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オモチャじゃないよ、トライアングルは

 「オーケストラでトライアングルを演奏する。」と言うと、「トライアングルなら自分だってできるよ。」とよく言われます。「じゃあ、やってみますかぁ(^^♪」

 とても単純な形で名前も三角形と見た目のとおり。幼稚園にもある楽器だから誰にでもできると思われるのも無理はないかもしれません。それがなかなか奥が深いのです。Wikipediaには「クラシック音楽で使用される楽器の中では非常に熟練を要する楽器である。音量をコントロールすることは困難であり、演奏が困難な複雑なリズムも要求される。」とあります。ちょっと言いすぎかなと思いますが。(^_^;)

 トライアングルはスチールまたは真鍮製です。素材に加えて大きさ、棒材の太さによって、また組み合わせるバチによって音色は変わり、曲に合う音を求めると楽器が次々と欲しくなります。

 感度が鋭敏な楽器なので、小さな音を出すには繊細な指のコントロールが必要です。慎重になりすぎてバチが楽器に届かないということも、、、あり得ます。一方大きな音を出す場合、小さな楽器ではあるけど腕の重さを使って楽器の中心まで響かせます。

 たたく場所、バチを楽器にあてる角度によって響きが変わります。バチを水平、垂直にすると倍音の少ない音になり、斜めにあてると倍音の多い少し濁りのあるような深みのある音になります。経験的に感じていましたが、そのメカニズムが『楽器の科学 図解でわかる楽器のしくみと音の出し方 柳田益造/編 サイエンス・アイ新書』に解説されていました。三角形の面に対して垂直な振動(面外振動)と平行な振動(面内振動)の混ざり具合で響きが変化するのだそうです。なるほど、バチを水平にすると面内振動、垂直にすると面外振動が発生し、斜めだとそれらが混ざるというのは容易に理解できます。

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 音を止めることも音作りの重要な要素です。作りたい音の形になるように楽器を持っている方の手の指を絶妙に接触させます。楽器を支えると同時に重要な仕事をしているのです。叩いてから止めるだけではなく、時にはごく僅かに楽器に触れた状態で叩き、音量や響き具合を調節することもあります。

 トライアングルが魅力的なオーケストラ曲は数々あり、挙げればきりがありません。『ドボルザーク 交響曲第9番 新世界 第3楽章』、『ブラームス 交響曲第4番 第3楽章』、『リスト ピアノ協奏曲第1番 第3楽章』、『グリーグ ペールギュント アニトラの踊り』等は代表的なものです。

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