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【プリズンライターズ】オレはいつから罪を犯すようになった❓

 さて、積み重ねというと、どうせ努力や日々の行いとか言うんだろうと思われるかもしれませんが、その通りです。
まさに、日々考えたことやったことの積み重ねがこれからの自分をつくっていきます。良い方にも悪い方にも。
 
 皆さんは、「なぜ罪を犯したか」ではなく、「なぜ罪を犯すようになったか」を考えたことはありますか? 
どれだけ大きな罪でも、その始まりはほんの小さなことだったのではないでしょうか。
 
 私は、強盗殺人未遂の罪で無期刑となったのですが、よくよく考えると、その始まりは子供の頃にまで遡ると気づきました。
子供のかわいい嘘も重ねればかわい気がなくなり、おつりをごまかすようになり、財布から抜くようになり、万引き、かつあげ、強喝、強盗と。

 また、人を傷つけて平気になったのも、「やられたらやり返す」が「やられる前にやる」になり、
暴力で我を通すのが当たり前になり、気づけば周りは同類ばかり。たまに「これでいいのか?」と思っても、引くに引けず・・・
小さなことの積み重ねが止まるに止まれない環境をつくり、一線を越えたらもう・・・
事件当時は、罪を犯すことに何も感じなくなっていました。
皆さんはお金が落ちていたら拾いませんか?私は拾います。何も考えません。当時の私には、犯罪とは、そんなものでした。
 
 どうでしょう、覚えのある方もいるのではないでしょうか?だからこそ、今、ここでどう生きるかが大きな意味を持つのです。
施設での生活は細かい規則に縛られていますが、規則を「守らされる」のか「守る」のか、この差はとても大きい。
「誰も見てないし」「これくらい」の積み重ねは、いつの日か必ず自分の足を引っ張ります。
自分の意思で守ってこそ、自信となり、覚悟となり、一線を越えそうな時に踏み止まらせてくれます。
私も何度か懲罰を受けましたが、昨年12月で20年無事故を続けています。
無期の身ゆえ先のことは分かりませんが、どういう人間になりたいか、どう生きるか、しっかりイメージして、一日一日できることを積み重ねていきます。
 
 最後に、指針としている言葉を紹介させてください。
 
 自分が変われば相手が変わる
 相手が変われば心が変わる
 心が変われば言葉が変わる
 言葉が変われば態度が変わる
 態度が変われば習慣が変わる
 習慣が変われば運が変わる
 運が変われば人生が変わる
 人生が変われば日々がしあわせ
 
では、本年が良い年となりますように、そして、我等の事務局長の無実が1日でも早く証明されますよう祈りつつ。

P.S
 皆さんのところでは、他施設の職業訓練を終え、帰ってからの等工と割増はどうなっているでしょうか?
O刑は元工場に戻れるか分からず、回された工場によっては、元は1等工でも3等工に落とされます。
割増(作業成績、生活態度)も、元工場に戻る戻らないにかかわらずゼロになります。
 施設側は訓練を推奨しますが、この処遇が原因で諦める人も多いです。
私も、3等工の割増ゼロとなり、理由は「他施設(所外)に出たから」の一点張り。
「文句があるなら、10等工からでもいいんだぞ」とのことでした。
これは、O刑だけなのでしょうか?皆さんの施設のことを教えて頂きたいのですが、よろしくお願いします。

(俳句)
無期刑やゆめと知りつつ夢はじめ
はや風邪をもらひて仕事始めかな
ひだまりをふくふくふくら雀かな
カウンター狙うフォワード風花す
沸点の近き二人へ隙間風

(短歌)
・寂しさと目が合う半歩手前にてジングルベルの鼻歌ひとつ
・今年最後の出荷迫りぬ週末に思いもかけぬ面会の父母(ふぼ)
・我見やる母の眼(まなこ)の奥にある不安を隠すごとく涙は
・朝な夕な祈り続けしこの日々に神は近くにある日は遠く
・この冬を共に越そうぞ天井の小さき蜘蛛避け大掃除終ゆ

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