部資金を得やすいということがあります。これはもちろんその組織を率いる教授の力量によります。講座性の悪い点は、メンバーがそれぞれ好き勝手に自分のしたい研究をやりにくいということにあります。また教授や、支配的な立場にいる上層部の準教授たちは、あまり何もせず、助教や助手、あるいは若手の準教授に実施的な研究をやらせ、教授や力のある準教授は、論文や研究発表などで単に名前だけを連ねる、いわゆるギフトオーサーとしてのさばるという危険があったりします。また、講座制ではない組織の場合でも、明示的、あるいは暗黙の了解で教授たちがいくつかの専門領域でのリーダーになっており、その下に準教授や助教などが緩くぶら下がっている形になっているケースもあります。この場合も、そのグループの束縛が強い場合には、下の階層の教員は、自分自身の独自の自由な研究がやりにくいという弊害があるかもしれません。またこのような場合でも、トップ層の教授と準教授は実質監督だけしており、下の教員に実施的な研究をやらせ、自分たちはギフトオーサーとして論文や研究発表者に名前だけを連ねるという悪しき習慣を残している組織もあります。学会に行った場合はぜひ観察してほしいのですが、ある研究発表で発表者に複数名の名前があがっている場合、誰が実際に口頭発表をするのかはよく注目しておいておくといいでしょう。また、発表者として名前を連ねている教授が、その学会発表会場には来ていないということもあると思います。そういう場合には、教授や上位層の準教授達は、単なるギフトオーサーになっており、名前を連ねているだけという可能性があるかもしれません。
研究分野をどう選ぶか:音声関係の場合
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