ピーキー過ぎる初代所長の話
私は以前、 国が管轄する 敷地を整備するために 複数の会社の人間や 役所からの 天下りの人間が 集まった、 共同事業体で仕事をしていた事があったのですが、
その共同事業体は
役所の派閥争いで 破れた人間の天下り先 になっていて、
共同事業体の所長は、 役所の派閥 争いで敗れた公務員のえらいさんが務めることは決まっていました。
そして、なぜかそういう 天下り先に勤める 人って汚職が多く、 歴代所長の9割9部は 汚職で懲戒解雇もしくは自主退職 という形で所長が入れ替わっていました。
私が 「この職場の所長って みんな汚職をしちゃうんですか?」と古株の職員に聞いてみると、
「 初代所長の I さんは、 そんなことなかったよ」
と私に 初代所長の伝説を話してくれました。
伝説の初代所長のIさん
その共同事業体の初代所長の I さんは 非常に仕事が好きで、
Iさんの仕事好きエピソードの中に こんな話があり、
ある時、 共同事業体が管理している敷地に 台風の影響で 大量の砂が積もってしまったので、
職員と人材派遣会社から来た助っ人 を含めて 9人がかりで スコップを使って 砂の除去作業をしようと スコップを9本 用意していると、
おいお前ら!!!
「俺のぶんのスコップがないじゃねーか!! お前ら俺に仕事させないつもりか?」
と、 所長自ら スコップを持って 災害復興の仕事を現場の職員と一緒に働く ような人で、
発明家でもあり、
その初代所長が 1から図面を引いて 作成した 「オールステンレスの組み立て式特殊清掃船」は、 ステンレス製がゆえに 制作費用もバカ高かったが、 製造してから10年以上現役の 特殊清掃船であり、
組み立て式なので、 海つながりで移動する以外にも、「分解してトレーラーなどで陸路を運ぶことができる」 という利点があるので、
(湖)や (お城の堀)の 清掃などに貸し出すことができる と言う なかなかの発明品でした。
操作性がピーキーな特殊清掃船
ただ、この組み立て式特殊清掃船 のプロトタイプは、 2隻の船を1台に組み立て 清掃船として使用する と言う 構造上↓
(二隻の舟を↑)
(↑船のあいだに水上・水中清掃用のステンレス製パイプでできた[キャタピラのような清掃機械]と一緒につなぎ)
(↑その上にコックピットを乗せて組み立て完了)
[手元に写真がなかったので手書きで書きましたw]
この特殊清掃船 、(2台の船を同時に扱わないばならない)と言う 結構高い操縦技術が求められる船でもありました。
2代の船を平行して並べて動かしているので
右の船が早く進みすぎると左に旋回してしまい、左の船が早く進みすぎると右に旋回してしまうw
そして人工海岸や湖などの 清掃に使用するので 浅瀬を清掃している際は 左右の旋回だけではなく船底も注意しないと、
浅瀬に乗り上げてしまう。
そういうことに注意しながら水上に浮かんでいるごみや水中に生えている悪臭を放つヘドロがついた水草を、 船と船の間に取り付けた 鉄パイプ製のキャタピラのような 水上&水中清掃用の機械で 回転させながら取るという 特殊清掃船。
もちろん水の底から 生えている水草を回転させながらむしり取るので、
清掃という観点で考えると、 船底や 清掃用の機械が 湖や海の浅瀬の底のギリギリ を通るようにしないと キレイに清掃できません。
分解して陸路移送できるので様々な環境で水上水中を清掃できるという利点がある清掃船ですが、
操作性がピーキーすぎる プロトタイプ特殊清掃船。
[ピーキー]とは
・挙動が神経質であり、ある限定的な範囲では非常に高い性能を発揮するが、その範囲外の場合は操縦性が低い事。
・限定的な範囲でのみ高性能を発揮する事。
そんな操作性が悪い プロトタイプ特殊清掃船を 初代所長の I さんは、 左右の人差し指でちょんちょんと細かい操作をしながら笑い話をしながら簡単に操縦いたそうです。
(他の船員はそんな簡単には操作できませんw)
そんな仕事ができて、発明もできて、 かつ船の操縦技術まで高い 初代所長の I さんだったのですが、
何故か、持ち歩いてる双眼鏡
なぜか、その扱いが難しい清掃船に乗って 海に出るときは 必ず首から双眼鏡ぶら下げて、 こまめに砂浜の方をよく見ていました。
他の船員が「所長、何を見ているんですか?」と尋ねると
「 砂浜に可愛いお姉ちゃんがいるんだw」
と、 仕事中でも可愛い女性がいたら、 そちらを見ずにはいられないという、 ちょっとした、 どうかしているクセもありました。
そんな変人で、 数々の伝説を残した初代所長でしたが、 仕事は非常にまっとうで 、歴代所長の中で 汚職などせずに退職した数少ない人 でもありました。
天才と変人は紙一重。というのを体現したような人でしたw
私は、 その共同事業体で働いてた時期が違ったので 、一緒に仕事がしたことがなく、 その伝説だけを聞いていたのですが ……そんな面白い人なら一緒に働いてみたかったwwと思うような人でしたw
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?