ケアマネジメント費自己負担について思うこと
日本の高齢化社会が進む中で、介護保険制度の持続可能性を確保するために、様々な議論が行われています。その一環として、ケアマネジメントに自己負担を導入する案も浮上しています。
6/11 経済財政諮問会議では
「介護保険制度について、利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直し、 ケアマネジメントに関する給付の在り方、軽度者への生活援助サービス等に関する給付の 在り方については、第10期介護保険事業計画期間の開始の前までに検討を行い、結論を得 る。」※第8回経済財政諮問会議 資料1より。https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0611/agenda.html
この記事では、ケアマネジメントに自己負担が発生した場合に考えられる影響や課題について自分なりに考察します。
1. サービス利用の減少
経済的負担の増加
ケアマネジメントに自己負担が発生することで、経済的に厳しい状況にある高齢者やその家族にとっては、サービスの利用が難しくなる可能性があります。
事実、昨今の物価高等に加え、介護保険料が一部自治体を除いて上がっていますし、介護サービス費もおおよそ報酬額が上がっています。
おそらく、ケアマネジメント費に自己負担が発生したとしても、まずは低額からになるでしょう。しかし低所得層の家庭では、自己負担による精神的、経済的負担が大きくなるため、必要なケアを受けられなくなるリスクが高まります。
2. ケアの質の低下
ケアマネージャーの負担増
自己負担の導入により、利用者が減少したとすれば、ケアマネージャーの収入も減少する可能性があります。
また、自己負担が発生すれば費用説明やそれに対して納得を得る必要性がでてくるでしょう。
費用に見合った価値(特にケアマネジメントは目に見えにくい部分を支援していくのでハードル高し)を理解してもらうことが難しくなるため、説明のハードルが上がります。費用やサービスの詳細を理解してもらうためには、より丁寧な説明が求められます。
ケアプランの質の低下
ケアマネージャーが提案するプランが経済的な制約によって実行されない場合、適切なケアが提供されず、高齢者の生活の質が低下する恐れがあります。
簡単に言ってしまえば「買い物はいけるけど、面倒くさいからヘルパーを調整しろ!こっちはアンタに金払ってんだぞ!」
といったクレーム?が心理的に起こりやすくなるのではないでしょうか。
能動的な利用者だけではありません。「そりゃ元気でいたいけど、もうめんどくさいわい・・」といった方に一生懸命リハビリやらデイやら褥瘡予防やらを訴えかけても、「どうせ金払わせたいんやろ」って思われちゃうかもしれません。
まぁ、こういう人は負担があろうがなかろうが、言いそうですけどねw
3. 社会的影響
健康格差の拡大
自己負担の導入は、経済的に余裕のある家庭とそうでない家庭との間で健康格差を広げる可能性があります。経済的な理由で適切なケアを受けられない高齢者が増えることで、健康状態や生活の質における不平等が拡大することが懸念されます。
地域社会への影響
高齢者が十分なケアを受けられない状況が続くと、地域社会全体にも悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、高齢者の健康状態が悪化することで、地域の医療機関や福祉サービスへの負担が増加することが考えられます。また、高齢者が社会参加しにくくなることで、地域コミュニティの活力が低下することも懸念されます。
4. 解決策と今後の展望
経済的支援の拡充
困窮者に対しては何かしらの措置が取られるのではないかと思います。
しかし、収入状況等だけで経済状況を判断できるほど、世帯の状況は単純ではありません。
もしケアマネジメントの自己負担を実施する場合は、より「現場的視点」が必要ではないでしょうか?
どっかの大学教授だとか、机上の空論が好きな会長さんとか。もちろんそんな人も必要ですが、そういった現場視点が低い人だけで集まりワイワイ話すだけでは解決しないでしょう。
テクノロジーの活用
テクノロジーの進化を活用して、効率的なケアマネジメントを実現することも重要です。
これはケアマネ側、利用者側双方にある程度リテラシーが求められるとは思いますが・・
結論
ケアマネジメントに自己負担が発生することで、経済的負担やサービス利用の減少、ケアの質の低下など様々な影響が考えられます。しかし、実際社会保障費は逼迫している以上、適切な支援策やテクノロジーの活用を通じて、これらの課題を克服し、持続可能な介護システムを実現することは重要です。
是非、このへんの話題が具体化されてきたらケアマネジャー界隈で大騒ぎしたい所存です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?