漁村インターンシップ(2回目)。|生きる行脚#延べ16@三重
はじまりも終わりも
「1年以内にまた来ます。」
ちょうど1年前の今くらいの時期(3月上旬~下旬にかけて)に阿曽浦を出発するとき、僕は言った。
三重県度合郡南伊勢町阿曽浦という場所は、もともとは無縁の地だったけど、今はちょっと特別だ。
1年間の休学ライフの「はじめの一歩」を踏み出した場所。
初めて漁師さんというそれまで出会ったことのない人と出会って、漁業っていう未知の産業に触れた場所。
偶然、普段は全く違う環境にいる学生と出会って、同じ時間を過ごした場所。
今になって1年前に来たときのことをまとめると、当時の自分にとっては初めてのことだらけで新鮮な思い出が詰まった、新しい世界への入り口みたいな場所だったりしたのかな、なんて思う。
でも1年前に「またここに来たいな。」と思ったのは、「ほとんどが初めての経験で新鮮だったから」っていう単純な理由だけではないような気がする。
友栄水産の人たちのことも、インターンを受け入れてくれた漁師さんの子どもたちのことも、誰とどこに行ってどんな話をしたかということもほとんど記憶に残っていて、1年間、ふとしたときに阿曽浦の色々なことを思い出していたように思う。
とにかく1年前に来たときに「ここに来てよかった。」と思った場所で、1年間の休学ライフのスタート地点となったこの場所でそんな風に思えていなければこの1年間の自分の歩みは確実になかったというか、まったく違っていたと思う。
そんなわけでここから旅(というか修行)が始まっていって、去年の漁村インターンが終わったときから「また来たいな」と思って「締めもここで。」と密かに心の中で決めていた(結果的には締まらないのだけど。)から、どうにか有言実行したいと思って、ちょうど1年越しくらいで戻ってきた。
やっぱ来てよかった。
今回行ったときは旅(修行)も終盤で、体力的にも精神的にも正直しんどさを感じていた時期だった。ここに来る前は不時着も秒読みみたいなだいぶ低空飛行な感じだったけど、実際に来て友栄水産の人たちと会って話していると疲れていくというよりはむしろ、少し持ち直したような気がした。
「自分は自分のままでいいんだ」「自分を繕わなくていいんだ」と思えて気が楽だった。毎日海と山に囲まれたきれいな景色を見て、口を開けば冗談ばっかり言っているような友栄水産の人たちといるのは気持ちよくて、「疲れもあって少し不安だったけど、やっぱ来てよかった。」と思った。
阿曽浦は1時間に1本も走っているかどうかすらかなり怪しい(たぶん走ってない時間帯もある(笑))バスで最寄駅から50分もかかるし、1番近くのコンビニに行くにも歩きや自転車で行くのはなかなか難しいような、辺鄙で物理的には何もないところだ。
だけど、僕にとっては時間がかかっても、電車やバスの乗り換えが煩わしくても、行く意味があるところだと思っている。
思い出を置いてけぼりにして…
去年来たときにもお世話になった僕とあまり歳の離れていない若い漁師さんが、夢を追って3月いっぱいで阿曽浦を離れることを聞いた。
周りからよくイジられる"愛されキャラ(?)"で、オモシロ優しい人だった。
去年来たときは当時同じタイミングで来ていたインターン生と一緒にみんなでいろんな話をしたし、一緒に出荷のトラックに乗せてもらって福井まで行ったこともあったし、いろんなところに連れて行ってもらったりもしてとにかく多くの時間を一緒に過ごした、1年前に「ここに来てよかった。」と思ったときの記憶の中にいた漁師さんだった。
その漁師さんから夢の話は聞いたことがあったけれど、そのタイミングがまさかこんなにも早く来るだなんて考えられないというか想像がつかなかったから、友栄水産からいなくなるという話を聞いたときは驚いて一瞬固まってしまった。
初めて来たときの記憶は自分の中ではいつになっても変わらないけど、そんな僕の記憶なんて置き去りにして、阿曽浦という場所やそこに暮らす人たちはちょっとずつ変化していくというか、ずっと当時のままで在り続けるわけではないのだということを見せつけられたような気がして、少し寂しくなった。
阿曽浦を発つ前日の夜、インターンの書類の手続きをしていたときに純さんに、「またフラッと来るんやろな(笑)。」と言われた。僕は、「また、来ますねぇ(笑)。」と少しにんまりしながら答えた。
ってことで1年以内にまた。フラッと帰ります(笑)。
純さんはじめ阿曽浦の皆さん、1週間ありがとうございました。
そして佐々木さん、夢に向かってがんばってください。数年後、どうなっているか楽しみです(笑)。応援してます。
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