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1対1の関係性を育てる。PRとコミュニティづくりについて考えた広報LT大会 #22@Retty
PRLTのブースター担当、さえきちです!10月29日(火)、第22回PRLTが開催されましたのでその模様をお届けしていきます。
今回のテーマは、『コミュニティづくりからPRを学ぶ』。価値観の多様化が進んでいる現代。マスコミュニケーションではなく多様な価値観に応じたコミュニケーションが求められるようになってきています。
そんななか、注目を集めているのが「コミュニティ」。エンドユーザーと双方向のコミュニケーションを築き、事業も発展させてきた好事例について8名の方にお話しいただきました。
PRLTは、毎回異なる会場での開催を実施しています。今回の会場は、日本最大級の実名型グルメサービス「Retty」を運営しているRetty株式会社さん!
Rettyさんの成長の裏にもコミュニティ形成があったそうで…詳しくはこのあとのLT内容でご紹介するのでどうぞご覧ください。
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コミュニティフリーランス 長田 涼さん
トップバッターは、コミュニティフリーランスの長田さん!これからの働くを考えるオンラインサロン「Wasei Salon」など複数のコミュニティ事業に関わっている、まさにコミュニティに関するプロ。
長田さんが考えるコミュニティの概念は、ヒエラルキー型のように上下のある関係ではなく、1対1の関係性の集合体。そして、コミュニティ形成において最低限押さえておきたい3STEPをお話くださいました。
①WHYを明確にする
なぜコミュニティをつくりたいのかを明確にせずに走り出してしまってすぐに継続不可になってしまうケースが多い。その際に重要なのが「なぜコミュニティ形成をしているのか」を明確にしておくのが重要。
その際の考えをインストールするのにお勧めの1冊▼
②コアメンバーをみつける
いきなり数十人や100人から始めるのではなく、まずは1桁から始める。SNSを活用したりイベント参加者から探すなどして、コアメンバーになってくれそうな人をみつける。重要なのは1対1で会い想いを伝えること。
③文化醸成
コミュニティの土台となるのが文化。「どういう場所なのか」「なにができるところなのか」などをメンバーが自分の言葉で語れる状態にしていく。
最後に、コミュニティにおいては「1-1の関係性が築かれるか」がすべてと締めくくられれていました。
コミュニティ形成には時間がかかるものの、急いでHOWTOだけで推し進めると失敗してしまう。何を考えどこからスタートすべきなのか、コミュニティ最初のいろはが学べるLTでした。
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JBUG 西馬 一郎さん
『#JBUG コミュニティで心がけている広報的な日々の活動』
JBUGコミュニティは、Backlogユーザーによるコミュニティ。西馬さんは運営会社ヌーラボの方ではなく、コミュニティメンバーの一員です。普段は日本経済新聞社にお勤めですが、今回はJBUGコミュニティ中の人として運営で心掛けてきたことについてお話くださいました。
コミュニティで重要にしていたのはアウトプットファーストの思想。アウトプットすることでそれがJBUGの広報的な活動になるとの考え。
アウトプットするために工夫しているのは、下記4つの視点。
①イベントでのアウトプットにより参加していないメンバーにも訴求
②イベント時は、会場の雰囲気含め、心理的安全性を高める
③コミュニティ運営メンバーが参加者を巻き込みながら魅力を伝える
④イベント開催前、開催中、開催後の小まめな活動
また、普段運営している地域以外でJBUGイベントが開催されている際に、参加していなくてもTwitterで共通のハッシュタグ「 #JBUG 」を見て応援ツイートや合いの手ツイートを入れるなどして、現地にいないメンバーも一体となってJBUGを盛り上げているそうです。
▼コミュニティ形成について参考にした本
コミュニティの目指す一つの到達点としてよく挙げられるポイントとして、「自走するコミュニティ」という考え方がありますが、参加者が運営してくれたり今回のLTにも参加してくださる…というのはまさに自走しているコミュニティのカタチだと感じられました。
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株式会社PLAY SPOT 権 赫哲さん
『UXから学ぶコミュニティ作り~コミュティを運営してたら、ほどほどに認知度が上がっていた件〜 』
コミュニティ運営の、「コミュニティを作る」「メンバーを増やす」「認知度が上がる。(PR)」という流れのなかで、メンバーを増やすという点を中心にお話しくださいました。2018年時点でメンバー数最大のコミュニティや、都内で最大級のテニスサークルを運営されてきた権さん。では具体的には何を意識してメンバー数を増やしてきたのか?
コミュニティのメンバーを増やすには、リピーターがいる必要がある。そしてそのためには、ユーザー体験(UX)を良くする必要がある。という仮説で改善を繰り返してきたそう。
UXを良くするために意識したこと
①目的を決める
②ターゲットを決める
③ターゲットの考えをまとめる
④ターゲットが欲しているものを考える
⑤提供内容を考える
権さんは上記をまとめるためのテンプレートを用意して整理されていたそう。
漠然とメンバーを増やそうとしても、目的やターゲットと一致していなければ主催者側にとっても参加者側にとっても満足いかない結果になってしまう。そのためにも、事前に必要事項を明確に言語化していくのは非常に重要だと感じました!(ちなみに、権さんはコミュニティきっかけでご結婚されたそう…!おめでとうございます!)
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株式会社ディー・エヌ・エー 宮本 昌尚さん
『シェアリング文化普及のためのコミュニティ×PR』
マイカーをカーシェアリングできるサービス「Anyca(エニカ)」に携わっている宮本さん。コミュニティをPRにどのように活かすのかを中心にお話くださいました。
コミュニティがPRに活かせるだろうということで、コミュニティ&PRマネージャーという役職をつくられた宮本さん。会員数増加などのマーケティング的な結果も出すためには、PRとコミュニティを結びつけるのが重要という仮説で実践されたそうです。
コミュニティの価値「顧客の5VALUE」(下記)から知識価値を中心に取り組みを広げられたそう。
・生涯価値(ライフタイムバリュー)
・影響価値
・知識価値
・サービス共創価値
・紹介価値
そして、イベントでユーザーと会ってエピソードを聞く中で、ユニークな体験があることに気づきます。
・イベントでユニークなユーザーエピソードを知る
・面白い話題をオウンドメディアにまとめる(=ネタづくり)
・ネタをもとにメディアに取り上げられる
という流れを生むことで、コミュニティを作るだけでなくもっているネタをPRにつなげていくと、サービスも伸びていったそう。コミュニティの価値を最大化するためにも、もっているネタをPRとかけあわせて昇華させていくのが非常に重要と感じました。
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株式会社6curry もりゆかさん
『会員制カレーブランド6curryが大切にしているコミュニティ運営の考え方』
月額会員制・招待制のコミュニティキッチン「6curryKITCHEN」を運営されている6curryのもりゆかさん。マスメディアでもよく取り上げられていますが、重要視しているのは「リリースではなくグロース」。
リリースしたあとも、自分たちが何を伝えたくて何を達成したいのかビジョンに立ち返りグロースさせるのを大切にしているそう。コンセプト「EXPERIENCE THE MIX.」が達成できない時はきちんと改善。リリースした後に立ち返れるコンセプトやビジョン設定の重要性を実例を交えてお話してくださいました。
ビジョンやコンセプトをしっかりと定め達成に向けて正しくコミュニティを発展させることが、結果的にブランド価値になり取材等にもつながっていくのだと感じられました。
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株式会社メルカリ 木下 雄策さん
『頑張らないコミュニティ運営 ~苦なく継続するコミュニティの作り方~』
複数のエンジニア系コミュニティ運営を経験してきたメルカリの木下さん。色々なコミュニティを開催してきたからこそ体得してきたコミュニティ運営の”いい手抜き術”についてお話してくださいました。
コミュニティ運営で無理せず継続していくために重要なのは下記6点。
①運営は5〜6人以上
②運営メンバーに参加を強制しない
③運営陣はゆるい役割分担をしておく
④準備を減らす
⑤片付けは参加者にも手伝ってもらう
⑥運営メンバーは入れ替わるもの
スライドは下記に。
発表するぞーhttps://t.co/PG1aXCPJI0
— afroscript@MercariのEngineering Office/ギフト&レザーの兼業社長 (@afroscript10) October 29, 2019
#PRLT
コミュニティ開催していくうちに手抜きポイントを理解していくケースが多いと思うので、たくさん開催してきた木下さんだからこそわかる非常にリアルなコツと感じました!無理なく継続していける仕組みを作るのが重要ですね。大変多くの方がうなずいているのが印象的なLTでした。
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株式会社しびっくぱわー 堀下 恭平さん
『集団遺伝学的視点から考える地域の生態系』
LT最後を締めくくったのは、「あえてタイトルにもコミュニティというワードを入れませんでした」というしびっくぱわーの堀下さん。集団遺伝学の視点から発展性のあるコミュニティについて考えたことをお話してくださいました。
出発点の考え方は、「あなたと私はわかり合えない」。共通理解がない時に私たちは理解し合うことが難しい。だからこそ言語化が重要で、言語化は思考であり、わかりあうためには言葉を使ったコミュニケーションで互いに理解をしていく必要があります。
ここでさらに深堀するために登場した考え方が「ハーディ・ワインベルグの法則」。ある一定の条件下において、時間が経ち表面上は変化しているように感じられても、性質は変わっていない。下記のような環境を見たせば環境は安定しますが、逆説的に考えればコミュニティにおいて下記を満たさなければ発展性をもてるということになります。
▼下記で環境は安定する。(逆であれば安定しない)
・他の個体群との間で個体の流出入がない。
⇔他コミュニティとの交流を活発に行う
・突然変異が起こらない。
⇔主義信条、人種、年代、性別などあらゆる属性を受け入れる
・遺伝子型や表現型の違いによる自然選択がない。
⇔オーナーやスタッフの主観による趣味を押し出す
生物学的な知識をコミュニティに発展させて、発展性のあるコミュニティについてお話して下さいました。
どうしても同質のまま安定させたいという気持ちが芽生えてしまいがちですが、活発化するためには「異質」を目指してコミュニケーションを増やしていくのが非常に重要というのが新鮮な視点でした。
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今回は色々なバッググラウンドの方が登壇してくださり、まさに”異質”な皆さんが集まりコミュニケーションが非常に活性に交わされた会となりました。そして、PRとコミュニティのかけあわせによる可能性もよりリアルに感じることができました。
#Special Thanks
【助っ人のみなさま】
・福井桂太さん
・株式会社GOSPA 田代政徳さん
noteも書いてくださいました!
ありがとうございました!!(よっ)
【Togetterまとめ】
大泉さん(@beajourneyman)がTogetterで #PRLTツイートをまとめてくれました !(よっ)
# 次回は12月17日開催
次回開催のPRLTも参加者受付中!
「国の政策・マストレンドを活かす広報LT大会#23 〜2019年総ざらい〜 @ヤプリ」
今年は改元、消費税増税、オリンピック、台風被害など大きなニュースが絶えない 1年でした。これまで多くの「広報」手段をシェアしてきたからこそ、2019年最後は「公聴」の姿勢について考え、2020年に向かっていきたくなるような1日にしましょう!
# LINE@開始しました
そして最後にお知らせです。
PRLTでは新たに「LINE@」を立ち上げました!(よっ)
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