備忘録 位置について
いつかきっと忘れちゃうから、ここに記録しておこうと思う。
すでにうろ覚えなところもあるし
良いこともあったし悪いこともあったし、なんでもないこともあった
あの頃を全部ちゃんと抱えたままで
ああ、きっとこの人とは仲良くなれるなという直感はだいたい当たる。
ごった返す新宿駅の改札前で何か言いたげな表情の彼と
たしか、よいお年を的な話をしていた。
改札前で話し込むのはあまり好きではない。
加えて、先ほど食べた串揚げの油があわなかったようで
胃もたれしていたから早く帰りたかったのだけど。
彼、終電5分前。
とにかくしんどいわたしは彼の帰りを急かす。
全然帰らない。なぜだ、わたしは一刻も早く帰りたい。
そろそろ走らないと、彼は終電に間に合わない。タイムアップだ。
そして、意を決した表情の彼が言う
「好きなんだ。付き合ってほしい。」
いや、このタイミングというのはナンセンスじゃないか?と思ったが
その気持ちにはうすうす気づいていた。
わたしは物心ついたころからなんとなく人の気持ちを読むのが得意だった。
まあ読むもなにも、彼はそもそも感情が表情に出やすい人だったのだけど。
「一旦考えさせてほしい。終電やばそうだし。」
わたし、まさかの保留。心の中ではお祭り状態だった。それ来た!と
計算高い女だとつくづく。いつか罰が当たるぞ。