マンガワールド⑤マンガの『絵柄』論-究極の絵柄とは?-
はじめまして。こんにちは。
夏の終わりがちらほらと見え始めている昨今、よくわからない社会が相変わらず廻り始めていますが、どうにかこうにか前向きに、いつか快晴の海のようなマンガを完成させたいと構想中のGプレッソです。
目次
A「絵柄」を探す冒険
B 絵柄の遺伝子
C 絵柄の冒険者たち
D 絵師・葛飾北斎
E メビウス・鳥山タッチ
私的マンガ体験Cマンガ表現の革命
次回予告
A「絵柄」を探す冒険
さて、今回のGプレッソのマンガワールド⑤では、『絵柄』に関してのエトセトラを綴ってみたいと思います。
マンガをメイキングする-発表することを前提におくならば-にあたり、数ある「マンガ」の要素の中で、『絵柄』は、もしかするとワタシの中では最重要なものであると思っているかもしれません。そして、その核となるのが「魅力的な絵柄」であるかどうかを注視している感じがします。
それほど重視しているにも関わらず、ワタシは未だ自分自身で納得できるオリジナルかつナチュラルなタッチを編み出せていません。
『絵柄』に関して、古今私淑する多くの作家先生方はたくさんいますが、その先生方の模倣的な絵ではなく、自身が「これが自分のタッチなんだ!-当世の世にできるだけ広く他者に届く・響く可能性を含めての-」と納得できる『絵柄』を発見(発掘)したい、と思いつつ、それができずに、現在に至ります。
ナチュラルボーンな芸術家タイプではない平凡人のワタシが、果たしてどのような「絵柄」にたどり着けるのか、ともかくも、できるだけ楽しみながら逡巡していきたいと思います。
B 絵柄の遺伝子
どのような絵を描くヒトでも、指紋と同様にオリジナルの筆跡(タッチ)
-筆個性-というものが存在していると思います。模写による完コピ的に見えるようでも、筆跡、筆圧などの微分的異なりから線の強弱など含め、やはり0.00ミリ単位では異なった「絵」になるのだと思っています。
ディズニータッチ、劇画タッチ、フォトリアルタッチ、ポップタッチ、簡素タッチ、萌え絵タッチetc,etc,広く分ければ幾つかの「絵柄」が世に表出されてきました。
人気絵師さんやマンガ家先生のタッチは、インターネット時代の趨勢によるワールドワイドな昨今の事情も重なって、その魅力的な描線から、フォロワーが世界中にとてもたくさんいることになるようです。
そうして「絵柄の遺伝子」は後世に引き継がれてもゆくのでしょう。
C 絵柄の冒険者たち-全てのタッチに歴史がある-
さて、暫定数万年前より、人類社会に「絵」が誕生してから、さまざまなタッチ(筆個性)が時代時代に登場してきましたが、『当世』-その当時の時代時代ーを一世風靡する(かの)ような『絵柄』というものは、偶然に生まれてくるものなのでしょうか?それとも、天才的個性が満を持して生み出せた(天然オリジナルであれ~研究の末編み出したもものであれ)ものなのでしょうか?
いずれにしろ、時代を彩る『絵柄』というものは存在している、という前提のもと、また、「何がいい絵柄として当人にヒットするかはヒトそれぞれ」という真理も踏まえつつ、ワタシ的には、これまでどのような絵柄に魅かれて来たのか、に関して、以下付記してみたいと思います。
※あくまでGプレッソ的な「絵柄」に関しての個人の感覚・感想です。
各「絵柄」にスタンド風(ジョジョ)ネーミングを添えていますが、全てはリスペクトの上の言葉ですので、ご了承下さい。
また、類例に関しましては、リスペクトしている「絵柄」の作家先生方はもちろんまだまだ限りなくおりますが、全て挙げきることはできないので、今回は絞って掲載模写していますことをご了解願います。
☝ラウンディッシュフレンドリー
丸っこさに、安心・安全を覚える「絵柄」です。幅広い層に伝わるのだろうな、と思える「絵柄」です。(ワタシにとって)←以下割愛※
☝ポップポップワールド
ジャパニーズ感を超えているようなポップなデザイン感覚にとても魅かれる「絵柄」です。
☝THE・ユースフルデイズ
青春期の光と影を爽やかに彩ってくれるような「絵柄」です。
☝ヒューマニティーソロウ
うらぶれ感(リスペクトです!)にどうしようもなく共感を覚え、魅かれずにはいられない「絵柄」です。
☝マイウェイゴーイング
物語と相まって魅力的な個性感を醸し出す憧れる「絵柄」です。
☝オールマイティーワールド
世界観にリアリティを確実に与えてくれる国際感覚的「絵柄」です。
☝マジェスティックフローイング
コマが一枚絵として鑑賞対象になってしまう程の流麗かつ荘厳な驚愕の
「絵柄」です。
※少年期~思春期の始まり頃、のんびり「ジャンプ」を読んでいた時、突如始まったのが『バスタード-暗黒の破壊神-』(萩原一至先生)でした。その流麗な絵柄と描き込み量に「どうなってるの??」と疑問を持ちつつその壮大過ぎる物語に魅かれていったのでした。自身では「描いてみよう」とは思えないほどのハイレベルな絵柄(アンスラサクスたちや魔戦将軍etc)と認識していたような気がします。
☝ドラマチックピクチャー
現実としての「ヒト」を描いていると思えるヒューマンな「絵柄」です。
☝ユーモアリラックス
「絵」がお気楽な感じで心地いいと感じる「絵柄」です。
☝ノンボーダーニュータイパー
さらっと繊細かつ芯のある不思議な吸引力のある「絵柄」です。
☝シンプルハイセンス
簡素の美 わびさびを感ずる「絵柄」です。このような境地をどうやったらものにできるのか?
皆様にとって、忘れられない心地よい「絵柄」とはどのようなものでしょうか?そして、幅広く汎人類的(国・人種・民族・文化・老若男女全セクシュアリティなど含め)に好意的に受け入れられ得る『絵柄』とはどのようなものなのでしょうか?やはり、とても興味があります。
D 絵師・葛飾北斎
江戸の世を駆け抜けた北斎先生
さて、ジパングの地において、これぞ「THE絵師」と言える絵描き師の一人として世界的にも名が響く江戸期のスーパースター葛飾北斎先生がいます。
☟北斎漫画一編~十編よりセレクト模写
『北斎漫画』(図版的イラスト資料集的な性格のある)をまじまじと眺めてみると、その描かれたモチーフの種類の多さから、森羅万象に対する北斎先生の好奇心の強さももちろんのことですが、何か、描かずにはいられないというような並々ならぬ迫力が伝わってきます。イラスト系の書籍で、現代を代表する絵師のお一人である寺田克也先生が「いつもペンを取り描き続けてる」~的な記述を見た記憶があるのですが、北斎先生もそのような感じだったのではないかと思えました。魚が泳ぎを止めないように描くことを止めない、というような・・・。
また、数年前『北斎-富士を超えて-』展覧会を訪れた折、ワタシがまず驚かされたのは何と入場まで1時間以上の長き行列が待ち受けていたことでした。そのような経験は、ライトな美術ファンのワタシ的には初めてで、その当時の世相にウケたことはもちろん、時を跨ぎ200年後にもこんなにもファンがいるという事実に感動しました。
先だって公開された『映画「HOKUSAI」』では、時代や時の権力と格闘する絵師たちや出版にまつわる人々たちの姿もドラスティックに描かれていましたが、そのような時代背景のもと、『絵描く』ことに真摯に突き進む仙人のような北斎先生の実像がリアリティをもって感じられたことが実りある至福の時間でした。
果たして、北斎先生が現代に存在し、マンガを描くとしたら、どのような絵柄を選んだでしょうか。とても興味があります。
E メビウス・鳥山タッチ
2021年 12月18日(土曜)追記
私的に大リスペクトしております作家先生は数多くおりますことは前提としまして、-もちろん比較や優劣の観点とは異なるアスペクトとして-
『純粋絵画的画力』と『魅力・魅惑のタッチ』という要素も別ものでもあるとして、2021年の年の瀬時点まででワタシ自身が触れてきた『マンガ絵』の中では、メビウスタッチ・鳥山タッチが、魅力・魅惑的汎ワールドタッチの到達点に思えています。
○メビウス(ジャン・アンリ・ガストン・ジロー)フランス 『アルザック』『B砂漠の40日間』etc
○鳥山明 JAPAN 『SANDLAND』『COWA!』『Dr.スランプ』etc
鳥山明先生「ドラゴンボール」より Gペン練習習作原稿
とにもかくにも、魅力的な『絵柄』は時代を超えて百花繚乱。千変万化。
いつか、自身が納得でき得るタッチにたどり着けるように、ナチュラルに自身の絵柄を模索しながら探していきたいです。
本日は訪れていただきありがとうございました。
私的マンガ体験 C マンガ表現の革命
様々なマンガを読んできて、『革命的な作品だな』と思えた作品を幾つか挙げ記してみたいと思います。何が革命的と思えたのか?詳細な言葉(文章)では表せないので、自身が感じた(の)であろうキーワードを添えてみたいと思います。
前衛的な表現はやはりライトマンガファンなりに様々に鑑賞・観賞してきた経緯もありますが、以下はストーリーマンガとしても特にブリリアントであると個人的にも感じた作品として提示を試みてみました。
皆様にとって「革命的な作品」とはどのようなものでしょうか?
※こちらもやはりあくまでGプレッソのマンガ読書体験範囲に拠るものであります。下記以外も、未知の作品との新しい出逢いがあったり思い出しましたらその都度追加していこうと思います。
ハイスクール奇面組 魅力的キャラクターのオンパレード
新沢基栄先生 気持ちのいいコミックスの表紙デザイン
素晴らしい世界 文学とマンガの理想的融合
浅野いにお先生
風と木の詩 詩的なBL異国舞台の学園マンガ
竹宮惠子先生 先生本人が意図的にマンガでの革命を自覚して描いた
火の鳥 壮大な行きつ戻りつ時空間超越形式
手塚治虫先生
ゴルゴ13 世界規模でリアル実社会とリンクさせているスケール感
さいとうたかを先生
デカスロン あまりに魅惑的なカメラアイ・デフォルメ描写
山田 芳裕先生
藤子FSF短編 吸収してきたSFアイデアを、分かりやすく面白く
藤子F先生 見やすくシンプルに圧縮してまとめるマンガ力
それでも町は廻っている 10年かけて綴られた時系列シャッフルマンガ
石黒正数先生
刃牙シリーズ 初見でも、100巻以上をおそらくノンストップで-楽しくわくわくに-見続けられるかもしれない唯一のコミック
板垣恵介先生
ゴーマニズム宣言 誰も後を追えない程の中身の濃い唯一無二の言論マンガ
小林よしのり先生
海獣の子供 海中の描写-海の生き物たち-がすごいことになった
五十嵐大介先生
次回予告
次回のマンガワールド⑥では『絵描くということ』(仮)と題しまして、『「絵を描く能力」とはどんなことなのか?』に関してライトに綴ってみたいと思います。
『マンガ表現』や『絵を描くこと』に幅広く興味・関心のある皆様おかれましては、ぜひお時間のある時にでも訪れて頂ければと思います。よろしくお願いします。
著者自己紹介
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キンドルアンリミテッドでも読めますので、もしご興味頂ければぜひ一読していただければと思います。
note記事のおしらせ
2023年6月時点でnote記事に以下のラインナップをアップしております。何か引っかかるタイトルがございましたら、ぜひ訪れて頂ければと思います。
ゴキブリマンガ
『ボクはディオゲネス』の紹介
マンガ構想の一つとして、いろいろな角度から『ゴキブリマンガ』を構想していくにあたり、その中の一つ『ボクはディオゲネス』はコツコツと話数を重ねていこうと思っています。
1話2ページの省エネマンガ『ボクはディオゲネス』は、全555話構想ですが、これまでそれぞれのnote記事におきまして掲載してきたものは25話ほどになりました。
今回は、その中から幾つか紹介させてください。
第500話 スケールの大きな話
第75話 アンチ
閲覧頂きましてありがとうございました。
またの機会にお待ちしております。
最新更新日2023年6月