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【独立・起業のリアル】<破の章 No.15>独立・起業は人生を賭けた大一番に、どのように立ち向かうのか

 二〇〇五(平成十七)年十一月を初号として発信を開始した、ウェブでの「起業アドバイザー便り」は十年間で全一二〇号を発信しました。

 思い起こせば、当時の書店にはITビジネスやM&A関連誌が数多く平積みされ、ベンチャー事業経営者のサクセスストーリーが華やかでした。筆者は事業経営者のはしくれとして、身をもって事業経営とは事上磨錬(実際に行動や実践を通して知識や精神を磨くこと)の成せる業で、先ずもって実業でなければならないと思ってきましたので、マスコミや出版社のこれらの動きに、常日頃、違和感を抱いていました。

 ですから、冷静に考えて、若く知識の浅い人たちが抱く独立・起業というものに対して、もっと正しくかつ根本的な事柄を伝える必要を強く感じました。当時は一説に「失われた十五年(現在では失われた三十年とも言われています)」と伝われつつある時代に、日本社会も元気がなく閉塞感を感じていましたので、若者が自らの独立・起業を通じて、これからの人生を切り拓くべく挑戦魂を燃えたぎらせてほしいと、大いに期待したいものと思ったからでした。

 そのことから筆者の狙いは、そもそもその入口たる独立や起業の初歩的な事柄を幅広く周知し、suggestion(示唆)やadvice(助言)するためでした。筆者はこれまで「仕事は自分事」と考え、努めてきました。ですから今日まで自身が大きな物事をスタートさせるときに、必ず自問自答します。やるべきことを決めたとしても、決して安易な考えでそれに取りかかってはならない。熟慮して信念と体力、そして気力に自信がなければ初めから手を出さない。そしてやるからには十年はやり通すのだとの自分との約束です。

 何か大きなことをスタートさせたら途中下車はできない。仮に、そうした姿勢を他から見たとき、自身の評価を下げることだと見聞きしております。ですから月並みな言葉になりますが、「継続は力なり」を実感するとともに、あきらめない、投げ出さない、耐えることを知ることの大切さを折に触れて心に止めて、物事に臨んできました。

 それらの一連の経験から、次に続く若者が、独立・起業に臨むことを大いに奨励する気持ちをもち、その一方で安易な無計画のスタートには大いなる警鐘を発してきました。
 誰しも初めて登る標高を有する山を前にして、計画やふさわしい装備をしないトライアルは無いと考えることと、同様です。


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