「パートナーシップ構築宣言」とは何か
新型コロナウイルス感染症が長期化する中で、日本の経済は大きな打撃を受け、リーマンショック時のような大企業から中小企業への取引条件の「しわ寄せ」が懸念されています。
こうした課題に対応するため下記のように、「パートナーシップ構築宣言」が導入されました。
「パートナーシップ構築宣言は、サプライチェーン全体での付加価値向上に向けて、企業規模や系列を越えた新たな連携、取引先との共存共栄関係の構築に取り組むこと、望ましい取引慣行の遵守や、取引関係の適正化に積極的に取り組むことを、経営者の名前で宣言し、公表していただくもの。」
「パートナーシップ構築宣言」が導入された背景
日本の企業の99.7%が中小企業で、雇用の7割を占めています。
そのため、中小企業の成長なくして日本の成長戦略は望めません。
中小企業の労働分配率は80%台と、大企業の約58%より高く、設備投資や賃上げの財源は、付加価値の4〜8%しかありません。
賃上げや設備投資のためには、取引化価格を適正化し、原資となる付加価値を増やすしかありません。
取引価格が適正化すれば、賃上げができるので、成長と分配の適正化がはかれ、設備投資により、生産性が上がり、好循環が生まれます。
中小企業では、実質労働生産性は毎年、プラスですが、価格転嫁力指標がマイナス続きです。
仕入れコストの増加分を販売価格に転嫁できていない状態です。
これらの事実から、取引化価格を適正化する必要があることがわかります。
そこで登場したのが、「パートナーシップ構築宣言」なのです。
「パートナーシップ構築宣言」の内容
など、中小企業にしわ寄せが、いかないような宣言内容になっています。
経営者が、宣言内容に同意して登録すると、「パートナーシップ構築宣言」したことが公表されます。
そのため、ホワイト企業として受け入れられやすくなります。
「パートナーシップ構築宣言」のロゴを使用できるようになるので、名刺に印刷したりすれば、さらに効果的でしょう。
登録して終わりではなくて、企業内に「パートナーシップ構築宣言」の理念を浸透させて、経営者と現場の認識を一致させましょう。
経営者が、取引はフェアに行われていると思っていても、購買部署の担当者は購入価格を下げることが役割だと思っていることがあります。
まとめ
以前の大企業や中小企業は、大小さまざまな石が隙間なく積み重ねられ、まるで、1枚の岩のように城を支える石垣に例えられていました。
最近では、大企業からのしわ寄せが続き、中小企業は成長がはかれないので、石垣の再構築が求められ、「パートナーシップ構築宣言」が導入されました。
「パートナーシップ構築宣言」により、再構築された大企業と中小企業の関係性を武器に、以前のように、日本を成長へ導き、支えることが期待されています。