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Technical Audio Designer 木幡 周治 / Shuji Kohata

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マガジン

  • Prismaton - オーディオと周辺分野の技術関連

    記事のうちオーディオと周辺分野の技術関連のものをまとめました

最近の記事

サンプリングレートは表現したい周波数の倍で足りるのか?

少し前に量子化 bit 深度の note を書いたので、次はサンプリング (標本化) の話かな?というところなのですが、こちらは量子化よりも根が深く物議を醸しそうな危険があります……。 また、「サンプリング定理 (標本化定理)」など理論的な面が目立つ分野になっていて、しっかり紐解こうとすると一気に難解な記述になってしまうため、そこにも注意する必要があります……。 そんな闇の深いテーマの入口を気楽めに覗けないかといろいろ検討した結果、「サンプリングレートは表現したい周波数の

    • 環境音実装のノウハウ共有について、反省会

      CEDEC2024 で講演させていただいた内容について、記事を書いていただいたのをきっかけに少し note ならでは?の反省会をしてみることにしました。 記事というわけで書いていただきました!是非見て何かのお役に立てていただければ嬉しいです! 3Dゲームにおけるサウンドの配置と再生方法の基礎を学ぶ。ただ鳴らすだけではない、環境音実装に必要な知識とは【CEDEC2024】 反省会講演目的の達成度合い? 講演後に色々な方とお話できたのですが、内容に対して「文字通り基礎のお

      • オーディオの量子化 bit 深度は何 bit 必要なのか?

        「オーディオの量子化 bit 深度」に関しては、最近ではそれ程気にかけなくても良くなっているという認識だったので、ことさら取り上げていませんでした。 しかし、ここ最近「bit 深度そこまで要らなくない?聴き比べても分からなくない?」的な話をちょくちょく見かけるのが気になってしまいまして……、この話題について少しだけ触れてみることにしました。 正直あまり実用性が高い知識とは思わないのですが、デジタルオーディオに対しての解像度が深まるきっかけになれば嬉しいです! 前提条件の

        • インタラクティブミュージックだけじゃない!ゲームの音楽演出!

          最近ではゲームの音楽演出として、「インタラクティブミュージック」が知られるようになってきました。楽曲だけではなく音楽演出に注目が集まるのは興味深いことで、個人的にはありがたく感じています。 一方で、「インタラクティブミュージック」は用語として一人歩きしている面があると思っています。「インタラクティブミュージックを導入するかどうか?」のような議論が音楽演出の前提抜きに語られてしまう場面にも遭遇することがあり、少しのやるせなさを感じています。 そこで本稿ではゲーム制作における

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        • Prismaton - オーディオと周辺分野の技術関連
          14本

        記事

          オーディオコーデック音質評価のやり方

          オーディオコーデックは、オーディオの最終品質を無慈悲に左右する要素です。せっかく細かいニュアンスを作り込んでも、エンコードによって台無しになってしまうこともあります。 一方で、オーディオコーデックに関しての質の良い言及は非常に少なく、特に音質評価に関しては「どうせ区別がつかない」「結局は好み」などといった雑な極論が蔓延してしまっているのが原状です。 そこで、その「音質評価のやり方」をテーマとして本稿を書くことにしました。 主にインタラクティブオーディオ制作におけるオーデ

          オーディオコーデック音質評価のやり方

          映像のフレームレートについてのいろいろな文脈

          最近では映画、アニメ、ゲームなどの映像のフレームレートについて、様々な意見を見かけます。 例えば下記のような感じのものです。 (具体性を消すため適当に意を汲んで書いています。個々には特に批判などの意図はないので軽く流してください) 30fps と 60fps の区別は付かないので 30fps で良いのでは? 映画は 24fps だし 24fps で十分なのでは? アニメは秒間 8 枚でも十分な表現が出来ている 60fps に補完したヌルヌル動画の動きが安っぽい。フレ

          映像のフレームレートについてのいろいろな文脈

          真のラウドネス値 追い求めて - 海苔とK-weightingと私 -

          近年では、多くのプラットフォームで「ラウドネス規準」や「ラウドネスノーマライゼーション」の運用が行われるようになり、オーディオ制作時に意識する必要のあるものとしての認識が広がっています。 一方で、ラウドネス関連に対する取り組みや考え方に関してはオーディオ制作者の中でもバラつきが大きく、不要な摩擦の要因となっている面すらあります……。 本稿はそんなラウドネス関連に対して「真のラウドネス値とは何か?」というテーマを元に掘り下げることで、より本質的なラウドネス値との向き合い方を

          真のラウドネス値 追い求めて - 海苔とK-weightingと私 -

          サウンドなのか?オーディオなのか?

          ゲーム業界における職種などの呼び方に関しての議論が最近良く起こっている気がします。例を挙げていけば「ゲームデザイナー」「レベルデザイナー」「ナラティブデザイナー」とか色々ありますね。 こういった職種などの呼び方に関する混乱はゲームオーディオ界隈でも起こっていて、というか多分他の界隈と比較しても結構凄いと思うんです。 例を挙げてみると、 職種領域 (セクション) を表す名称として海外では「ゲームオーディオ」「オーディオ」が普通だけど国内は「ゲームサウンド」「サウンド」

          サウンドなのか?オーディオなのか?

          物理イマーシブオーディオ環境を DIY してみたメモ

          そろそろ仕事で必要そうだったので、イマーシブなオーディオ環境を構築してみました。これから構築しようという人も多いと思うので、メモを整理して公開してみます! 目指したところは、インタラクティブなイマーシブオーディオの確認や実装をするにあたって筆者基準での必要最低限の環境という感じです。事情によって異なる箇所も多く今後大きく変化していく可能性も高い所だと思うので、参考程度に見ていただければと思います〜。 ところで「イマーシブオーディオ」というと、概ね高さ方向の表現を含めたスピ

          物理イマーシブオーディオ環境を DIY してみたメモ

          リスナー位置はカメラにはない、プレイヤーにもない、創るものだから

          ゲームオーディオにおける「リスナー」とは「聴き手」を表し、効果音の減衰やパンニングを行う際に、基準となる位置と向きを表します。 FPV(First-Person View) のゲームではカメラとプレイヤーキャラクター(以下プレイヤー)が位置も向きも一致しており、リスナーは多くの場合カメラの位置と向きがそのまま採用されます。 しかし、TPV(Third-Person View) のゲームでのリスナーはそうはいきません。どういう位置に置いてもメリットとデメリットが生じ、また人

          リスナー位置はカメラにはない、プレイヤーにもない、創るものだから

          「オーディオ版レイトレーシング」と「物理シミュレーションによる音響空間表現」

          「レイトレーシング」は 3D グラフィックスの重要な技術となっていて、レイトレーシングを使ったリアリティの高いグラフィックス表現を見る機会が増えてきました。 また同時に、「レイトレーシングをオーディオに応用する」といった言及もちょいちょい見かけるようになりました。 しかし、グラフィックスのシミュレーションにレイトレーシングが有効なのは光の特性をレイトレーシングで近似できているからであり、音の特性に関してはレイトレーシングだけで近似するのは困難です。これはもう少し広く知られ

          「オーディオ版レイトレーシング」と「物理シミュレーションによる音響空間表現」

          ゲームの遅延についてまとめる

          最近では昔のゲーム機やアーケード筐体の移植版などがいろいろと発売され、レトロゲームブームが続いていると思います!ですが同時に「遅延が気になる」などの声があがることが増えてきている実感があります。 また、e-sports や RTA などに注目が集まり、ゲームにシビアさが要求される場面も増えてきました。その中でも「遅延を減らすにはどうするか?」といった議論が出てくるようになりました。 さらに、VR 機器では酔いの防止などの理由から、ゲームの設計段階で「低遅延」が求められてい

          ゲームの遅延についてまとめる

          エイリアシングとは何者なのか?

          近年、普通(?)の人の感覚ではありとあらゆるものがデジタル化されていて、アナログというのは懐古として楽しむものというようなイメージになっているのではないかと思います。 しかし一方でオーディオ関連の世界を見ていると、意外と普通にアナログ機材が現役なことに気が付きます。使用する理由に関しても懐古的なものではなく、「アナログのほうが音が良いから」といったような現実的なものです。 (かくいう私も最近まで「オーディオ処理ならアナログのほうが絶対いい!」という認識でした、笑) では

          エイリアシングとは何者なのか?

          「スーパーマリオ ヨッシーアイランド」、至上のオーディオ演出

          個人的に交流がある方にはお馴染み(笑)だとおもうのですが、私が「オーディオ演出がスゴいゲームって何?」などと聞かれる時にいつも決まって答えるのが、「ヨッシーアイランド」です! そして、これを答えたあと毎回、「どういう所がスゴいの?」と聞かれるわけですが、言いたいことを全て説明するのが大変過ぎるのである程度 note にまとめることにしました。 ※ ゲームタイトルは「スーパーマリオ ヨッシーアイランド」ですが、文中では「ヨッシーアイランド」で表記します。参考動画の乱れはブラ

          「スーパーマリオ ヨッシーアイランド」、至上のオーディオ演出

          ハイクオリティなゲームオーディオ表現の価値について

          昨今のゲームはハイクオリティが当たり前というか、特にグラフィックスの写実性に関しては進化が目覚ましく、驚くほど綺麗なゲームというのが次々と出ているように感じています。 では?オーディオ表現に関してはどうでしょうか? あまり言いたくないことではありますが、ここ最近はオーディオ表現の進化に若干の停滞を感じています。特に実装面に関しては、ゲームエンジンの進化過程で置いてけぼりを食らっているような状態になり、アセットをただ組み合わせるだけの実装からなかなか抜け出せないことが逆に増

          ハイクオリティなゲームオーディオ表現の価値について

          ゲーム業界でテクニカルオーディオデザイナーやオーディオプログラマーとして働くことについての散文

          先日杉森さんの下記ツイートが広くシェアされていました。 ゲームオーディオの業界で最近そういった人材不足を感じている所でしたので、こうして認識が広がるのはありがたいですね! そして、この「サウンドプログラマ」とされている部分について、私が最近(地味に)周知活動を頑張っている職種と繋がる内容ですので、この機に乗っかって見かけた意見等に対していろいろ補足してみたいと思いますー!空中レスが届くように是非共有していただければと思います、笑。 とりま見てください!CEDEC2022

          ゲーム業界でテクニカルオーディオデザイナーやオーディオプログラマーとして働くことについての散文