ニューヨークでのトラブル
20歳の頃、親友K峯とニューヨークに旅をしました
市が地下鉄の落書きを消しやすくする為、川崎重工業製の
ステンのボディの車両を導入し、いたずら書きが減少し
それに伴い犯罪も減少した時期のニューヨークの街
とはいえ、今現在より治安が良くない時代に
米国の流儀に不慣れな青二才が興奮しながら
街をうろうろしていました
日中はもとより夜も繁華街に繰り出し
酒好きのK峯は二日連続、千鳥足で宿泊施設に
向かっていました
酒をあまり飲まない私は一応警戒しながら
人通りの多い道を選んで進んでいましたが
信号で立ち止まった 次の瞬間
パリンッガシャッ
後ろ側で何か割れる音がしました
ヤバいっ!!
とっさに不味い事に巻き込まれた!っと感じました
「HEY!!!&%$&%$”#!!!~」
英語が堪能ではない私でもすぐに状況は飲み込めました
K峯が誰かにぶつかり何かを破壊したのです
慌ててK峯をみると、酔いで右左に大きく
スウェーしながら立っています
「K峯速足で歩くぞォ!!」小声で奴に言うと
「何ぁんなんだよ~?」と快適NY生活満喫中の御返答
「K峯がふらふらしてっからアタリ屋かフツーの人か分らんが
ぶつかったんだよ!!で何かが割れた!」
「HEY!HEY !!!&%$&%$”#!!!~」
焦った我々は声の主を確認、振り返ることなく
素知らぬふりで歩き出します
ガシャガシャジャラリッジャラリ
背後から相当な量の割れたガラスが袋か何かに
入れられゆすられて”お前たち 立ち止まりなさい”と
訴えてきます
4~5ブロック歩いても依然として
「HEYHEY!!!&%$&%$”#!!!~」
追尾してきます まいりました・・・・・・
本当にK峯がぶつかってしまったかも知れないし
アタリ屋の仕事に巻き込まれたのか判断が付きません
私は腹を決め立ち止まり相手を見ました
やはり お家が無い方の様子です
手にはプラスティックバッグを持ち、袋から液体がこぼれ出ています
「Let's go to the police station」と私
出来る限り”こちらは負けませんから”感を醸す様
言える限りの英語で対応 頑張る私
こう言えば相手も引き下がると考えました
しかし「O.K!Let's go 」何故だ歯切れ良いじゃんお前
まさかの快答 引く私「逆にこちらがヤバい?」
私は液体滴る袋を指さし 恐る恐る 幾ら払えば良い、と尋ねました
・・・アタリ屋なら吹っ掛けてくるだろう恐ろしい高額請求・・・
K峯と私は固唾を飲んで答えを聞きました
「$1」
えっ?何て?
「$1~」
逆にどうしてだよ?