見出し画像

Yes デビュー55周年ライブを見て改めてわかる全盛期からの波瀾万丈なバンド歴!!

こんにちは。

先日、都内にある人見記念講堂で、プログレッシブ・ロックの第一人者、Yesのライブを見てきました。
今回のツアーはなんとデビュー55周年ということで、その名も「The CLASSIC TALES OF YES Tour 2024」というタイトルが付けられていました。

ツアー情報


55周年ですよ。ちょっとした人の人生そのものですよね。

Yesは人生と同じように、1969年にデビューしてから、この55年の間に、いくつもの波乱の時期がありました。まずは、そのバンド人生を追ってみましょう。

1969年にデビューアルバム、その名も「イエス・ファースト・アルバム」をリリースし、早くも翌年にセカンドアルバム「時間と言葉」を出しています。
そして、Yesがいわゆるプログレッシブ・ロックとして頭角を現したのが1970年に発表された「イエス・サード・アルバム」でした。

実は、このアルバムから今回の「The CLASSIC TALES OF YES Tour 2024」をリードしているギターのスティーブ・ハウが加入しているのですよね。そのためなのか、今回のツアーのセットリストでも、結構、この「イエス・サード・アルバム」の曲を演奏してましたよ。

そして、1971年にキーボードがリック・ウェイクマンに代わり、ついに全盛期のYesが誕生しました。そのときのメンバーは次のようです。
クリス・スクワイア(ベース)
ジョン・アンダーソン(ヴォーカル)
ビル・ブルーフォード(ドラムス)
スティーブ・ハウ(ギター)
リック・ウェイクマン(キーボード)
この5人のメンバーは、当時、演奏力、迫力ともに最強のメンバーでした。

その時に発表したアルバムが次の2枚です。
「こわれもの」(1971)
「危機」(1972)
の2枚はプログレッシブ・ロックの中では、本当に人気の高い伝説的なアルバムで、プログレファンからの絶大な支持を得ました。
私自身も特に「危機」は今、聴いても鳥肌がたつような、複雑かつ美しい演奏でお気に入りの1枚です。

危機



その後、ドラムのビル・ブルーフォードが脱退して、なんともう一つのプログレの雄、キング・クリムゾンに移籍してしまいます。
そして、新たにドラムスとしてアラン・ホワイトが加入して作られた名盤が「海洋地形学の物語」でした。

海洋地形学の物語



実は、私が一番最初に買ったLPは、このYesの海洋地形学の物語なんです。その意味で、思い入れが強い名盤です。
この「海洋地形学の物語」は2枚組でA面、B面、C面、D面に各1曲ずつ、という規格外の作品となっています。つまり20分もある曲が4曲入っており、しかも「海洋地形学の物語」という複雑な名前の通り、コンセプトアルバムとなっていたようです。

私も当時は、歌詞もよくわかりませんでしたが、A面から始めてB,C,Dと順番に壮大な世界を聴いて行く中で、意味がわからないながらも、まるで海洋の世界が見えてくるようでした。
というのは、この2枚組アルバムのジャケットアートが、また、めちゃくちゃカッコよく、今でもポスターやTシャツとして売られるほど有名で素晴らしいアートです。

Yesというバンドはこの頃が全盛期だった気がします。この頃、すでにプログレッシブ・ロックというジャンルができて、ピンク・フロイド、EL&P、キング・クリムゾンなどと一緒に、Yesもこのジャンルの代表格でした。

「海洋地形学の物語」以降も、ほぼ同じメンバーで、次々と名盤を発表します。
「リレイヤー」(1975)
「究極」(1977)

この辺りまでが、いわゆるYesの全盛期と考えます。そして、1978年にヴォーカルのジョン・アンダーソンとキーボードのリック・ウェイクマンが脱退して、全盛期はデビュー10年で終わりをつげます。

その後のYesの動きは波乱万丈でした。2人の主要メンバーの脱退後に、なんと、当時、バグルスの主要メンバー、トレヴァー・ホーン(ヴォーカル)とジェフ・ダウンズ(キーボード)を加入させて、新生Yesとして出発しますが、さすがにこのメンバーではアルバム「ドラマ」やそのツアーの業績が良くなかったのか、1980年から活動停止状態となります。

この後、バンドのキーマン、ギターのスティーブ・ハウは、こちらも人気となったバンド「エイジア」に参加します。ところが、残ったベースのクリス・スクワイアとドラムのアラン・ホワイトを軸に、そこに再びオリジナルメンバーであるヴォーカルのジョン・アンダーソンとキーボードのトニー・ケイが加わります。さらにはギターに、こちらも有名なトレヴァー・ラビンを加えて、新生Yesがスタートするのです。

この新生Yesが1983年に発表した「ロンリー・ハート」のタイトルトラック「ロンリー・ハート」という楽曲が、米国を始め、多くの国で大ヒットしてしまいます。確かに「ロンリー・ハート」は本当にポップで良い曲ですよね。しかもこの曲のトレヴァー・ラビンのギターソロは、本当、神がかってます。

ロンリーハート



その後、この、なんというか、亜流であるYesは、1987年に「ビッグ・ジェネレイター」というアルバムを発表して、なんと5年間も続きます。
そんな中、1988年にジョン・アンダーソンがYesを辞めて、なんと、他のYesメンバーたちとバンドを結成します。そのバンドの名前が次のようです。
「アンダーソン・ブラッドフォード・ウェイクマン・ハウ」(ABWH)

つまり、Yesの全盛期のメンバーである4人が、Yesというバンド名を使えずに、ほぼYesを結成して、世界ツアーを行なっていました。ちなみに、1990年3月にABWHは来日していて、私は観に行っていました。その時は「危機」などの、まさにYesの全盛期の曲を演奏していた記憶があります。

ABWH(ほぼYES)

かたや、トレヴァー・ラビンがリードするYesも活動していたため、こちらはファンの間では「YesWest」や「90125Yes」などと呼ばれていたそうです。
つまり、この時期、2つのYesがあったんです。ファンにとってはたまらないですね。

ただ、この2つのバンドは仲が悪いというわけではないようで、1991年にABWHと「90125Yes」は、なんと合体して、一緒に「結晶」というアルバムをYes名義で発表します。これで、再び全盛期のYesに戻ったのかとファンが安心したのも束の間、1994年に発表した「トーク」では再び「90125Yes」のメンバーに戻ってしまいます。

ところがです。その後、1996年に、なぜか再び全盛期のYesが劇的に復活します。ファンは喜んだことでしょう。この全盛期メンバーのYesで再びツアーを行った後、アルバム「キーズ・トゥ・アセンション」(1996)と「キーズ・トゥ・アセンション2」(1997)を発表します。

その後、Yesはキーボードのリック・ウェイクマンが脱退したり、復帰したりしながら、1997年から2004年までの間にツアーをしつつ、次の3枚のアルバムを発表しています。
「オープン・ユア・アイズ」
「ラダー」
「マグニフィケイション」
この頃に脱退したリック・ウェイクマンの代わりに、キーボード、ギター、ヴォーカルというサポート役で一時加入したのが、今回ベースを弾いているビリー・シャーウッドなのです。

2004年頃からジョン・アンダーソンが徐々にYesを離脱してしまいます。そのため、再びバンドは活動停止になります。
2008年にYes 40周年の世界ツアーを行う予定でしたが、ジョン・アンダーソンの病気により、キャンセルとなってしまいます。
そのため、他のメンバーは、2008年末から、なんと代わりのヴォーカリストとして、ベノワ・デヴィッドを新メンバーとして迎え、キーボードも、これまたリック・ウェイクマンの息子であるオリバー・ウェイクマンを迎え、新しい編成で2011年までライブ活動を行っています。
この2人は2010年頃からYesの正式メンバーとなりました。

その後、2012年には、再び、キーボードはジェフ・ダウンズに変わり、ヴォーカルも、デヴィッドが病気のため、新たなメンバー、ジョン・ディヴィソンに変更になりました。

2013年から、Yesは再び世界ツアーを開始しますが、この辺りからツアーのセットリストは「サード・アルバム」「危機」「究極」などの過去の名作からのものとなります。
そして2015年、Yesの支柱でもあったベースのクリス・スクワイアが死去してしまいます。

クリス・スクワイア

その後バンドは次の残りのメンバーでYesのツアーを続けていきます。
スティーブ・ハウ(オリジナルメンバー、ギター)
アラン・ホワイト(オリジナルメバー、ドラム)
ジェフ・ダウンズ(80年代からのメンバー、キーボード)
ジョン・ディヴィソン(新たなヴォーカル)
ビリー・シャーウッド(新たなベース、以前から一緒にはやっていた)

このように、Yesのバンド歴はメンバーが出たり入ったり、活動停止したり、再結成したり、と、非常に波乱に富んだものでした。ただ、それでも全盛期のYesの功績があまりに大きく、がっちりファンを掴んでいるため、拠り所としては、非常に大きかったと思います。

そして、ついに、2022年にドラムのアラン・ホワイトも死去してしまいます。

アラン・ホワイト



Yesの歴史を改めて見ると、2015年に亡くなってしまったクリス・スクワイヤが一貫して、それまでバンドをキープしてくれた功績が大きいと思ます。
クリスが亡くなってからは、スティーブ・ハウアラン・ホワイトがその役目を上手く引き継いでくれました。

「海洋地形学の物語」に代表されるYes全盛時の楽曲のクオリティは、今、聴いても非常に高く、ファンとしてはバンドメンバーがオリジナルでなくても、コンサートホールで、この壮大な音楽ドラマを聴けることを楽しみにしています。
そうしたことから、今回のYesのライブでも、全盛期の曲も含めた過去の偉大な楽曲をメインにしたセットリストをやってくれています。

今回、2024年9月の来日ツアーのメンバーは以下の通りです。
スティーブ・ハウ(ギター)
ジェフ・ダウンズ(キーボード)
ジョン・デイヴィソン(ヴォーカル)
ビリー・シャーウッド(ベース)
ジェイ・シェレン(ドラム)

Yesの全盛期オリジナルメンバーは、ついにスティーブ・ハウだけになってしまいました。それでも、Yesは全盛期の曲をやりつづけてくれました。そのクオリティもほぼ完璧の出来です。もしかしたら、全盛期のオリジナルメンバーの時のような迫力はなかったかもしれませんが、我々ファンが満足できるレベルの演奏は十分にしてくれました。

そして、気になるセットリストは以下の通りです。
Machine Messiah
I’ve Seen All Good People
Going for the One
America
Time and a Word
Turn of the Century
Siberian Khatru
休憩(15分)
South Side of the Sky
Cut from the Stars
海洋地形学の物語ダイジェスト
アンコール
Roundabout
Starship Trooper

休憩を入れて、1時間半くらいだったと思います。ロックバンドのライブで休憩というのは久しぶりでした。やはり、プレイヤーもオーディエンスも長丁場だと体力的に厳しいのか。

Yes最後の全盛期オリジナルメンバー、スティーブ・ハウも77歳です。流石にオリジナルメンバーがいなくなってしまったら、Yesは消滅するでしょう。
あと何回ツアーを行えるのか、もう一度、日本ツアーはあるのか、気になるところです。
それでは。

スティーブ・ハウ

いいなと思ったら応援しよう!