オーケストラパーカッションの楽譜と私の書き込み (2/3)打楽器のパート譜
打楽器=パーカッションで叩く楽器のことですが、プロオーケストラでは、『Timpani and Percussion』 とTimpaniを別格に扱い、Timpani奏者がいることが多いようです。ここでもティンパニとそれ以外をパーカッションと分けて考えます。
打楽器パートは休みがとても多いパートです。バイオリンのパート譜が何ページもあるのに打楽器は1ページだけ、しかも音はごくわずかということが珍しくありません。音を出すのと同時に、正しいところで音を出すために休みを数えるのも重要な仕事です。数えるだけでは間違うリスクがあり、CDを聴いて曲を覚えるとか、スコアを読んで他のパートとの関係性を調べるといったこともします。ちなみに、どこまで数えたか分からなくなって自分の音を出せなくなることを“落ちる”と言います。
また、演奏表現としてどの楽器に寄り添ったらよいのか、強く主張して目立たせるのか、テンポをリードするのか、クレッシェンド・デミニュエンドをどこから始めるのか等を考えるため、スコアを”縦”に読みます。
パーカッションのパート譜
下はラフマニノフの『パガニーニの主題による狂詩曲』のパーカッションパート譜の一部です(Boosey & Hawkes社より引用)。使われるパーカッションはトライアングル(Tri.)、シンバル(Cym.)、スネアドラム(S.D.)、バスドラム(B.D.)、グロッケンシュピール(Glock.)で、すべてのパーカッションが一つの楽譜に表記されています。なお、ティンパニは別の楽譜です。一つの楽譜に全てのパーカッションが記載されていると他の楽器の関係性が分かりやすくアンサンブルがしやすいメリットがあります。特に休みが多い場合はこのスタイルが良いです。音程のない楽器は一本の線の上に表現され、音階があるグロッケンシュピールは当然ながら五線を使っています。1段目に小さな音符で記載されているのはファーストバイオリン(Vl.I )で、影譜というパーカッションが入るところの手がかりとする目印です。せっかく出版社が記載してくれている影譜ですが、目印になる場合と役に立たない場合(ほかの楽器に影になって聞こえにくい、フレーズの途中から記載してあって分かりにくい等)があります。その時はスコアを見て自分で書き込みます。下に手書きしているのがそれです。
タンバリンのパート譜
こちらは(1/3)で紹介した『序曲 謝肉祭』のタンバリンのパート譜です(EDWIN F. KALMUS 社より引用)。スコアでは1本線でしたが五線紙が使われています。パーカッション全部ではなくタンバリン単独の楽譜であり、この曲の場合、他のパーカッションも休みが比較的少なく同時並行で演奏するので、譜めくりが少なくなるこのスタイルが良いのだと思います。
今回紹介したケースは、スコアとパート譜の出版社が違っています。アマチュアオーケストラではパート譜はオーケストラで準備しスコアは各自が購入すのが普通なのですが、出版社が違うとバージョンが違っていたり、練習記号のつけ方が違っていたりするので面倒なことがあります。
ティンパニのパート
ティンパニのパート譜は(3/3)で紹介します。
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